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コラム 幸せな人生を生きるために

アダルトチルドレンだった30代女性の解決事例

アダルトチルドレンだった30代女性の解決事例
 

[相談事例]わたしはアダルトチルドレンかもしれません。

当時の年齢で三十代も中盤にさしかかった彼女は
「人間関係が苦手で、なんとかしたい」
という理由で相談に来られました。
 
「いろいろ調べました。
わたしはアダルトチルドレンかもしれません」
とおっしゃっていました。
 

そう言う彼女に私はこう聞きました。
 
「どのようなことに不具合を感じていますか?」
 
すると、、、

  • 仕事場などで会話の輪に入れない
  • 男の人を信じられない
  • 自分をダメな人間だと思ってしまう
  • なにをやっても失敗する気がする
  • 失敗が怖くて責任のある仕事から逃げてしまう
  • 自分を醜いと感じてしまい、人から距離をとってしまう

彼女は仕事場での人間関係、
男性との関係に問題を抱え、
これまで誰にも相談できずに
 
「自分の性格が悪いんだ」
 
「なんでこんな性格で生まれてきたんだろう」
 
とずっと一人で悩んできたそうです。
 

さらに私は彼女の過去の親子関係についても質問していきました。
 

彼女は重い口を開いてくれました。
 
そして見えてきたのは、
精神的暴力をおこなう父親と
娘をいけにえにささげる母親
の存在でした。
 
父親はいつも怒りを爆発させている人でした。
 
家ではいつも不機嫌で、
すぐカッとなり怒鳴り声があげていました。
 
前ぶれもなく怒り出し、
何がきっかけになっているかはわかりませんでした。
 
怒り出せば、汚い言葉でののしるのは当たり前。
暴力を振るわれることもありました。
 
最初は母に対して怒りをぶつけていましたが、
そのうち、母親も耐えられなくなり、
娘のせいにしだしました。
 
それが小学校のころです。
 

母親は父親の怒りの火の粉が
自分に降りかからないように、
「あの子が悪いから」
といつも言っていました。
 
そうやって彼女をいけにえにしようとするのです。
 
そして、父親の罵る対象は
母親から彼女へと移っていきました。
 

10歳前後の女の子が
毎夜のごとく怒鳴り声や
人格否定の言葉にさらされていたのです。
 
人間としての感性、
価値観の土台を作り上げるたいせつな時代に、
家の中で怒りの標的にされた彼女は
明らかに被害者でした。
 
父親からは
 
「おまえは何をやってもダメだ」
 
「おまえはかわいくない」
 
と言われ続けてきました。
 
ただただ怖いだけの人だったそうです。
 

母親からは、
守ってもらったり支えてもらった
記憶がないと言います。
 
存在はしているが、
同居人のような感覚だったそうです。
 

親という人は眼の前に存在しているけど、
親らしい人は不在の状態でした。
 
子どもを守る役目である「親」が
彼女の家にはいなかったのです。
 
毎日がサバイバルでした。
 
逆らったら生きていけません。
 
ですから、親からの言葉や行為を
受け入れるしか生きる道がなかったのです。
 

人生への影響

彼女は成人してからも
他人との関係で多くの不具合を抱えていました。
 
自分に自信が持てず、
何が起きても
「自分のせいだ」
「自分が悪いのではないか?」
と自分を責めてばかりいました。
 
そのことが理由で
他人との距離感がうまくつかめず、
人と関わることに恐怖を感じるようになっていました。
 

また、恋愛でも大きな問題を抱えていました。
 
彼女は父親から
「おまえはかわいくない」
という言葉を言われ続けていて、
 
その言葉どおりに
「私はかわいくない。自分はブスだ。」
と思い込んでいたのです。
 
だから、彼女は自分の容姿に自信がありません。
 
それが原因で、
男性と深い仲になっていくことに
抵抗を感じていました。
 
何度か男性から告白されることもありましたが、
「この人は私のことをダマそうとしているのではないか?」
と感じてしまうのです。
 
「かわいくもない私に男性がいいよってくるはずがない」

「私に恋愛なんてできるわけがない」

「私なんて愛されるはずがない」
 
こんなふうに思って、
男性を避けるようになっていました。
 

どうやって回復していく?

彼女が自分自身でも言っていたとおり、
まさしくアダルトチルドレンという状態でした。
 
心は傷つき、
自信を失い、
自己否定をくり返し、
自分を見失っていました。
 
でも、まだ希望は捨てていませんでした。
 
人間関係が苦しいと感じるのは
心地よい人間関係を作りたいという
願望の表れです。
 
恋愛をするのが怖いのは
愛されたという願望の表れです。
 
自分のことを責めてしまうのは
より良い自分になりたいという
向上心の表れです。
 
まだ心は折れていません。
そして彼女はメンタルトレーニングを受けることを決めました。
 
彼女にとって一大決心でもあり、
大きな一歩でもありました。
 

私は彼女のメンタルトレーニングを
このように進めていきました。
 

[ステップ1]
過去に親から受けた行為と自分への影響を知るトレーニング

まずは過去に親からされてきたことを
一つ一つ検証することから始めました。
 
「親がしたこと→自分が受けた影響」
というふうに自分のなかにある
不具合の原因を探していったのです。
 
多くの方がそうであるように、
彼女も親が間違ったことをしていたことに
気づいていませんでした。
 

[ステップ2]
問題のある人に振り回されない自分になるトレーニング

親との関わりで影響を受けたことがわかったら、
次は問題を抱えている不健康的な人と
心が自立していて健康的な心理状態の人を
見極められるように学んでいきました。
 
親の言葉を真に受けて、
傷つけられていた彼女には
非常に重要な学びです。
 
問題を抱えている人を見極められるようになって
その人の言葉に振り回されず
自分自身を守るための適切な距離感を
身につけていきます。
 

[ステップ3]
自分のことも大切な人のことも適切に愛し傷つけない自分になるトレーニング

このステップでは、
なぜ人間関係が怖く感じるのか、
なぜ自分自身に価値がないと思ってしまうのかなど、
さまざまな不具合の原因を探って
改善策をを学んでいきます。
 
自分自身に対するネガティブな思い込み、
他人に対するネガティブな決めつけを探し出し、
それらをひとつひとつ解消していきます。
 
恐れや不安の原因を探ることで
人間関係に対して過剰に恐れを感じてしまう現象の
克服を目指します。
 
また、すでに親となっていて
お子さんとの関係を改善していきたいとか
自分自身が毒親になりたくないと
考える人にはとても重要な学びとなります。
 

[ステップ4]
思った通りに行動していける自分になるためのトレーニング

このステップでは、
自分の生まれ持った性質や個性を調べ、
自分がどのように考え、行動したら
生きやすくなるのかについて学びます。
 
誰にでもある得意、不得意を知ると
いかに自分が今まで無理して生きてきたのかが
わかりやすくなります。
 
自分に向いていること、
自分が楽しく感じること、
自分が楽に成果を出せることなどがわかると
人生は好転しはじめます。
 

[ステップ5]
良好なコミュニケーションで信頼関係を築ける自分になるためのトレーニング

最後は、健康的な心理状態の人と
良好な関係をつくっていくための
考え方や方法も学んでいきます。
 
関わり方や気持ちの伝え方など、
さまざまなテクニックを身に着けていきます。
 
夫婦関係や子どもとの関係など、
大切に思う人たちと信頼関係を築き、
さらに持続していくための方法を学びます。
 

***
 

このトレーニングを受けはじめた彼女は
今まで言い寄ってくる男の人はダマそうと悪い人だとか、
私が話すと白けるから会話の中に入っていけない
と信じていたことが錯覚や思い込みだった
ということがわかりました。
 
そして、その錯覚や思い込みを作っていた原因が
今までに親から言われていた言葉や見ていた態度
であったということもわかりました。
 
その後、ステップを進めていくうちに
他人と関わることは怖いことではないし、
もし問題を抱える人が見つかったら従わなくても
自分の身を守れることも知りました。
 
6ヶ月を過ぎた頃、
彼女は自分の気持ちや考えを感じて、
感じたままに気持ちを表現し、
行動できるようになっていました。
 
自分自身を客観的に分析して、
何をすることが自分の幸せにつながるのか
何をしたら自分のためにならないのかを
見極められるようになるまでに
心を成長させることができたのです。
 

現在の彼女はどうなっているのか

彼女は親とはあまり関わっていないと言っていました。
 
連絡があってもそっけなく返していて、
嫌なことははっきりと気持ちを伝えて
断ることができているそうです。
 
これまで親に感じていた恐怖で
支配された人生から、
自分のための人生へと
変えることができています。
 

人の輪のなかに入ることも
徐々に抵抗を少なくなっているらしく、
今では無理をしなくても
会話ができるまでになっている
ということでした。
 
「誰でも間違うことはある」
 
「失敗するから人は成長するんだ」
 
「価値のない人間なんていない」
 
と考えられるようになった彼女は、
仕事が楽しくなってきたと
言っていました。
 
さらに、
交際している男性もいらっしゃるらしく、
お互いに結婚も意識しているそうです。
 
愛すること、
愛されることを知った彼女は、
かつて自身のことを醜いと思っていた
過去の自分と決別していました。
 

P.S.

あなたは、このコラムを見て
「まだまだ自分はましだ」と思うかもしれません。
 
でも、そこで本当の問題を見誤らないでください。
 
彼女の事例を見て、
痛いほど気持ちがわかるとか
自分も同じ境遇だと感じるのであれば
あなたも十分苦しんでいるはずです。
 
彼女のように
「ダメな自分を変えたい」
と思ってもいいですし、
 
「自分の人生をいきたい」
という希望を持ってもいいです。
 
自分の気持ちを受け入れることからはじめてみませんか?
 
そのときからあなたの人生は
変わりはじめるはずです。
 

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