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コラム

親子間のダブルバインドに対処する3つの視点

親子間のダブルバインドに対処する3つの視点

親子関係カウンセラー川島崇照(かわしまたかあき)

 

 

あなたはこんな経験をしたことはありませんか?

許可されていたことをやったのに、ダメと言われた

− 禁止されていたからやらなかったのに、しなかったことをダメと言われた

このように、、、

もしあなたが親の言う二つの矛盾する命令でどうしたらいいかわからなくなっていたら、
それはあなたがダブルバインドを受けているかもしれないシグナルです。

 

ダブルバインドとは?

ダブルバインドとは「二重拘束」とも言われ、二つの矛盾した命令から逃れられない状態です。

詳しくは下の3つの禁止命令から構成されています。

 

1.一次的な禁止命令

「一次的な禁止命令」は、親の言うことに背くことを禁止する命令です。

 

2.二次的な禁止命令

「二次的な禁止命令」は、一次的な禁止命令と矛盾する命令に背くことを禁止する命令です。

「命令」とありますが、実は言葉でないことも多く、ため息や暗い表情などの親が落胆する姿から禁止命令を受け取ってしまうこともあります。また無視や拒否などもそれに当たります。

 

3.三次的な禁止命令

「三次的な禁止命令」は、二重拘束のさらに後にあるものです。

一次と二次の矛盾した命令から逃げられないようにするのがこの第三次的な禁止命令です。

「二重拘束なのに3つ?」と思われるかもしれませんね。拘束は一次と二次で成立します。

三次はさらに輪をかけて拘束される時にあるもので、親によってあったりなかったりします。

 

下は3つの禁止命令を実際の例で解説したものです。

<例1>
●一次的な禁止命令
「親の言うとおりにしないと、◯◯を許さないからな」
●二次的な禁止命令
「言い訳はやめろ。やりたいなら真剣に親を説得してみろ」
●三次的な禁止命令
「本当にやる気があるなら親の言うことにも構わずやるものだ」

 

<例2>
●一次的な禁止命令
「なんで親に相談しないんだ。勝手なことをするからおまえは失敗するんだ」
●二次的な禁止命令
「そんなことぐらいで親に頼るな。それぐらい自分の頭で考えろ」
●三次的な禁止命令
「なんでもやってみるのはいいが、親に心配をかけさせるな」

 

<例3>
●一次的な禁止命令
「親の言うことが聴けないならもう好きにすればいい」
●二次的な禁止命令
「勝手なことをするならもう親子の縁は切る」
●三次的な禁止命令
「親は子どものためを思って言っているんだ」

 

こんな状態に置かれた人間は一体どのようになってしまうのでしょう? 答えは、、、

「考えることをやめ、行動しなくなる」です。

 

ダブルバインドを長い間受け続けていると、何を信じていいのかがわからなくなってしまいます。

何をするにしても「親から否定されるのではないか」という恐怖が付きまとい、自分の考えたことも信じられなくなります。

どんどん自分の思ったとおりに行動できなくなっていきます。

 

否定されるのが怖いのでいつしか親の命令でしか動けなくなります。

しかし、ダブルバインドをする親は否定をやめません。

こんどは行動しないことを否定してきます。

 

ダブルバインドは、徐々にあなたの意思を奪い自立心を壊します。

 

 

ダブルバインドへの3つの対処法

ダブルバインドはそのほとんどが無自覚のうちにおこなわれています。

親もあなたもダブルバインドの存在にはなかなか気づけないでしょう。

したがって、ダブルバインドの解消には、まずあなたが親がダブルバインドをしていることを見抜けるようになることが必要です。

実はここがいちばん難しいのです。

 

ダブルバインドを見抜ける視点が持って、親がダブルバインダーだと認定してください。

 

1)親の言っていることをよく観察してみる

親が矛盾したことを言っていないか注意深く観察しましょう。

言っていることとやっていることが違っていたり、前回言っていたことと今回言っていることが食い違っていたり、こんなことがたびたびおこっていたら親のことをダブルバインダーとして認定してみましょう。

 

2)禁止命令を放棄する

親をダブルバインダーだと認定できたら、常に警戒しながら親の言葉を聞きます。

親が禁止命令を出してきたら従ってはいけません。

一次的な命令にも二次的な命令にも従いません。どちらの禁止命令も放棄するのです。

冷静になって親の言葉を受け止めます。受け止めはしますが受け入れてはいけません。矛盾する禁止命令だとわかったら従ってはいけません。

もし、あなたがじぶんひとりの力だけでは太刀打ちできないと感じたら、理解ある第三者に相談したり、専門のカウンセラーに客観的なアドバイスを依頼するのもいいでしょう。

 

3)自分のことは自分で決める

自分の気持ちに正直でいるようにしましょう。

恐怖心にかられて親の従っていればいつまでもダブルバインドからは抜け出せません。

常に自分で考えてみることです。自分のことは自分で決めるようにしましょう。

最初は小さいことからでもいいので、自分で考えて思った通りにやってみてください。

自分で自分を認めてあげることで、本当に意味で自分の人生が始まります。

親があなたのことを否定してきたとしても、「自分で考えてやるから」「私はそれでいいの」と受け流しましょう。

 

あなたはこの世界に一人しかいない尊い存在です。

誰からも指図されない人生を許されたオリジナルの存在です。

そんなあなたは、親に指示や許可をもらわなくても自由に行動していい権利があります。

親がどう思うかは問題ではありません。大切なのは、あなたがどう思うかです。

 

ダブルバインドを受け入れてはいけません。

どんなことを言われたとしても、親の考えは親のものであり、自分の考えではないと分けて考えましょう。

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