COLUMN
ご相談事例
[相談事例]過去のつらさを理解してもらうことに執着している私はこの先どうしていったら楽になれますか?
FROM:親子関係カウンセラー川島崇照
過去のつらさを理解してもらうことに執着している私はこの先どうしていったら楽になれますか?
いつもブログを拝見しています。
ありがとうございます。
川島さんの記事を読み始めてから私は親から心を傷つけられていたことに気づきました。
おかげでずっと自分が悪いと思い込んでいたことが親から思い込まされていたことにも気づけました。
私は親との縁を切りました。
だけど、親のやったことを絶対に許せないと思う反面、自分のとった行動は正しかったのかと悩むこともあります。
それが理由なのかどうかはわかりませんが、親がいかに不健全な存在だったかを誰かに理解してもらいたいと思ってしまいます。
これまでのことを友人に打ち明けたのですがみんなわかってくれません。
それに私のほうが間違っているように言う人もいました。
そんなふうに言われるとつらくて、悔しくて、悲しい気持ちになります。
過去のつらさを理解してもらうことに執着している私はこの先どうしていったら楽になれますか?
お答えいたします
カウンセラーの川島です。
ご質問いただきありがとうございます。
あなたは過去の親子関係で
思い出すだけでもつらくなってしまう出来事を経験してきたのですね。
親から愛されなかったことはとてもつらい出来事だったはずです。
たくさん傷つけられましたね。
つらかったですね、悲しかったですね。
でも、これまでよく頑張ってきました。
よくぞ今日まで生き抜いてきてくれたと思います。
執着の背景
理解してもらいたいという執着の背景にあるものは、「批判されたくない/責められたくない」と感じる不安感や「ひとりになりたくない」という孤独感などです。
あなたはこれまで過去のつらい経験を誰にも理解されてこなかったのかもしれません。
それも無理のないことです。
ずっと自分が悪いのだと思い込まされてきたのですからね。
そして今、真実に気づきはじめたことで過去の責任が親にあったことを知りました。
さらに、今まで背負わされてきた重い荷物が自分のものでもないと知りました。
今のあなたは誰かにわかってもらおうとすることで、その重たかった荷物をおろそうとしているのではないですか?
誰かに理解してもらうことで、自分に許可を与えたいのではないですか?
だからこそ、「わかってもらいたい」と感じて執着してしまうのだと考えます。
だけど、親子関係のつらさを理解できる人はそう多くはありませんね。
誰かに打ち明けたけど『親ともっとよく話し合ってごらん』なんて言われて逆に傷ついてしまうことはよくあることです。
わかってもらいたくてもわかってもらえずに落胆してしまったでしょう。
そして、前に進めず足踏み状態を続けてしまうのでしょうね。
小鳥と鳥カゴのおはなし
執着は、よく『小鳥と鳥カゴ』の話に例えられます。
あなたには大切にしている小鳥がいるとします。
大切なので逃げないように鳥カゴに入れているとしましょう。
しかし、小鳥も自由に空を飛びたいので度々カゴから脱走しようと扉を開けようとします。
あなたはそれを見て、逃がしてはいけないと感じて鍵を厳重にしようとします。
そういったことが何度かあると、あなたは「小鳥は逃げるつもりに違いない」と考えるようになるでしょう。
さらに、脱走しないようにいつまでも監視してしまいます。
・・・これがまさに『執着』です。
このとき、大切にしている小鳥から裏切られているような気持ちになってしまいます。
「なぜ逃げようとするの?」と考えて、腹が立ったり、なお一層寂しさを募らせたりとネガティブな感情が湧いてきます。
しかも、執着すればするほど相手も反発し、自分が得たい理想の状態は遠のいてしまうのです。
自分で自分を許す
本当は小鳥の方から近寄ってもらいたいはずです。
大切に思っている小鳥が小鳥自身の意思でそこにいるということがあなたの本当に得たい理想の状態のはずです。
そうすれば、鳥カゴに入れておく必要も脱走しないように監視しておく必要もありませんからね。
この話に登場する小鳥は何を指しているのでしょうか?
実は『わかってもらいたい相手』ではありません。
小鳥は、あなたの『自分を許す心』です。
今のあなたは、自分の考えに『許し』を与えようとして、他人に『許し』を求めてしまうのかもしれません。
それなのに、間違っていると言われて腹立たしくなるのかもしれません。
これは、一生懸命に鳥カゴのなかの小鳥を監視している状態だと思います。
自分が悪くなかったことを証明したくて、そしてその理由を目に見える形としていつでも探してしまいます。
でも目に見える形としては得られず、『自分のしていることは正しいのか?』とずっと監視してしまうのです。
執着を手放すには、小鳥を鳥カゴから出すことです。
それは『自分で自分を許す』ということです。
他人が理解しても、しなくても、あなたが親から心を傷つけられたことは確実に起こったことです。
ですから、あなたの心が傷つけられたということを誰かが理解する必要はないのです。
自分を許すことに誰の許可もいりません。
あなたが親から傷つけられた感覚を持っていたり、愛されなかったと感じるのであればそれが十分な理由なのです。
相手に委ねないで自分に委ねる
確かに他人に理解してもらうことで、心の傷も癒え、負担も軽くなります。
特に家族や友人などから認めてもらうことの効果は大きいと考えます。
しかし、その相手からの理解を得ようとして思考を費やすということは、本来自分が持っている主導権を相手に委ねていることにもなります。
相手に期待しても期待どおりにはいかずに落胆ばかりを感じていれば、どんどん自分を許せなくなっていくでしょう。
親子関係の問題というのは、誰もが理解できるわけではありません。
理解できるとすれば親子関係の心理を学んだ専門家か、もしくは実際につらい親子関係を乗り越えた人だけだと思います。
経験していない人にとっては、理解できないだけでなく反発心も持ってしまうテーマなのかもしれません。
この難しい問題を自分以外の誰かにわかってもらうことは、『宝くじ』みたいなものです。
当たらなくてもしょうがないし、もし当たったらラッキーです。
そんな不確実性の高いことに委ねるよりも、できれば、いつでも自分を信じて委ねられる『自分』でいたいですね。
しかし、、、
誰がなんと言おうともあなたは確かに傷つけられたのです。
あなたが親に責任をなすりつけているわけでも、勝手に被害者意識を持っているわけでもありません。
これまで一生懸命に頑張ってきましたね。
もう、自分をぜんぶ許していいのですよ。
鳥カゴから出て、大空を羽ばたいてください。
あなたはひとりで飛び立てる力を持っています。
もう自由です。
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