COLUMN
コラム
毒親の影響は連鎖していますか?
こんにちは
親子関係カウンセラーの
川島崇照です
子育て中のお母さんや
これから出産を控えている女性のクライアントから
こう聞かれることがよくあります
「私は母親のようにならないでしょうか?」
「毒親の影響が連鎖していないでしょうか?」
心配になりますよね、
連鎖していないかどうかって
自分が気づかないうちに
大切な人を傷つけているかもしれないと思うと
不安になってしまいます
今日はね、
そんなふうに過去の親子関係で傷つき、
自分の子どもとの関係に不安を抱える人たちに向けてこのコラムを書いています
あなたはこんな時どうしますか?
<コップに入った牛乳のおはなし>
あなたの家のリビングには
お気に入りのソファーとカーペットがあります
そして、そのソファーに座りながら
あなた子どもがコップに入った牛乳を飲んでいます
すると、何があったのかはわかりませんが
子どもはコップを落としてしまいました
コップに入っていた牛乳はこぼれ、
あなたのお気に入りのソファーを濡らし、
カーペットを汚してしまいました
子どもの心を傷つけやすい人の思考パターン
コップに入った牛乳のおはなしを見てもらいました
さて、あなたはこの話を見て、
子どもが牛乳をこぼしてしまった原因は
なんだと思いますか?
結論から言うと、、、
「子どもがもっと気をつけていたら防げていたはずだ」と思った方は要注意です
そう思った方は、
子どもの心を傷つける思考パターンに
なっている可能性があります
逆に、、、
「しょうがないよね、誰だって失敗はあるもんね」
と思った方は子どもを傷つける思考パターンに
なっている可能性は少ないでしょう
まずは客観的に自分自身を分析してみましょう
もし、あなたが話の中に出てくる、
コップを持っている子どもだったらとして
考えてみてください
牛乳をこぼしたのは故意なのか?
もし、あなたが
コップを落としてしまった子どもだったとして、
こぼれた牛乳を見てどんな気持ちになりますか?
切ない気持ち?
それとも、申し訳ない気持ち?
少なくとも、
楽しいとか、嬉しいとか
ではないと思うんです
ということは、
牛乳をこぼしてしまったのは、
故意にそうしたことではないということが言えそうですよね
少なくとも悪意などはなかったということがわかります
ここでお伝えしたいのが、
「自分だったらどうか」と考えることが
大切だよということなんです
自分の頭の中だけで考えていると、
相手の気持ちを決めつけてしまいがちです
「きっとこの子は注意散漫だったに違いない」
なんて思い込んでしまって、子どもの気持ちを聞く間もなく、怒っちゃいそうになります
大切なことは相手の身になって考えてみることです
あなたの子どもは、
あなたが気に入っているカーペットを
汚してやろうなんて考える悪意のある子でしょうか?
牛乳をこぼすという前提でコップを持つのか?
次に考えてもらいたいのは、
本当に子どもの努力が不足していたのか
ということについてです
「いや、私だったらすごく気をつけるし」
と思った人もいるかもしれません
よっぽど失敗経験を積み重ねていて、
恐怖心が強くなっている状態なのであれば、
「私は失敗するから気をつけなきゃ!」っていう気持ちは、出てくると思うんですよ
もしくは、コップの中身が
貴重な物質であったり、
危険な物質であったりするなら、
やっぱり気をつけると思うんです
でも、コップの中身は牛乳ですからね
牛乳をこぼすことを前提にコップを持つのは、
じつは子どもの行動心理としてはとても不自然なんです
なかには、
「私だったらつねにこぼしてしまうことを念頭に行動する」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう
でもそんなあなたは、
小さい頃からたくさん怒られてきたのかもしれません
親やその他の権力者から失敗を許してもらえず、
強く怒られて恐怖心をすり込まれている可能性があります
そういう恐怖体験を繰り返し経験していると、
「失敗=悪いこと」というすり込みが起こり、
「悪いことをすると、怒られる」
という意識を抱えながら日々をすごすようになります
そして、自分が親になったとき、
子どもにも同じような目で見てしまうことがあるんですね
子どもの心を傷つけやすい人の特徴とは、
子どもの失敗が子どもの注意散漫や努力不足などによって起こるものだという価値観を持っているということなんです
そして、「失敗=悪いこと」という意識で
子どもを見てしまい、
怒ったり叱ったりしてしまいます
そんなとき、あなたは
「悪いことをしたから怒った」という、
あなたにとっての正当な理由があって行動したのですが、子どもはそうは捉えません
子どもは「怒られた=悪いこと」というふうに捉え、
過去にあなたが経験してきたような
「悪いことをすると怒られる」という
意識を持つ可能性が高くなります
そんな経験をしてきた子どもは、
なにをしていても親の顔色が気になります
どんなに気をつけていても
親から怒られそうで怖くなります
ですから、怒られてばかりの子どもは
「牛乳をこぼすと親から怒られる」と恐怖を感じて
一生懸命に失敗しないように気をつけるんです
でもそれって、
毎日恐怖の中で生きている
ということですからね
それがまさに、毒親の影響の連鎖です
こうやって、毒親の連鎖というのは
誰もが気づかないうちに起こります
そして気づいた頃には、
子どもの心は傷だらけになっていて、
すでに親子間の信頼関係も破綻し、
もう修復も難しいなんてケースもよくあるんです
子どもを見て怒りを感じる理由
この世のすべての人は、
自分が正しいと思って生きています
あなたもあなたの子どもも
あなたを傷つけたかもしれないアノ親だって、
みんな自分が正しいと思って生きています
親が子どもを傷つけてしまうのは、
親が自身の考えは正しくて、
子どもにとってもその正しさは正当だと
信じてしまっているからです
だから、自分の考えに従わないこどもを見て
怒りを感じてしまうんですね
子どもを見て怒りを感じているのは自分なのに、
その怒りを子どもから感じさせられていると
思い込んでしまいます
そして、
「怒らせる子=悪い子」って決めて、
「怒らせない子=良い子」に変えたくて
親の正しさを押し付けてしまうんです
そうやって、気づいたら
怒り心頭な状態になっていて
自分でも感情をコントロールできなくなっていた
なんてこともあるかもしれません
コップに入った牛乳がこぼれ、
お気に入りのカーペットやソファーが汚れたのを見て
怒りを感じるのは、
「子どもが悪いことをした」と
決めてしまっているからです
大切なことは、
自分の怒りの感情は
すべては自分が生み出したものであって、
子どもから与えられたものではない
と考えることです
そうやって冷静に自分を分析し、
いかに子どもの身になって考えられるかが大切です
自分の感情の出どころがわかっていないと、
気づかないうちに子どもを傷つけてしまいます
誰でも失敗するよね
子どもが失敗する原因は、
努力不足でも注意散漫だからでもありません
原因は、”認識が不十分だから” です
失敗は誰にもあることです
そして、誰もが失敗を経験しながら
成長していきます
あなただって小さい頃に
いっぱいこぼしたと思うんですよ
大人になっていても、
つい手が当たってしまいコップが倒れて
大事な資料が台無しになったなんてことも
あるかもしれません
そんなとき、私たちは
『学ぶ』ということをします
「ここにコップを置いておくと倒れそうだな」とか、
「大事なものがあるから気をつけよう」って
思えるじゃないですか
これもぜんぶ学んだ結果なんです
経験を活かして、
より良く生きようとした結果なんです
もし、子どもが失敗してしまったときは、
「その子がこの失敗の経験から
何を学ぶかが大事だ」と考えましょう
そして、
「コップは両手で持とうね」とか、
「今度はお座りして飲もうね」って
前向きな言葉で具体的に伝えます
そうなんです
子どもは、
何をすると失敗につながるのかという
認識が不足していただけなんです
失敗は悪いことではありません
失敗は成長のチャンスです
後悔を感じるのは連鎖を止めるチャンスが来たから
もしかすると、このコラムを見て、
すごく落ち込んでいる人もいるんじゃないかなと思うんです
とくに、小さい頃から
親に頭ごなしに怒られていて、
しかも、自分が親になって
同じことを子どもにしていた人など、
そう感じやすいと思うんですよ
そんなあなたが感じているのは、
『後悔』かもしれません
正直、つらいですよね
自分が親と同じことをしていたって思うとね
しかし、そんなに悲観することはありませんよ
あなたが後悔できているのは、
学んで成長したからなんですからね
後悔を感じるのは、
連鎖を止めるチャンスが来たからです
あなたが自分の感情と子どもの行為を分けて考え、
もう子どもを傷つけたくないと思ったからなんです
同じ間違いを繰り返さないと決める
あなたはこのコラムを見て、
上の世代から受け継ぐ悪影響があることを知り、
その悪影響が下の世代に連鎖していくことも知りました
そして、もしここに書いてあることが
あなた自身にも当てはまっていているなら、
いちばん重要なことは、
「子どもの心を守る」と決断することです
子どもにとって、
親の言葉や行動から受ける影響は絶大です
あなたの言った一言やふとしたときの表情など、
その一つ一つが子どもの人生を左右するほどの
影響を与えることだってあります
親からたくさん傷つけられたあなただったら、
心の痛みというものがどんなものかを
嫌というほど知っていることでしょう
それは、子どもがどれほど傷ついているかを
察してあげられる力を持っているということでもあります
思い出してみてください
あなたが失敗してしまったとき、
理由も聞いてもらえず怒られたときの心の痛みを、、、
つらかったですよね
あなたが子どもの身になって
考えてあげることができれば、
子どもがどれほどに傷ついているかを
あなたの経験を通して容易に予測できるはずです
そして、これからのあなたは、
自分の子どもにこう伝えることもできるはずです
「大丈夫だよ、失敗は誰にでもあることだよ」ってね
あなたは、子どもの心を守れる力を持っています
しかし、子どもの心を傷つけることもできてしまう力です
あなたの力、どのように使いますか?
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