親子関係カウンセラー川島崇照（かわしまたかあき）

 

きょうはこれまでに実際にあったご相談の事例を紹介いたします。
※これは公開OKなご相談事例です。
※個人が特定されないように内容は多少改変しています。

 

 

母親は精神的に未熟な人です。

Rさん

はじめまして
おとなの親子関係相談所
親子関係カウンセラーの川島です。
ご相談ありがとうございます。

62歳の母親の言葉遣いや行動が男っぽく、
さらに、性格はまるでわがままな子どものようだということでしたね。

読ませていただいて、確かに子どものようなところが伺えました。

「小さいときから精神が成長してないんでしょうか？」とRさんが感じられているとおり、わがままな親は何かの影響で精神が自己中心的な段階で留まってしまい、その後の成長が著しく遅くなるか、止まってしまっているというケースがあります。

この「何かの影響」というのは、その人が子ども時代に精神的、身体的虐待を経験しているようなときです。

親がワガママになった理由１
親から愛されずに育った

子どもは親からの愛情を受け取り、「自分は愛されているんだ」という感情を覚えます。
そうすることで「自分は自分であっていい」という自己肯定感を養っていくことができます。
精神を成長させていくためにはこの自己肯定感がとても大切です。
いわゆる自信にもつながりますし、自信があれば、自分と他者との違いを認めることもできます。

もし、親がこの愛されているという感覚を養ってもらえなかったということであれば、
子ども時代の自己中心的な段階から未だ成長できていない可能性もあるでしょう。

母親の親（あなたにとっては祖父母）も同じように未熟な人でワガママだったのかもしれません。
いつも自分のことばかりで子どもの気持ちなど二の次だったのかもしれません。
だから、母親は愛情を受け取れず精神的に未熟になってしまったのかもしれません。
これだって十分に精神的虐待です。

Rさんも感じていらっしゃるように、
母親は粗野な態度をとったり、相手の気持ちを察することなく傷つくことを言ったり、
わがままで傍若無人にふるまったりするのは「精神成長がストップした未熟な親」の典型例です。

心配されるかもしれないのでお伝えします。

母親が精神的に未熟だからといってRさんもそうなるとは限りません。
こういった親のもとで育った子どもは逆にしっかりとした人になることも多いです。
親が未熟だったので子どもが『子ども』として生きられなかった事が多いからです。

親が未熟だと子供は安心して頼ることができません。
だから何でも1人でしないといけません。
そして、無理矢理に大人になってしまいます。
親が未熟だと子どもは早々と大人びた人になるケースはよく見られます。

また、子どもが親代わりになって家の中のことをしているなんていうケースもよくあります。
子どもが家の中のことをしてくれるので親はいつまでたっても未熟なままです。

親がワガママになった理由２
過保護や溺愛をされて育った

過保護や溺愛をする親に育てられるとわがままになることがあります。

何をやっても無条件に許されていれば、自分がしたことで相手がどう感じるかなど、相手の気持ちに寄り添うということができない人になりやすいです。

相手の身になって考えるということができないので、思いつきで行動します。
自分の行動の影響を予測するということができません。

ワガママで精神的に未熟な親の特徴

親がワガママな態度をとるのは、欲求を満たしたいからです。
精神的に未熟なので我慢するということができません。
だから、「やりたいものはやりたい」と感じてしまいます。

大人になりきれいていないので、他人にゆずるということもできません。
それよりも、自分の欲求を他人に押し付けて振り回します。

気分屋です。コロコロと意見を変えます。
自分勝手です。責任転嫁をします。
とにかく、自分の思い通りにならないと感情的になります。

それは、まさに３歳の子どもと一緒です。
（３歳のお子さんを持った方は気を悪くしないでください^^;）

こういった未熟な親にルールや基準はありません。
その時の気分でコロコロと変わりますから。

 

 

家の中が汚いという特徴があるのが未熟な親の特徴です。
自分に興味のあるものなどには集中できるのですが、それ以外は気持ちが向かないのですね。

 

 

未熟な方は、自己と他者の違いを受け入れることが苦手です。
相手に配慮することができず、思ったことをストレートに言ってしまいます。

でもそれが事実かどうかは関係ありません。
未熟な親はとにかく自分の都合の良い状態を作りたいので子どもを否定します。

もしかしたら、あなたに性格が悪いと言って否定し、母親の思う通りにしたかっただけかもしれません。
もしかしたら、あなたが女性らしくなることが許せなかっただけかもしれません。

精神的に未熟だから子どもをライバル視します。
母と娘の関係ではよく見られる事例です。

実際にRさんのお顔立ちがどうかということではなく、母のコンプレックスで言っている場合もあるでしょう。
母親は自分の顔立ちにコンプレックスを持っていて、化粧をすることに抵抗があるのかもしれません。
だから、女性らしくしているRさんをバカにすることで勝ちたいのかもしれませんね。
ライバルには負けたくないんです。

 

親を変えようとすることはデメリット満載

未熟な親は「大人」になりきれていないから子どもと競ったり、争ったりします。

 

 

確かに素直に聞き入れて、肯定してくれたら子どもの立場からしても嬉しいですよね。

しかし、そもそも自分のことしか考えられない母親です。
Rさんのお気持ちを察したり、Rさんの価値観を受け入れることができなかった母親です。

もし、基本的に子どもの気持ちを考えられる母親であったならば、
これまでもたくさんのチャンスがあったことでしょう。

Rさんもこれまで悲痛な訴えをしてきたのでしょうし、
それなのに気持ちにじっくりと耳を傾けるということができなかったのではないでしょうか。

言ってわかる親であればもうすでに変わっていると考えます。
しかし、そうできない親だからこそRさんはお辛いのですよね。

 

大切なことは、親を変えようとしないことです。

大切なことは、親を変えようとしないことです。
変わらない親を無理に変えようとしてもRさんが消耗していくだけです。

母親が変わるには、母親自身が気付かなければなりません。
そして自らが変わろうと思わないかぎり変わることはありません。

他人を変えようとすることは、
Rさんの貴重な時間や精神力をつぎ込んで勝つ見込みのないギャンブルをしているようなものです。

メリットはほんのわずかかもしれないのに、デメリットは確実に満載です。
一緒にいてつらくなる母親との生活と、
これから一緒に暮らしたいと思っている方との生活と、
どちらの人生がRさんの人生を輝かせてくれますか？

Rさんの人生はRさんのものであり他の誰のものでもないはずです。
Rさんの幸せはRさんが創らなくてはなりません。

もう親から人生を奪われないために、
物理的にも精神的にも距離をとることを考えてみましょう。

さらに、未熟な親を相手にして言い争うなど、
貴重な人生を捧げないようにしましょう。

これまで母に捧げていた貴重な時間と精神力を今度は自分のために使ってみてください。
そして、自分が幸せになるために人生を前に進めてみてはいかがでしょうか。

 

親子関係カウンセラー
川島崇照