あなたは親と離れることに
罪悪感を感じてしまいますか？
 
たとえば
結婚をして実家を出ようとするときや
就職をして自立をしようとするとき
などです
 
そんなときあなたは
「母親を見捨てるみたいで後ろめたい」とか
「母親を裏切っているようでつらい」という
罪悪感を感じていないでしょうか
 
実はその気持ち
とても多くの人が感じていて
悩んでいるんですよ
 

親と離れるときに感じる責任感

娘ってね
母親にとってみれば
自分自身そのものなんです
 
その感覚って
このコラムでよく紹介する
心に問題を持った母親にだけじゃなく
健康的な母親にも言えることなんです
 
どんな母親でも多かれ少なかれ
あるんですよ
 
でもその二種類の母親の大きな違いは
「娘は娘、親は親だから」って
考えようとしているかどうかです
 
健康的な母親は
自分の問題は自分の力で
解決しようとします
 
当然ですよね、これ
 

でも心に問題を持った母親は
子どもを利用して
問題を解決しようとしてしまうんです
 
そんなときによくするのが
『被害者アピール』です
 
あなたが今親と離れたいのに
離れることに罪悪感を感じているなら
 
あなたは過去に親の『被害者アピール』を
たくさん見てきたのかもしれません
 

［被害者アピール１］母が子どもに父の愚痴を聞かせていた

娘が母親に対して
離れることへの罪悪感を感じてしまう
理由の第１位はこれです
 
母親が娘に愚痴を聞かせているとき
父親のことを言っていることがとても多いですね
 
愚痴のパターンも
いろいろあると思います
 

たとえば
 
「お父さんは仕事ばっかりで
家族を大切に思っていなくて
自分のことばっかりだ」
 
「お父さんはお母さんが
どんなに苦労していても
ぜんぜん手伝ってくれない」
 
「お母さんはお父さんに
浮気されて傷つけられた」
 
とまあいろいろ、、、
 

あなたは母親から
どんな愚痴を聞かされて
いたでしょうか？
 
愚痴を言っている人が
真実を言っていることもありますが
 
思い込みや決めつけで
言っていることはとても多いです
 
特に心に問題を抱えた人は
自分が傷つけられていて
 
いかにつらい思いをしているかを
他者にもわかってもらいたいから
話を歪曲してみたり
 
なかったことをあったかのように
言うものです
 
小さい頃から父親が悪いと
聞かされていたけど
 
大人になってから
それが嘘だと気づいた
なんて人はとっても多いんですよ
 
どっちかっていうと
実は父親のほうが優しくて
理解してくれる人だった
なんて話はよくあることです
 

もしあなたも
思い当たるところがあるのなら
 
子どもの時代に一方的に聞かされていた
母親の愚痴を鵜呑みにしてしまい
 
「父は悪い人で母はかわいそうな人だ」
と思い込まされていたのかもしれませんね
 
母親と一緒になって
父親とのコミュニケーションを
避けていたなんてことも
あったのではないでしょうか
 

しかもそうやって
母の味方をしていると
喜ばれたり優しくしてもらえたり
していたのかもしれません
 
こうやって
母親から父親の愚痴を聞かされ
母親の「私はかわいそうな人」
というアピールを聞いていると
 
あなたが大人になって
母親から離れようとするときに
罪悪感を感じてしまうことが
多くなります
 
「私はこんなにも
かわいそうな母を残して
結婚していいのだろうか」
 
「私がいなくなると
母は一人でつらい思いを
するのではないだろうか」
 
「こんなにも不幸な母親を差し置いて
私だけが幸せになっていいのだろうか」
 
こんなふうに感じて
いつでも罪悪感を感じてしまうんです
 

［被害者アピール２］母親の後悔を聞かされていた

後悔というのは
愚痴にも似ているんです
 
たとえば
 
「お父さんと結婚しなければよかった」
 
「あなたたちがいるから
お母さんはお父さんと
別れなかった」
 
「私はあなたができたから
やりたかった仕事もあきらめたの」
 
ことあるごとに
母からこういうふうに
言われていると
 
「私がいなければ
お母さんはお父さんと
別れられるのに」
 
「私がいなければ
お母さんは不幸にならずにすんだのに」
 
「お母さんがつらいのは
私のせいなんだ」
 
って考えてしまうようになります
 
こうやって母の言葉は
呪いのように
娘の心と体に染み込んでしまいます
 

［被害者アピール３］母が父から罵られるのを見ていた

なにも愚痴を言うことばかりが
被害者アピールなのではありません
 
父が一方的に母を罵っていて
母がただただじっと耐え忍んでいた
なんていう光景も
被害者アピールになってしまいます
 
母親もねアピールしているつもりは
なかったと思うんですよ
 
しかし子どもにとっては
アピールに写ってしまうんです
 
そんな場面を見ていれば
自動的に「お父さんはひどい人で
お母さんわからいそうな人だ」
って感じてもしょうがないこと
 
じつは両親の不仲な姿を
子どもに見せることも虐待なんです
 
だから本来であれば
母は自分の心も子どもの心も守るために
父親に対して「傷つくからやめて！」
って言わなければならなかったでしょう
 
もし母親が父親に感じる恐怖心が
強くて対応できないなら
子どもをつれて父親から離れても
よかったんです
 
それだけ両親の不仲って
子どもにとっては害なんです
 
そのほかの両親の不仲といえば
子どもが見ている前で
母親と父親が頻繁にケンカをしていたとか
 
そのケンカをしたあとに
子どもに仲直りを見せていなかったとか
 
目に見えるケンカはないけど
言葉をかわさないし目も合わせないような
冷たい争いがあったとか
 
これもぜんぶ虐待の一部です
 
虐待っていうのは
報道でよく見るような暴力ばかり
ではありません
 
それは全体の１割から２割程度のはなし
 
それよりも目に見えない
間接的な虐待が大半なんです
 
こういった光景を見続けていると
「お父さんはひどい人で
お母さんわからいそうな人だ」
とすり込まれてしまいます
 

愚痴を言う母親と愚痴を聞く娘

もしあなたも
母親から離れることに
罪悪感を感じていて
 
「かわいそうな母を
悲しませてはならない」
と思い
 
やりたいことをあきらめていたり
やりたくないのに
我慢してやっているなら
真実を知ってもらいたいのです
 
その真実とはあなたこそが
母親を依存させているかもしれない
ということをです
 
依存的な母親というのは
同性である娘に対して
『女性としてのつらさ』を
わかってもらいたくなります
 
なぜなら
いかに母が女性として
つらい思いをしているか
 
いかに父が女性である母を
ないがしろにしているか
を共感してもらいたいからです
 
そうやって延々と
娘に対して愚痴を聞かせようと
するんです
 
聞いてあげなければ
母は不機嫌になりますし
 
聞かない自分は
傷ついている母を
裏切っているようで
罪悪感を感じてしまいます
 
もうね
あの当時のあなたには
逃げ場はなかったと思うんですよ
 
母の愚痴を聞き続けることこそが
あの家庭で生き抜く方法だったのかも
しれません
 
そうやって
愚痴を聞く娘と
愚痴を言う母親という
依存関係が出来上がってしまいました
 

あなたが母を依存させている？！

そうやって愚痴を
聞き続けてきたあなたは
 
今まで常に傷ついている母を
守らなければならないと
思いながら生きてきたのかもしれません
 
でもあなただって
やりたいこともあったはずです
 
でもそれをしてしまうと
あなたが母を傷つけてしまいそうだから
我慢してあきらめてきたのでしょう
 
しかし
かわいそうだからといって
あなたが離れないでいると
母はいつまでたっても
自立していきません
 
愚痴をあなたに聞かせるばかりで
問題解決に向き合わず
自分の力で生きようとしないんです
 
あなたが愚痴を聞いているかぎり
母親はあなたにずっと
依存し続ける人生です
 
言い方を変えれば
母親の生きる力を奪っているのは
娘であるあなたかもしれない
ということです
 
これって本当に多いケースなんです
でもほとんどの人が気づくことができません
 
だからとっても厄介
 
そんなあなたは
こう考えてほしいんです
 
『母の幸せは母自身しか作れない』
 
人の幸せって
やりたいことをやっている
ときに感じます
 
その逆で不幸って
やりたいことを我慢してやらず
やりたくないことを我慢してやっている
ときに感じます
 
だから母も
やりたいことをやっていいし
やりたくないことはやめてもいいんですよ
 
でもそのとき
母はあなたに愚痴を言うだけで
スッキリした気になって
やっぱりやりたくないことを我慢して
やっているかもしれません
 
やりたいことがあるのに
「あなたがいたからやれなかった」
って後悔を口にしているだけかもしれません
 
そしてその愚痴や後悔を言えるのは
あなたが聞いているからです
 
聞いてくれる人がいるから
母も言いたくなるんです
 
いつかこの悪循環を断ち切らないと
我慢してあきらめている母は
この先もずっとそれを続けるでしょう
 
ちょっとで厳しい言い方に
なってしまうんですが
 
依存をする人がいれば
依存を受け入れる人もいるということ
 
依存は一人だけではできないんです
 
悪循環に陥っている母と娘の関係で
依存が強くなることも多いんです
 

自分の力で生きる大切さ

母はもしかしたらあなたに依存して
嫌なことに向き合えない
状態かもしれません
 
でもその母親の世話をしていると
嫌なことに向き合わなくていい状態が
この先も続きます
 
それだとあなたも
ずっと罪悪感を抱え続けなくては
なりません
 
それは誰も幸せではないし
母も娘もいつか共倒れになってしまいます
 
『母の心を守れるのは母自身だけ』
 
母がもしストレスを抱えていて
つらい思いをしているなら
その状況を変えていけるのは
母自身だけです
 
それには
嫌だと思っていることを
やめなければなりません
 
もし母が自分の正直な気持ちに沿って
生きることができたら
素晴らしいですね
 
誰にも頼らず
自分の気持ちを感じて
自分の考えて決めて
生きる
 
そうやって
ストレスから解放されて
自由に生きることが
人間としての幸せです
 
だからこそ今あなたが
母から離れることは
母に依存させない状態を
つくることになるし
 
この先の母の幸せを
作ることにもなります
 
あなたが離れれば
母も一瞬はつらく感じると思います
 
ですがそれは
不幸から幸に転換するときの
過渡期には必要な状態です
 
みんなね不幸でも
それが慣れ親しんでしまったものなら
手放すのは不安なんですよ
 
いわゆる「腐れ縁」というやつですね
 
でも腐っていたら
捨てるでしょ
 
いらないものは捨てる
それがとっても自然なんです
 
「腐れ縁」という言葉を使っているけど
 
縁を切れと言っている
のではありません
 
大切なことは
「腐っている部分は捨ててね」
ということです
 

あなたの責任はあなたの人生を幸せにすること

母は母自身の力で
人生を幸せに生きることが大事
 
そしてあなたの責任は
あなたの人生を幸せにすることです
 
あなたはあなたの人生を
幸せに生きることが大事
 
これまで私も
いっぱい見てきたんですよ
 
母親のそばから
離れることに罪悪感を感じて
結婚をあきらめようとしていた人
 
本当は一緒に生きていきたい人がいて
お互いに同じ気持ちなのに
母を支えなければならずに
自ら別れを選ぼうとしていた人
 
本当にたくさん見てきました
 
でもそんな人たちも
母に感じていた罪悪感の正体を知って
「これは私の本当の気持じゃない！」って知って
幸せな結婚を果たしています
 
だから
今あなたが親から
離れることに躊躇して
本当は一緒に生きて
いきたい人がいるのに
 
恋愛や結婚をあきらめようとしているなら
それをすぐにやめてもらいたいのです
 
私がこんなことを言うのはアレですし
ほんとに余計なお世話だと
思われる方もいらっしゃると思うんですが
でも私は真剣にそう思うのです
 
自分の気持ちに正直に生きてください
 
自分の気持ちに嘘をつかないでください
 
そうやって生きることが
あなたも母も幸せになるための
最短ルートですから
 
親子関係カウンセラー
川島崇照