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親を世話しないのはワガママなのか?を心理的に解説

親を世話しないのはワガママなのか?を心理的に解説

結論からお伝えすると、
子どもが親を世話する
責任はありません。

 
それなのに、
親を世話しなければならないと
責任を感じるのであれば、
 
それはあなたが
自己犠牲をしようとしている
ときかもしれません。
 

私たち人間が生きていくうえで
果たす責任には、
3つの種類があります。

  • 【1】自分の人生を自分の力で生きていく責任
  • 【2】自分のパートナーに果たす責任
  • 【3】自分の子どもに果たす責任

ここで注目してもらいたいことは、
子どもが親に対して
果たす責任というのが
無いということなんです。

 
じつは、
親は自分の力で生きていくのが
自然な形だということなんです。

 

それでは
上記3つの責任について
もう少し詳しく解説をしていきましょう。
 
さらに、その先も
読み進めていただければ、
 
心理的観点から、
なぜ子どもが親を世話する
責任がないのかについても
わかっていただけるはずです。
 

【1】自分の人生を自分の力で生きていく責任

これは、
あなたが自分の人生を
自分の力で生きていく責任が
あるということです。

  • 自分の生活を自分の力で支えること
  • 自分の心の安定と身体の健康を自分の力で保とうとすること
  • 自分の問題を自分の力で解決すること

たとえば、
生活をしていくために働いて
収入を得ようとすることは、
責任を果たしていることになります。
 
欲しいものを買うために
貯金したり節約したりすることも
責任を果たしていることになります。
 
そのほかにも、
嫌なことがあったときは
他人に八つ当たりせず、

自分の力で気分転換をしようとして、
安定した精神状態に戻すというのも、
責任を果たしていることになります。
 
ときには怪我や病気で
働けないときもあるでしょう。
 
そんなとき、
病気や怪我を治すために
病院に通って治療を受けたり、
 
薬を飲んだりすることも
自分の責任を果たしている
ことになります。
 
それに加えて、
普段から健康づくりを心がけて、
食生活に気をつけるとか、
体力づくりをしながら
健康に生きようとすることも
自分の責任を果たしていることになります。
 
自分が問題だと感じていることを
他人に押し付けるようなことなく、
自分の力で解決しようとすることも、
責任を果たしていることになります。
 

そして、
自分の人生を自分の力で
生きていく責任は、
親も持っている責任です。
 
もし、親が子どもに
世話を強要しているなら、
その親は自身の責任を
果たしていないことになります。
 

【2】自分のパートナーに果たす責任

パートナーとは、
あなたが結婚をしているのであれば、
あなたにとっての
夫や妻という存在です。
 
結婚はしてはいないけれど
伴侶と呼べる存在の人がいるのであれば、
その人もあなたのパートナーになるはずです。
 
また違った表現をするのであれば、
『人生を共に生きる人』
ということになるでしょうか。
 

パートナーと
共に人生を
生きるということは、
 
お互いに力を出し合って、
協力しながら生きていく
という前提があります。
 

その前提も自分と相手の関係性によって
少しずつ違う形になるでしょう。
 
表現は抽象的ですが、
もし言葉にするなら
このようになるでしょうか。
 
これが自分のパートナーに
責任を果たしているときの
代表的な関わり方です。

  • お互いに心の支えとなる/安全基地となる
  • 力を出し合って問題を解決する/協力体制を築く
  • お互いに相手の信頼を裏切らない/約束を守る/不貞行為をしない
  • バカにしない、見下さない/相手の心や身体を傷つけない
  • 相手の立場に立って考える/相手を思いやる

お互いに力を出し合って
人生を共に生きるという、
 
パートナー同士としての
約束事を守ろうとするのが
自分のパートナーに果たす責任です。
 

パートナーに果たす責任は
親も持っている責任です。
 
両親が共に支え合うこと、
力を合わせて協力して生きることは
夫婦としての責任です。
 
でも、両親が支え合わずに
子どもに世話してもらおうと
依存してくるのであれば、
 
両親はどちらもが
責任を果たしていない
ことになります。
 

【3】自分の子どもに果たす責任

親には子どもを
生んだ責任があります。
 
子どもは生まれるかどうか
を選ぶことができません。
 
親を選ぶこともできません。
 
すべては、
親が『子どもを生む』
と決めたからこそ、
子どもが生まれてきた
ということになります。
 
だからこそ、親には、
子どもが生まれてきてよかった
と思えるような家庭環境や
日常の安心感を
提供しようとする
努力が必要です。
 
努力と言っても、
親なんだから何が何でも
子どものために
自己犠牲をしろ
ということではありません。
 
子どもに対して
親が努力をすることは
こんなことです。

  • 子どもの独自の価値観や個性を尊重しようとすること
  • 子どもの気持ちや考えを尊重しようとすること
  • 子どもの心の支えになろうとすること
  • 子どもに力があることを信じて見守ろうとすること
  • 子ども自身の決断や行動を信じて見守ろうとすること
  • 子どもを対等な存在として扱おうとすること
  • 親の考えを押しつけないこと
  • 親の考えに合わないからと言って否定しないこと
  • 親が勝手に決めずに子どもの了承を得ようとすること

このリストを
見ていただければわかる通り、
『親が子どもに果たす責任』
というのは、
 
子どものために
なんでもやってあげる
ということではありません。
 
親の役割というのは、
子どもが自分自身で
考えて決めて、
行動できる人に
育てることです。
 
子どもが
『自分の力で生きる責任』
を果たせる人になるように
導くことです。
 
そのために、
親が率先して行動し、
その様子を見せて
手本となることです。
 

もし、あなたがすでに
自分の力で生きられる年齢に
なっているのであれば、
現在の親にはこの責任はありません。
 
子どもに果たす責任は、
おもに未成年や学生時代を終えていない
子どもに対しての責任です。
 

自分の責任ではないことを頑張るのは自己犠牲

改めて確認してみてください。
 
先ほど、
あなたが生きているうちに
果たす責任はこの3つだとお伝えました。

  1. 【1】自分の人生を自分の力で生きていく責任
  2. 【2】自分のパートナーに果たす責任
  3. 【3】自分の子どもに果たす責任

この責任を視覚的に
わかりやすく配置したのが
下のイメージ図です。
親子関係の責任の流れ

このイメージ図の中に
矢印がありますが、
これが表しているのは
『責任の流れ』です。
 
まず、自分の人生を
自分の力で生きる
責任を果たし【1】

 
次にパートナーに
対しての責任を果たし【2】

 
自分が親として
自分の子どもに
責任を果たす【3】

 
その子どもも成長し、
いつか自分の人生を生き始めたとき、
 
今度は子ども自身が
自分の人生を
自分の力で生きる
責任を果たし【1】

 
次にパートナーに対して
の責任を果たし【2】

 
さらに親として
自分の子どもに
責任を果たす【3】

 
これの繰り返し
だということなんです。
 

責任は、
まるで水のように
上から下に向かって流れます。
 
下から上に
逆流するということは
ありません。

 
責任の流れは
子ども(下流)から
親(上流)には
向かわないということです。

 
だから、
あなたが無理して
親を世話しているのであれば、
 
それは水の流れが
逆流するように、
 
あなたは親に対して
自己犠牲をしている
ことになるはずです。
 

本当はやりたくないことを
我慢してやり、
 
本当はやりたいことを
我慢してあきらめている
ときかもしれません。
 
そんなふうに
生きる人生であなたは
幸せを感じることが
できるのでしょうか?
 

でも、世の中には
それでも親を世話している
という人たちは
たくさんいると思います。
 
もしその人が
親のことが大好きで、
信頼していいて、
一緒にいると安心できる
ということであれば、
 
親を世話することで
その人も幸せな気持ちに
なれるのでしょう。
 

しかし、なかには
親の言葉や態度に
不信感を覚え、
 
一緒にいると苦しく感じて
不安になってしまうのに、
 
それでも
無理して世話をしていて、
不幸な気持ちに
なっている人もいると思うのです。
 

自己犠牲をしていると自分の力で生きる責任を果たせなくなる

そもそも、
心理的にはあなたが
親に果たすべき責任
というのはありません。
 
それでも親の世話を
しようとするのであれば、
 
親と関わることに
幸せを感じられるかどうか
という基準で考えておく
必要があるでしょう。
 
幸せを感じられないのに
無理して親の世話をしていると、
 
親の言葉や態度を
見て不安になり、
次に何を言われるのか、
何をされるのかと、
いつも緊張するように
なってしまうかもしれません。
 

そんなとき、あなたは
【1】自分の人生を自分の力で生きていく責任
を果たす事ができなくなるはずです。
 
無理して親と関わるということは、
自分自身でストレスを
生み出しているということでも
ありますから、
 
自分の精神状態を
いつも安定させておく
ということが
できなくなっていきます。
 
心が緊張していると
体調の変化にも気づきにくく
なりますから、
 
病気になっていても
治るまでの時間が
かかってしまうかもしれません。
 
気分が落ち込めば
食欲も落ちます。
 
緊張や不安が強ければ
不眠になりやすくなります。
 
そんな状態で
自ら問題を作り出していたら、
自分の力で解決することも
できなくなります。
 

そればかりではありません。
 
【2】自分のパートナーに果たす責任も
【3】自分の子どもに果たす責任も
果たせなくなるようになります。
 
ストレスが溜まってくれば、
つい周囲に八つ当たりして
しまうかもしれません。
 
心の余裕がないので、
自分の力で気分転換をすることも
できなくなるかもしれません。
 
そばにいるパートナーや子どもに
ストレスをぶつけてしまい、
自己嫌悪に陥っている人
というのはとても多いのです。
 

自分勝手やワガママとは何か?

親を世話しないことは
自分勝手でワガママな
ことなのでしょうか?
 
自分勝手とは、
自分の都合を他人に押しつけて
振り回すことです。
 
ワガママとは、
約束を守らなかったり、
自分の責任を果たさなかったりして、
周囲に迷惑をかけることです。
 

もしかしたら、
あなたは今まで
親の世話をやめたいと
感じたこともあったのかもしれません。
 
だけど、世話をしないことは
自分勝手でワガママなこと
なのではないかと思って
迷っていたかもしれません。
 
しかし、そもそも
子どもであるなあたには
親を世話する責任は
ないのですから、
 
何もしていなくても、
何かを頑張らなくても、
自分勝手でワガママという
状態にはならないのです。
 

もし、親が
「世話をしろ」
「子どもが親を世話するのは常識だ」
などのように言っていたら、
 
じつは親こそが
自分勝手でワガママな
状態になっている
可能性があります。
 
そんなことを言っている親は、
【1】自分の力で生きる責任
を果たしていないし、
 
その責任を
子どもであるあなたに
押しつけているからです。
 

批判してくる周囲の人たちは何を思っているのか?

子どもを親を世話しないことを
「親不孝だ」「親がかわいそう」
などと言って批判してくる
人たちがいます。
 
そんな人たちは
なぜ批判をしているのでしょうか?
 

そんな人たちの心理には
いくつかのパターンがあります。
 

パターン1 私だって我慢してやっているんだから・・・

このパターンの人たちは、
本当は嫌なのに無理して
親を世話していてストレスを感じています。
 
でも、罪悪感や恐怖心があって
世話をやめられません。
 
そんな人たちは、
親の世話をしていない人を見ると、
悔しくなって妬みを感じてしまいます。
 
だから、
世話をしない
人のことを責めて、
親を世話しないことが
いかに悪いことなのかと
一生懸命に訴えようとします。
 

パターン2 子どもが親を世話するのは良いことだから・・・

このパターンの人たちは、
親のことが好きで
世話をしている人たちです。
 
親を世話をすることに
幸せを感じられているし、
それができている
自分自身にも満足しています。
 
そして、自分の感覚は
誰もが感じられるものだと
思いこんでいるところが
問題点です。
 
自分にとって良いことが
他人にとっても同じように
良いことだと考えるので、
 
良かれと思って
親と関わることを勧めてくるし、
親を世話しないことが
おかしいことだと思って
批判をしてきます。
 

パターン3 誰かを攻撃したいから・・・

このパターンの人たちは、
とてもストレスを抱えています。
 
いつでも自分より
弱い人を見つけては、
いじめのターゲットに
しようとします。
 
理由は何でもいいんです。
 
とにかく誰かを批判したいんです。
 
でも、すぐには批判しません。
 
周囲の人たちが
言っていることを聞いて、
誰も反論してこなさそうな
状態を確認してから
批判を始めます。
 

どのパターンの人たちも、
自分の気持ちや考え方が
正しいと思いこんでいて、
それが他人にとっても
同じように正しいと決めています。
 
世の中には
いろんな親子関係があって、
いろんな考え方があって、
親を好きな人もいれば、
嫌いな人もいるということを
理解しようとしません。
 
思い込みや決めつけだけで
物事を判断する人たちなので、
他人の事情を考えるとか、
 
他人の身に立って
感じるということが
できない人たちです。
 

健康的な親子関係とは何か?

健康的な親子関係を
つくろうとする親は、
自分の人生を自分の力で
生きようとします。
 
まさに
【1】自分の人生を自分の力で生きる責任
を果たそうとする人たちですね。
 
そんな親は
子どもに世話を求めません。
 
そのかわりに、
若くて元気なときから
将来のことを準備しようとします。
 
老後の生活に必要なお金は
自分の責任で準備しようとします。
 
いつか介護が
必要になったときのために、
施設に入るための資金を
用意しようとします。
 
子どもはいつか大人になって
親の元を巣立っていくと
わかっているので、
 
子どもに頼らない
生活スタイルを
つくろうとします。
 
でも、年齢を重ねて
足腰も弱れば、
できなくなることも
多くなるので、
年相応の生活に
しようとします。
 
体力的に無理なことはあきらめます。
 
そのかわりに
体力がなくても
できることを
はじめようとします。
 
自分の身に起こったことは
誰のせいでもないので
八つ当たりはしません。
 
ときには悲しく感じたり、
さみしく感じたりする
こともあるけれど、
そのときには夫婦で
支え合おうとします。
 
老後にもできる趣味を
つくろうとします。
 
自分の責任で気分転換をして、
自分にとってふさわしい
友人関係をつくろうと努力し、
自分にとって害のある人
には近づきません。
 
そうやって、
自分の力で生きようとするのが、
健康的な親子関係を
つくることができる、
健康的な心理状態の親です。
 

あなたの親はそんな人たちですか?
 
親は自分の力で生きようとしていますか?
 

反対に、
親があなたに世話をすることを
求めたりしているなら、
 
あなたの親は
不健康的な心理状態になっていて、
自分の力で生きる責任を
果たそうとしていない状態
である可能性が高いです。
 

親が自分の力で生きていくのが自然な形です。
 
そして、あなたも自分の力で生きていくのが自然な形です。
 
親も子もそれぞれが自分の力で生きて、自立した人生を生きようとするとき、健康的な親子関係がつくられていきます。
 

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