COLUMN
ご相談事例 幸せな人生を生きるために
[相談事例]わたしは子どもが欲しくありません。
コラムテーマのリクエストをいただきました
初めまして。
Y.Kといいます。
今わたしには幼稚園教諭の彼氏がいます。
彼氏から、子供と一緒に遊ぶ話を聞いていると突然悲しくなり、電話口で涙が出ました。
産婦人科で子宮ガン検診を受ける際、待合室で待つ間、小さい子供とお母さん、お父さんが仲睦まじくしている姿を見て涙が勝手に出てきます。
彼氏は子供が好きで、わたしは子供が欲しくありません。欲しくないわけではないとおもうのですが、怖いのです。
毒親の元に育った人が、子供を持つことに対しての恐怖心、子供を見たときに感じる悲しさや寂しさはなんなのでしょうか。
毒親の元で育った人視点の子供とはなんなのでしょうか。
コラムテーマにしていただけたら幸いです。
また、彼氏とはちゃんと向き合っていきたい、考えに問題があるのはわたしだけなので、先生のカウンセリングを受けたいと思っています。
よろしくお願いします。
親子関係カウンセラーの川島崇照です
Y.Kさん、ありがとうございます
子どもを持つことに対して怖いと感じてしまうのですね
そして、自然と涙が流れてしまうのですね
わかりました
そのお悩み、多くの毒親育ちの方たちが持っている特徴的な影響ですね
きょうはそのお悩みについて解説しますね
自分は親と同じことをするに違いないと決めている心理
「子どもを生むことに恐怖を感じる、怖い」と訴えるご相談者は少なくありません
毒親のもとで育った人の多くが、それに似た心理を持っているものです
それじゃ、なんで怖くなるのか?
それは、あなたが「自分は親と同じことをするに違いない」という意識を持っている可能性が高いからなんです
どういうことかというと、
私たち毒親育ちは「愛情が通い合う家庭」とか、「許し、許される、対等な家族関係」という経験を
してこれませんでしたよね
その反対に、理不尽に怒られ、誤ちだと決めつけられ、許されず責められてきました
いわゆる、安全な親から愛された経験も安心できる家庭で自由に生きるという経験も圧倒的に少なかったということなんです
Y.Kさんがそんな家庭に育っていたとすれば、あなたは自分自身が愛される価値ある存在だとは思えないか、思いづらい状態にあるんだろうなと思うんです
そして、愛された経験が少ないということは、愛し方も学べなかったということなんです
だから、自分が子どもを生んで親になっても、自分が育ったような危険な家庭をつくってしまうのではないかと考えてしまうのかもしれません
もしかしたら、自分だってあの親のように、子どもを傷つけてしまう親になってしまうのではないかと考えてしまうのかもしれません
そうやって、「自分は親と同じことをするに違いない」と決めている人は多いものです
悲しくなるのは過去の自分を投影しているとき
まず、あなたが子どもを見て涙を流してしまうのは、過去の自分をその子どもに投影しているときかもしれません
目の前の人や物をスクリーンにして、自分の意識を映し出しているような状態です
そして、その人や物に対して意味付けをするのが投影なんです
彼氏さんが子供と一緒に遊ぶという話をしているときにあなたが泣いてしまうのは、
小さい頃に親から遊んでもらえなかった『悲しみ』や
毎日両親が喧嘩をしていて感じた『さみしさ』などの感情を、彼氏さんの話を聞いていて想像したイメージに投影したのかもしれません
産婦人科で子宮ガン検診を受ける際、待合室で待つ間、小さい子供とお母さん、お父さんが仲睦まじくしている姿を見て、勝手に涙が出てくるのは、あなたが願っても経験できなかった家族像を見たからかも知れません
そして、「自分はこんな経験できなかったな」「自分はこんな親のもとに生まれてこれなかったな」っていう、過去の記憶を目の前の家族に投影していたかもしれないんです
あの人たちが『毒親』になった理由
子どもの心を傷つける親も、ある日突然に『毒親』になったわけではありません
それにだって、必ず理由があるんです
理由はいくつかのパターンがあるので解説しますね
1.親も毒親に育てられた被害者だった
あなたの親もそのまた親に傷つけられていたパターンです
全体の約8割程度がこのパターンに当てはまります
こういう人たちは親から傷つけられたことを認識していない人もいます
ほんとうはつらい子ども時代を過ごしていたのに、親を賛美している人も少なくありません
だから、親からされたことが正しいことだと信じて、自分も同じことを繰り返してしまうんですね
逆に自分の親はひどい人だったと認識している人もいます
恨みつらみがつのって、昔親からされたことを苦労話として延々と愚痴っている人もいます
そして、あえて自分がされたことを自分の子どもにするんですよ
「私ばっかりなんでこんなに苦労しなきゃいけないんだ!」って考えてね
そうやって、自分が経験してきたことと同じことを自分の子どもにして、「私の苦労を知れ!」って、いつまでも人生の後悔を押しつけてくるんです
2.望まない結婚をしてやりたいことをあきらめた
たとえば、好きでもない人と無理やり結婚をさせられたとか、望まない妊娠をしてしょうがなく結婚をしたなどのパターンですね
もし、親から無理やり結婚させられたなんて人だったら、その親もまた毒親だったのでしょう
結婚することを自分で決断していないから、「私の人生こんなはずじゃなかったのに」と強い後悔の念を抱えているんです
夫婦でいつも喧嘩をしていたり、無視し合うなどの冷たい関係だったり、とにかく不仲であることが多いですね
あとは、いつでも夫の両親や親戚の悪口を言っているということも多いですね
望まない結婚をして、やりたいこともあきらめて、自分の人生が未完了なんですよ
だから、子どもが自由に生きようとすると、自分だけ取り残されるような心理状態になってしまうんです
だから、子どもが自立することや、自由に相手を選んで結婚することなど、とにかく子どもの自由を制限しようとします
3.結婚したパートナーからモラハラ・DVなどの身体的、精神的苦痛を受けた
これは主に母親が被害者です
モラハラやDVと聞くと、とても特殊ことのように感じてしまうかもしれませんが、これも結構多いパターンです
夫がいつも怒鳴っていたとかね、少しでも気に入らないことがあると暴力をふるっていたとかね、
そんな家庭じゃ安心して暮らせないじゃないですか
だから、いつでも夫の顔色をうかがって、心が安らがず、緊張ばかりしていたという人は多いですね
そんな家庭じゃやっぱりストレスまみれになってしまいます
そして、そのストレスを娘に愚痴として聞かせるとか、息子に過干渉して気晴らしするとか、自分が抱える問題に目を向けず解決も図らないという状態です
こういう親に依存された子どもは、色んなものを奪われます
奪われて子どもらしい生き方をしてこれませんでした
親が気づけなかったことを気づいたんだ
ここで知っておいてもらいたいことがあります
それは、あなたが子どもを生んで親になることが怖いのは、あなたが親も気づけなかった、これまで脈々と続いていた問題に気づけたということなんですよ
恐怖を感じるときというのは、「親のようにはなりたくない」という意識があるときなんです
あなたはこれまで親を見てきて、「こうはなりたくないな」って考えることができいるのではないでしょうか
そして、自分に向き合ってちゃんと問題に目を向けられているときなのではないでしょうか
もし、「自分なんて何の問題もないよね」って思っていたら、恐怖なんて感じていないはずなんですよ
恐怖心というのは、自分がどうあるべきかを教えてくれる、心の指標でもあるんですね
「私は温かい家庭をつくれるはずがない」と考えてしまうなら、いつも笑顔と笑い声がある家庭をつくりたいという意識があるということかもしれません
「子どもを傷つけない親になれるはずがない」と考えてしまうなら、子どもの気持ちに寄り添える母親になりたいという意識があるということかもしれません
あなたのなかにこういう意識があるから
怖くなると思うんですよ
あなたが子どもを持つことに恐怖を感じたり、悲しくて涙がでるのは、
あなたが子どもを生んで育てるってことに
真剣に向き合っているからだと思うんですがいかがでしょうか
親を見て学んだことを見つけてみる
視点を変えてみましょう
もし、上のように解説のことがあなたの心のなかで起こっていたのなら、
あなたは「愛情通い合う家庭をつくりたい」とか、「争わず仲の良い家族をつくりたい」って、願望があるときです
ということは、これから結婚をして家庭をつくっていくとすれば、自分にとって重要な目標があるということなんですよ
あなたは自分の親を見て、しっかりと学んでいたのかもしれません
自分が温かい家庭をつくるために自分の親を反面教師にできたのかもしれません
あなたが親を見て学んだことを見つけてみてほしいのです
そしてまずは、「私はあの親のようにならないぞ!」って決められたら楽になれると思うのです
できるかできないかは、その後の話ですからね
そのあとは、どのようにして意識を変えていけるかですね
あなたがこれまで親から心を傷つけられた経験をとおして、自分が親となった時に子どもにやっていいこととやってはいけないことを明確に知ったほうがいいでしょう
あなたが悲しみをたくさん感じてきて、そのときに親からどのように接してほしかったかを考えれば、あなたが親としてどのように子どもに接したらいいかがわかるはずです
あなたが怖い思いをたくさんしてきたのであれば、親として子どもにどんな家庭をつくってあげたらいいかがわかるでしょう
あなたはこれまで心を傷つけられてきたことで、何をすれば子どもが喜ぶのか、なにをしたら子どもが悲しむのかを、手にとるようにわかるはずです
あなたが良いお母さんになりたいとか、温かい家庭をつくりたいと思うことができたら、あとはそのための方法をどうするかって考えていけばいいんですよ
愛情を注いでくれない親のもとで育ったあなたは、どれほどに愛情が大切なのかをよく知っているはずです
両親が不仲だったとか、きょうだいで差別されていたとか、いつも危険な家庭で育ってきたあなたは、どれほどに安全と安心が子どもにとって重要なのかを知っているはずです
マイナスを知っているということは、プラスを知っているということでもあります
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