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コラム

なぜ、カウンセラーは「親に怒りを感じてもいい」と言うのか?

なぜ、カウンセラーは「親に怒りを感じてもいい」と言うのか?
 
まず、「怒り」という感情が
どのように生み出されるのかを
知りましょう。
 

まず、
怒りという感情は、
自分の身を守るために
必要な感情でした。
 
イメージしてみてください。
 
あなたは自分の家で暮らしていました。
 
そして、隣の家には
ご近所さんが住んでいました。
 

そしてある日、
ご近所さんが
あなたの家に勝手に
上がり込んできたのです。
 
そのご近所さんに
あなたが必死に
出て行ってほしいと
伝えても出ていきません。
 

しかも、そのご近所さんは
まるで自分の家みたいに
勝手に冷蔵庫を開けてみたり
あなたの部屋に入ったり
しています。
 
さらに、
「ご近所なんだからいいじゃないか、
気にし過ぎなんじゃないの?」と言って
笑っているのです・・・。
 

さて、
こんなとき
あなただったら
どうしますか?
 
自分の家に他人が
勝手に入ってきたら
腹が立ちませんか?
 

以前にこれと同じ質問をしたとき、
多くの方たちは
「力づくでも追い出す」とか
「警察に通報する」と
言っていました。
 
そう思うのも当然なことですね。
 
他人の家に勝手に入るのは
犯罪なのですから。
 

親に怒りを感じられない子どもたち

またイメージしてみてください。
 
もしご近所さんが
あなたの『親』だったら
どう感じるでしょうか。
 
力づくで追い出しますか?
 
それとも、警察に通報するでしょうか?
 
じつは、心のどこかで
「親だから仕方ない」
って感じる人って
多いんです。
 
あなたはいかがでしょうか。
 

心に問題を抱える親のもとで
育った人たちの多くは、
 
今まで自由に行動するとか、
自由に自己主張をするということを
してこれませんでした。
 
それをしたら
親が不機嫌になったり
怒り出したりするので
怖くて我慢してきたからです。
 

そんな人たちの多くは
親に怒りを感じるということが
簡単なことではありません。
 
怒りを感じるのと同時に
恐怖心が出てきて
怖くて心が緊張してしまいます。
 
怒りを感じても
「どうせ親は変わらない」と思ってしまい
我慢してあきらめていることもあります。
 

怒りを感じることは自由になるための第一歩

もし、あなたが
親の言葉や態度に傷ついているのに、
ときには怒りを感じるのに、
 
それなのに、
きっぱりと断れなかったり、
離れたいのに離れられなかったりするなら、
 
怒りの感情を適切に感じられるように
トレーニングしておかないと
いけないのかもしれません。
 
適切な方法を
身につけておかないと
傷つけられているのに
自分の身を守れなくなってしまいます。
 

1.何をされると怒りを感じるのか

怒りを感じるときというのは、
いくつかのパターンがあります。

  • 大切にしている物を壊されたときに怒りを感じる
  • 大切にしている物を奪われたときに怒りを感じる
  • 権利を侵害されたときに怒りを感じる
  • 理不尽に扱われたときに怒りを感じる
  • 否定されたときに怒りを感じる
  • 考えを押しつけられたときに怒りを感じる

あなたの人生はあなたのものです。
 
だから、あなたが
どのように生きていくのかも
あなたが決めていいことです。
 
それなのに、
親から生き方を決められていたり、
あなたが決めた生き方を否定されたりしているなら、
そのときは怒っていいときです。
 

『あなたが住む家』とは
『あなたの人生』と同じです。

 
親があなたの
生き方を決めている
ということは、
 
あの厄介なご近所さんのように、
あなたの家に勝手に上がり込んで
いるのと同じです。
 
家に侵入されているのに
「親だから仕方がない」と思って
断らないでいると、
 
あなたの人生は
親の人生になってしまいます。

 
親が満足する人生、
親が安心する人生、
 
それは、
あなたの生きたかった
人生でしょうか?
 

2.感じた怒りをどのように表明するのか

怒りを感じても
戦う必要はありません。
 
親の間違いを
証明する必要もありません。
 
あなたの正しさを
わからせる必要もありません。
 

大切なことは
はっきりと断って
従わないことです。

 
怒りをぶつけるのではなくて、
否定されても考えは変わらないことを伝えて
断ることです。

 

わからせようとしても
わかろうと努力をしない親は
延々とあなたのことを否定するでしょう。
 
自分が正しいと
信じている親と戦っても
貴重な時間や精神力が消耗していくばかりで
得られることは何もありません。
 

一方通行でもかまいません。
 
親が理解しようとしなくても
かまいません。
 
あなたが
この先にどのようにしていきたいのかを
伝えるだけです。
 

3.怒りを感じたらどのように行動するのか

気をつけなければいけないのは
怒りを感じているときは
『戦いたくなる』ということです。
 
親に勝たないと
負けたような気持ちに
なってしまうかもしれません。
 
親に負けを認めさせないと
自由に行動してはいけないような
気がするかもしれません。
 

でもそれは錯覚です。
 
人間に備わっている
闘争本能が見せている
錯覚なんです。
 

考えてみてください。
 
親と戦って勝ったら
あなたは幸せになれるのでしょうか?
 
親が負けている姿を見たら
あなたは自由に行動できるのでしょうか?
 

幸せという感覚は、
自分がやりたいと思っていることを
自分の力で自分の判断で
行動できているときに
感じられる感覚です。
 
自由に行動するかどうかは
親に勝つか負けるには関係なくて、
 
あなたが自身が
行動するかどうかで
決まるはずです。
 
じつは、あなたが
自分の人生を自由に生きることと
親との関係とは関連性がありません。
親に怒りを感じるときは、
他人の家に勝手に上がり込む
危険な人と関わっているときかもしれません

 
親に怒りを感じたら、
自分の思ったとおりに
やりたいことはやってみることです。

 
親に怒りを感じたら、
やりたくないことは
やらないことです。

 

怒りを感じることに迷ったとき

もし、親に怒りを感じることに迷ったら
このように考えてみましょう。
 
『一旦、他人だと思ってみる』
 
どういうことかというと・・・
 
怒りを感じたら親とは思わずに
『ご近所さん』だと思ってみる
ということなんです。
 

もし、親が
赤の他人だったら、
 
そんな赤の他人から
あなたの生活、行動、人間関係、人生の生き方などを
とやかく言われたら、
 
腹が立つかどうかと
考えてみるようにしてみてください。
 

相手が親だと思うと
恐怖心や罪悪感が出てきて
迷い出すなら、
 
一旦、他人として
考えて見るようにしてみましょう。
 

「怒りのノート」でトレーニングする

怒りのノートは、
怒りの感情を感じれるように
するためのノートです。
 
なかにはどんなに理不尽なことをされても
怒りを感じないという人もいます。
 
長い間、我慢することが
当たり前になっていて
感情にフタをすることが上手になり
感じにくくなっていることがあります。
 
怒りは親から侵入されていることを
察知する大切なシグナルですから、
ちゃんと感じられるようにしておくことが大切です。
 

怒りを感じられるようになることで、
あなたの家に土足で踏み込んでくるような
親のトゲトゲしい言葉を受け
取らないようにすることもできますし、
 
親が考えを責任を押し付けて
来ようとする時にはっきりと
「NO」を感じれるようになっていくものです。
 
「NO」と実際に言うかどうかは
行動の話なのでまだ先かもしれませんが、
まずは「NO」を感じれなければ
傷つけられていることにも気づけません。
 
怒りのノートは、
あなたの人生に侵入されないように
するためのものですし、
 
親と自分を分けて
健全な関係にしていくための
きっかけにもなるものです。
 

1.新しいノートを用意する(携帯電話のメモ機能でも可能)

ポーチに入れられるような
小さめのノートが便利です。
 
誰にも書いた内容を見せないノートですから、
色や形など好きなものを選んでいただいても
かまいません。
 

2.ノートに日々感じた親への怒りを書き込む

ア)親はどんなことをしてきたか?言ってきたか?

※実際には何もしてこない場合も考えられます。
あなたが感じている怒りは
過去の出来事に対してかも知れません。
もしかしたら、親から適切な関わりが無いことへの怒りかもしれません。
 

イ)そのときあなたはどんな怒りを感じたか?

 

ウ)怒りを感じたあなたは本当はどうしたいか?

 
※人間は攻撃されると同じように攻撃して身を守ろうとします。
しかしそれは争っているだけで健全な怒りの表現にはなりません。
ここでは毅然とした態度でストレートに怒りを表現することが大切です。
 

3.1と2を繰り返し続けてみる

※書き込む数はいくらでも良い。
感じた怒りは大小にかかわらず書き込む。
 
※書くことをためらわないこと。
自分が正しいか、親が正しいかは考えず、
ただただ感じた怒りを書き込んでいく。
 

(例)◯月◯日
ア)母は、私に自分の勝手な都合を押し付けてきた。従わないと腹を立ててヒステリックに怒鳴った
イ)腹が立つ。自分ですればいいのに、私を利用して自分は楽をしようとするからだ。
ウ)「私の仕事じゃない。自分の仕事は自分でやってほしい」と言いたい。
(例)◯月◯日
ア)父は面白くないことがあるとすぐに私を殴った。
イ)腹が立つ。自分のストレスを私で解消しようとするのは理不尽だ。自分勝手だ。
ウ)「あなたのやっていることは人としておかしい。私は暴力には絶対に屈しない。」と言いたい。

 
ちゃんと怒りを感じて、
「怒りきる」ことが大切です。

 
怒り切れていないときは
親に怒りを感じることに罪悪感を感じているとか、
自分はワガママなのではないかと考えてしまって
迷っているときかもしれません。

 
そのときは
改めて相手が他人だったらどう感じるのか
と考えてみるようにしましょう。

 
もし、親に怒りを感じていいのかどうかと
迷いを感じて悩んでしまうとしたら、
 
そんなときはこのコラムに書いてある
いろんな記事を読んでみてください。
 
他の記事には、心に問題を抱える親が
子どもに何を言い、
何をしているのかという知識が書いてありますから
ぜひ確かめてみてください。
 

『怒り』を大事にしてください。
 
『怒り』はあなたを
自由な人生に導いてくれる
大事なものです。
 

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