COLUMN
ご相談事例
[相談事例]親が援助を要求してきます
From:親子関係カウンセラー川島崇照
2017/10/10更新 男性 アレックスさんの相談
責めてくる親とどのように関わっていけばいいでしょうか?
私の母親の件でご相談です。
私の両親は九州に、私たち夫婦は神奈川に住んでいます。
両親への電話は2週間に1回程度しています。
ここ数年、両親(特に実母)は妻に対しての嫌味を言います。
(もっと仕送りを増やせ。親に対する配慮が足らない等)
そのせいで、妻は両親と話をするのも帰省するのも
こわくなっている状態です。
私達夫婦としては出来る限りのことをしてきたつもりですが、
両親からは感謝どころか不満に思われています。
- 親は子供を大学までいかせ多額のお金をつぎこんだから、親を養うのは当たり前だ。
- 嫁は同居するのが当然、できないなら嫁失格だ。
ということを言い放たれてきました。
両親は面倒をみてもらうのが当たり前と思っているせいか、
自分たちで貯金するとか、最低限の援助金を申し出るとか、
少しでも迷惑かけないようにしようといった態度はみられません。
子どもと別個の家庭を持っているという意識がなく、
精神的にも経済的にも子離れしていません。
援助を断ったり、減額したりすると、
同居をしない妻を責め、嫌味なことを言うので、
それが嫌でほぼ言いなりに援助してきました。
大切な両親ですし、平和な関係を築きたいと思っています。
ですので、出来るだけのことはしたいのですが、
こんな親とこれからどのように関わっていったらよいのでしょうか。
アドバイスの程、何卒よろしくお願い致します。
川島崇照です。
ご相談ありがとうございます。
拝見いたしました。
ご実家の両親が子離れしてくれないのですね。
そして、奥さまを責めたり、嫌味なことを言ってっくるのですね。
それにもかかわらず、ほぼ言いなりに援助してきたとのこと。
いろいろとご苦労があったことと思います。
子離れできないは『依存』のサイン
拝見していて思ったことは、
ご両親は、“自分たちの人生を自分たちの力で幸せにしてく”
という『自立の意識』をあまり持っていないのではないかということでした。
相手が自立した心の持ち主で、
感謝できる人たちなのであればいいのですが、
もし自立していない人たちに
〈やってあげる〉と相手はどんどん自力を失い、
〈もっとやってほしい〉に変化していきます。
そしていつしか〈やって当たり前〉となってしまいます。
ご両親が自分たちの人生の責任を放棄し、
あなた方ご夫婦に頼ろうとしているのは、
もしかしたら『依存』かもしれません。
「その責任や考え方は誰のものか?」と考える
- 親は子供を大学までいかせ多額のお金をつぎこんだから、親を養うのは当たり前だ。
- 嫁は同居するのが当然、できないなら嫁失格だ。
なぜ、子は親を養うのが当たり前なのでしょうか?
両親は結婚し、家族をつくるという決断をしました。
そして、あなたを産むという決断をしました。
決断をしたのはご両親です。
責任とは決断をした人に生ずるものです。
本来であれば、親は親の責任としてあなたを育てなければなりません。
それに、あなたが無理矢理に大学に行くことを決めて学費を奪ったのでないのであれば、
そうしたことも親の決断であり責任なのです。
さらに、『嫁が同居するのが当然』という考え方は親のものであり、
あなたのものではありませんね。
親子である前に、人と人として対等なはずです。
親だからと言ってすべて正しいなんてことはありません。
人間なのですから必ず間違います。
『それが常識だ』なんて言葉を使ってくるかもしれませんが、
それは誰の常識でしょうか?
そうです。それは親の常識であり、あなたたちの常識ではないのです。
それなのに、『嫁が同居するのが当然』という親の考え方を押し付けられ、
それを理由に嫌味を言われてきたのではないでしょうか。
親を自立させる
人に何かをしてもらったときに感じる幸福感というのは
そんなに長く持続しません。
幸せの形というのは人それぞれで、
何を幸せと感じるかはその本人にしかわかりません。
ですから、自分たちの幸せは自分たちの力で作るしかないのです。
それなのに、ご両親はあなたたちに『依存』をしているようです。
依存して、あなたたちに幸せにしてもらいたいと思っているかもしれません。
しかし、長くは持続しない幸せですから、
「もっとして欲しい」「あれもこれもして欲しい」と要求してきます。
しかし、そのときに両親の要求に言いなりに援助していれば、
親はいつまでたってもあなたたちを傷つけていることに気づけません。
そうすることが当たり前のように思い込んでいるので、
まさか自分たちが依存しているなどとは考えもしないでしょう。
少しショックな事かもしれませんがお伝えしますね。
援助するということは、
「どうぞもっと要求してください」と言っているのと同じです。
親が依存的になるときというのは、
そのほとんどで、子どもが親の依存を受け入れているからです。
ですから、親の依存を受け入れてはいけません。
親に自立してもらうためには、
親を依存させてしまうような援助はしてはいけないのです。
大切な親だからこそ断ろう
親に依存させたままにするということは、
あなたたちの貴重な時間やお金もすべて捧げているということになります。
さらに、親はいつも「あなたたちは何もしてくれない!」と感じて
欲求不満を抱えてしまいかねません。
これでは双方が不幸ですね。
誰にとっても良い状態ではありません。
親はいつかいなくなるでしょう。
そのときにあなたたちは解放されて自由になるかもしれません。
しかし“そのとき”はいつやってくるでしょうか?
それは数十年後かもしれません。
まだまだ遠い先かもしれません。
やっと解放されても残された時間はそう多くはないのが現実です。
それに、今解決しておかないということは、
今しかできないことをずっと我慢して生きていくということになります。
そこで後悔するのはあなたや奥さまです。
ですから、大切な親だからこそきっぱりと断りましょう。
ご自身のためにも、親のためにも、
依存のない関係を目指すことが
手に入れたい『平和な関係』の第一歩です。
もし、そこで親が奥さまを責めたとしても、
それは奥さまの責任ではありません。
親がそうすることは親の偏った考えたや依存心によるものです。
ですから、責めてくることに対してもはっきりと断らなければなりません。
きっぱりと断って、あなたたちの正直な気持ちを伝えることが大切なんです。
平和な関係とは、お互いが尊重しあい、いたわりあう関係のなかで築かれていくものです。
あなたが親に対して言いなりに援助をすることはあなたにとって平和ではありません。
それは勝手に侵入されて搾取されているのと同じなのですから。
あなたの正直な気持ちに従ってください。
援助したくないのであればしなくてもいいのです。
もしそれでも “できるだけ” のことをしたいと思うのであれば、
あなたたちがやれる範囲のことだけに留めるようにしましょう。
それ以上のことは「できません」と言って断ります。
断るときに相手を納得させようとしなくてもいいです。
なぜならば、依存的な親はは『依存できる状態』を
手に入れたいので必ず否定してくるからです。
したがって、あなたは親に細かく説明する必要もありません。
親に人生の主導権を奪われてはいけません。
あなたはあなたの人生を生きてもいいのです。
そして、親も親の人生を生きなければならないのです。
どうか、奥さまと幸せな生活をお送りください。
そのためにも依存は受け入れないでください。
親子関係カウンセラー
川島崇照
- 子離れできないのは『依存』のサイン
- 大切な親だからこそきっぱりと断ろう
- 断るときに説明することも納得してもらうことも必要はない
- あなたはあなた、親は親、それぞれの人生を生きることでみんなが幸せに生きることができる
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