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親が嫌いって悪いこと?

親と離れたいって思うことは悪いこと?
 

こんにちは、
 
親子関係カウンセラーの
川島崇照です
 

私はカウンセリングをするときに
目標設定をするための質問から
始めるんですが、
 
川島:
「○○さんが現在感じられているお悩みが
すべて解決したとして、そのときに
手に入れていたい理想の状態はどんなものですか?」

 

この質問をすると、
皆さん悩みながらも考えてくれたあと、
 

相談者:
「親と仲良く心地よい距離感で関わっていきたいです」

 
こんなふうにおっしゃる人が多いんです
 

親子を含む人間関係って
必ず自分と相手がいますよね
 
そして仲良くできる関係というのは
自分も相手も「仲良くしたい」と
思えているから実現する話です
 

心地よい距離感も一緒で
お互いが「これを言ったら相手が傷つくかな?」とか、
「これをやったら嫌われちゃうかな?」って思い合えるから
心地よい距離感になっていくんです
 
しかしそういったことを
してくれない親だからこそ
皆さん悩んで相談に来てくれるんですよね
 

だから、
「親と仲良く心地よい距離感になりたい」
とおっしゃった相談者には
必ずこの質問もするんです
 

川島:
「もう一つ質問させてください。
親のことが好きですか?嫌いですか?
必ずどちらかを選んでください」

 

「ちなみに好きとは、
その人と一緒にいて心がポカポカと
心が温まる感覚で、
嫌いとは心が冷えて
固くなるような感覚です」

 

相談者:
「その2つだと、、、嫌いですね」

 

川島:
「○○さんの本当の気持ちは
親のことが嫌いだと言っているんですね」

 

「でも、嫌いな人と仲良くするって
とても不自然なことだと思うんですよ」

 

「もう一度お聞きしますね
あなたが本当に手に入れたい
理想の状態はどんなものですか?」

 

相談者:
「、、、親から離れて自由に生きたいです」

 

なぜこのように多くの人たちが
じつは嫌いな親と仲良くなりたいという
自分の本心ではない目標を
設定してしまうのでしょうか?
 
その理由は、
子どもが親に対して本能的に感じてしまう
『罪悪感』があるからでした
 

私たちって小さい頃から
「親が正しい」って信じて生きてきた
ところがあるじゃないですか
 
それに、生んでもらったし、
育ててもらったし、
何不自由ない生活をさせてもらったことで
 
親から離れて自分の思ったように
生きることに対して、
 
「悪いな、申し訳ないな」っていう
気持ちをどこか抱えてしまいがちです
 

そしていよいよあなたが
就職して自立するとか、
結婚をしたい相手を見つけたとか、
 
親から離れて
自分の人生を生きようとするときに
感じてしまう感覚があります
 
それは、
 
「私は親を捨てて
自分勝手に生きようとしているのではないか」

 
という罪悪感です
 
その罪悪感を感じているときというのは
自分が子どもとしての責任を果たしていない
かのように感じてしまう
「無責任感」かもしれません
 
あなたはそんな感覚がありますか?
 

でもその感覚、
あなたが悪いんじゃないんですよ
 
かなりの確率で、
親が感じさせていた
感覚なんですからね
 

これから、あなたが
なぜ親から離れることに
罪悪感を感じてしまうのかを
順を追って説明していきます
 
もしあなたがそんな罪悪感を感じているなら、
ここに書いてあることはあなたにとって重要です
 
この先、あなたが親から
人生を奪われず自分を生きるための
きっかけとなるはずです
 

親から距離を取れた人たちの心理

まず、先にお伝えしておきたいことがあります
 
それは、親に罪悪感を感じていても
離れられた人たちの心理です
 
親と離れる方たちは
『親と離れたい』という素直な気持ちに
従っているということになります
 
これはとても単純な話なんです
 

親と離れて暮らすことは
もちろんなんですが、
 
中には親と同居している人たちもいて、
「やりたくないことはやりたくない!」
と言ってはっきりと断る
ということをしている人たちもたくさんいます
 
物理的に距離を取っている人もいますし、
心理的に距離を取っている人もいるんです
 
離れ方は人それぞれですね
 

感じてみてください
 
あなたは親と一緒にいて
心が温まるような感覚がありますか?
 
リラックスできたり、
心が楽になったりしますか?
 
もしそういう感覚がなくて、
今でも親から離れていないのであれば
あなたはどこかで無理をしている
可能性があります
 

「○○だから離れてはいけない」
と言い訳をしてしまい、
自分の本当の気持ちに気づかないように
しているのかもしれません
 
自分に嘘をついて
離れたいと感じている自分を
「こんなことを思う自分は親不孝だ」って
自己批判しているのかもしれません
 
今まで親から傷つけられてきたのに
今では自分自身を傷つけているとすれば、
これはとってもつらいことです
 

親と離れられる方たちは
「親から離れたい」という正直な気持ちを
受け入れた人たちです
 
親と一緒にいても心が温まらないこと、
逆に心が冷えて固くなっていることを
素直に認めた人たちです
 
そしてその気持ちをに従って
行動された人たちなんです
 

さらに、罪悪感を感じずに
親から離れられた人たちは、
 
親から離れようとするときに
子どもが本能的に感じてしまう罪悪感に対して
 
「これは私の考えではない、
これは親がすり込んだ不要な感情であり
いままで親から責任を肩代わりさせられてきた証拠だ」
と思えた人たちです
 

そうなんです
 
もしあなたが
親から離れたいのに
罪悪感を感じて
離れられないのなら
 
あなたが親から
責任を肩代わりさせられてきた
ということでもあるんですよ
 

罪悪感で離れられない理由

あなたが親から離れたいのに
そうすることに罪悪感を感じてしまうなら、
 
あなたはこれまで親から
責任を肩代わりさせられてきた
のかもしれません
 
あなたは今まで、
本当は親がやるべきことなのに
親の言いなりになって
代わりにやっていたことはありませんか?
 
親が何か求めているわけではないのに、
親の顔色をうかがって
本当は親の責任なのに
肩代わりしていませんでしたか?
 

  1. 私は娘なんだから、これくらいやらなければならない
  2. 親は苦労して私を育ててきてくれたんだから、今度は私が親を世話しなければならない
  3. 親は病気でかわいそうだから、私がサポートしなければならない

 
こんなふうに、
自分に言い聞かせて、
無理して親の代わりにやってあげていることは、
親の責任を肩代わりする状態になります
 

あなたに責任を肩代わりさせた親は、
どんどん楽になっていきますよ
 
だって頑張らなくていいのですから
 
そして、あなたが
代わりに責任を果たしてくれる状態が
だんだんと当たり前になっていきます
 
そうやって
あなたへの依存度を
どんどん増やしてきたんです
 

気づいた頃には、
親は自分の力で生きることが
できなくなっているでしょう
 
なぜならば、あなたが
依存を受け入れて
責任を肩代わりしてくれていたからです
 
親が頑張って成長しなければならないのに、
それを放棄して子どもに頑張らせていれば
親の生きる力は退化していくのも当然なんです
 

でも、あなたが責任を
肩代わりしてくれていた状態が
長く続いていたので、
 
親も「子どもがやって当たり前」
と考えるようになりました
 
こうやって、
『責任を押し付ける親』が
出来上がっていくんです
 

あなただって親の責任なんて
肩代わりしたくなかったと思います
 
でも断れば怒るだろうし、
「傷つけられた、裏切られた」って
言われるから渋々やって
いたのかもしれません
 
そうやって言われるうちに
あなたの心には罪悪感がすり込まれていきます
 

思い出してみてください
こんなことを言われていませんでしたか?
 

  1. あんなにもしてやったのに、親の言うことが聞けないなんて、、、
  2. 親が苦労して学費を出したのに、あなたには期待を裏切られた、、、
  3. こんなにも親がつらい思いをしているのに、離れていこうとするなんて親不孝者だ、、、

 
この言葉は、
依存的な親が子どもが離れていかないように
罪悪感を刷り込むときの代表的な言葉なんですよ
 
ここに書いてあるとおりの
ぴったりのことを
言われなかったとしても、
 
これと似たニュアンスのことを
言われていれば罪悪感を
感じてしまいますね
 
こうやって
『罪悪感を感じる子ども』
が出来上がっていくんです
 

親の責任とは何か?

そもそも親の責任とは何でしょうか?
 
あなたも、親からどんな責任を
肩代わりさせられてきたのかがわからないと
やめららないはずです
 
ここでは、
子どもに責任を押し付ける親が
自分たちの都合の良い状態を作ろうとして、
 
子どもに罪悪感をすり込んで
責任の肩代わりをさせていた
代表的なパターンを紹介します
 

1つ目は『生きる責任』を肩代わりさせる親です

例えば、自分の人生を
自分の力で豊かにしていく責任や
 
自分の人生の困難を
自分の力で乗り越えていく責任などです
 

生きることの責任を肩代わりさせる親が使う言葉

  • 生んでやったんだから従え
  • 育ててやったんだから親の言うとおりにしろ
  • おまえには金がかったんだから期待に応えろ
  • 誰のおかげで学校に通えるんだ?
  • 誰のおかげで不自由ない生活ができると思っているんだ?

 
親が子どもを養育することは義務であるはずなのに、
そうしたことを引き合いに出して
あなたをコントロールしようとします
 
そうやって本当は親の責任なのに
あなたに罪悪感をすり込んで
親の都合の良い状態をつくろうとします
 
自分の力で責任を果たさないと
問題に対処する力が高まっていきません
 
自分が責任を果たさないと
達成感も感じられず、
自信もつきません
 
ストレス耐性が低いままなので
困難が立ちはだかったときに
心が折れやすくなります
 
だから、あなたは
親が自分の力で生きることを
妨げてはいけません
 
親のことは親がやります
 
そしてあなたは
自分のことをやりましょう
 

2つ目は『老いていくことへの責任』を肩代わりさせる親です

人間は皆平等に老います
 
絶対に老います
誰もがそれを知っています
 
それなのにこんな事を言っていたら
その親は老いに対する責任を
果たせていないということになります
 

老いていくことへの責任を果たしていない親が使う言葉

  • こんな老人にそんな事を言ってひどい!
  • こんな老人を見捨てて出ていくのか?!

 
もし親が老いてから
寂しい思いをしたくないなら、
 
老後に一緒の時間を楽しめる友人を持ったり
 
楽しめて打ち込める趣味や
ライフワークを持ったりすることもできるはずです
 
しかしそういった努力もせずに
あなたに依存しようとして
 
自立を許さなかったり、
結婚に反対しているなら、
それこそまさに依存です
 
親にも自分の老いに
向き合ってもらわなければなりません
 
だから老いている親を見ても
かわいそうだとは思わなくてもいいんです
 
老いているということは
ちゃんと生きてきたということ
なんです
 

3つ目は『病気にかかることへの責任』を肩代わりさせる親です

病気に対する責任を
果たせていない親は
よくこういうことを言いますよ
 

病気に向き合い責任を果たしていない親が使う言葉

  • おまえが心配をかけるから病気になった
  • おまえと話していると病気が悪化する
  • こんな病気の親を見捨てるのか?

 
これらの言葉も
あなたに罪悪感をすり込みます
 
心が健康な親は
病気は自分の責任だと考えています
 
誰かから毒を飲まされたわけでもないし、
病気なんて誰だってかかるし、
誰のせいでもなく自分の責任だよねと考えています
 
病気になりたくないなら
健康づくりに気をつければいいわけです
 
食生活に気を遣ったり
日々の運動を心がけている
という人もたくさんいます
 
子どもからストレスを感じて
病気になったという考え方もありますよ
 
でもここで気をつけてもらいたいのは、
ストレスというのはそれを感じた親が
生み出したものだということなんです
 
例えば、親があなたに依存しようとして、
でもあなたがその依存を受け入れなかったとします
 
依存的な親は
「なんで子どもは親の言うとおりに従わないんだ!」
と怒りを感じるでしょう
 
そして
「裏切られた、傷つけられた!」
って思ってストレスを感じます
 
でもそれって、
そもそも親の問題じゃないですか
 
あなたの問題ではないんですよ
 
あとは心配性な親とかもいますよね
 
子どもが成功するか失敗するのか
わからなくて不安になっているような親です
 
心配って書くと良い親のように聞こえますが、
じつは子どものことを信じられない
ということですからね
 
本当は子どもを信じて見守ることが重要なのに、
その努力をせずにストレスを感じているのは
親の問題なんです
 

4つ目は『死に向き合うことへの責任』を肩代わりさせる親です

人はいつか必ず命を閉じることになります
 
死亡率は100%ですよ
 
だからいつ死んでもいいように
精一杯生きようとするのが
人間という生き物なんです
 
しかし死に向き合う責任を果たせていない親は
よくこういうことを言いますよ
 

死に向き合う責任を果たしていない親が使う言葉

  • そんなふうに言うなら私はもう死ぬ
  • 私が死んだらおまえのせいだ

 
死に対する責任を果たしていない人の特徴は、
親が死ぬことを利用して子どもに
罪悪感を感じさせようとしていることです
 
別に親が死のうとしているという
ことではなくて、
 
それを利用して
子どもの心を支配しようとするところが
問題なんです
 
こういった言葉を言われてきた子どもたちは
親が死ぬことに対して過剰に不安を感じてしまいます
 
「私が離れたら、
親が死んでしまうのではないか」
 
「私が離れたら、
親もあまりの悲しみで自殺するのではないか」
 
こんなふうに感じてしまい
自ら親から離れていかないように
してしまいます
 
本当は離れて自分の人生を生きたいのに、
 
本当は好きな人と一緒に幸せに生きたに、
 
親が死んでしまいそうで怖いから
それを防ぐために自分の人生を生きることを
あきらめて自己犠牲をしている人は
多いのです
 

傷つけるのではなく、自立する

親から離れることは、
『捨てる』ことではありません
 
裏切るわけでも、
傷つけるわけでも
ありません
 
これまで、あなたが
親から肩代わりさせられてきた責任を
本当の持ち主である親に戻していくだけなんです
 

あなたが親から自立するとき、
それは親があなたから自立するときでもあります
 
自分の責任を放棄して、
あなたに押し付けていた親が
やっと自分の責任で
自分の人生を生き始める時なんです
 
これって極めて普通のことですよね
 

人が感じる幸福感というのは、
自分の力で何かを達成したときに感じます
 
「私だってできたんだ!」
「やればできるじゃん!」
って思えたら嬉しいですよね
 

親だって同じなんですよ
 
母や父だって、
誰もがチャレンジしながら生きていくから
人生が幸せになっていくんです
 
だから、あなたが
親の代わりに親の責任を
果たしてはいけません
 
そうすることは
あなたが親の達成感も成長も
奪っていることになるんです
 
あなたが
親から離れることは
親のためにもなるんです
 
裏切ったり、
傷つけたりすることには
ならないんです
 

そうです
 
あなたが親から
離れるときというのは、
 
親もあなたもお互いから
自立するときなんです
 

親とともに自分も自立する

親には自分の人生を
自分の力で生きていく
責任があります
 
さらに、あなたにも
自分の人生を幸せにする
責任があります
 

大切なことは、
すべての人が自分の責任を果たし、
自分の力で生きていくこと
 
そして、相手の責任を肩代わりせず、
お互いが自立した人生を歩んでいくことです
 

あなたが親の責任の肩代わりをやめて、
お互いに自立することができたら
 
本当に『仲良く心地よい距離感の関係』
にが実現するかもしれませんね

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