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[相談事例]親に感謝できない私は最低な人間でしょうか?

親に感謝できない私は最低な人間でしょうか?

コラムのリクエストをいただきました

お名前 : momoさん
 
はじめまして。私は現在社会人2年目、24歳です。
私の母は毒親です。
 
悩んでいるときに、「おとなの親子関係相談所」様を見つけました。
コラムを読んで、苦しんでいるのは私だけじゃないんだ、私も幸せになっていいんだ、といつも勇気をもらっています。
 
最近、母と大きな喧嘩を2回しました。母とこんなに大きくぶつかるのは人生で初めてのことです。
理由は、1.私の交際相手の否定 2.私の一人暮らし、についてです。
 
1.結婚の申し出をした訳でもないのに、交際相手の職業(飲食店正社員)が気に入らない、という理由で反対されました。
私のことをそんなやつと出会わせるために育てた覚えはない、そいつと結婚しようものなら縁を切る。と言われ、恐怖で頭が真っ白になりました。
 
2.一人暮らしについては、相談もせずに決めて、私を捨てるのか!まだ早い!薄情や。あんたは産んでない、いなかったものとしてこれから生きていく。出て行くのなら縁を切る、と言われました。(ここで縁を切ると言う言葉はただの脅し文句だと気付きました)
 
祖母(私の母の母)もかなり厳しい人だったと聞きます。母も苦しんできたのでしょう。
祖母のようにはなりたくない、毒親にはなりたくないと言っていますが、正直かなり手遅れですし、度が過ぎており手に負えません。
 
私も何度か向き合おうとしましたが、怒っている時は大声で喚き散らしますし、落ち着いてから話し合っても、世間知らずのあなたを思って教えているのだと、自分の考えを押し付けてきます。
最近では母の話に聞く耳を持たないようになりました。
 
今はお金を貯めて、一人暮らしの準備をしています。
 
シングルマザーとして、3人の子どもを育て大学まで行かせてくれましたが、今では正直、育ててくれたことに感謝すら出来ません。
母親の老後についても、勝手にしてくれ、とまで思ってしまいます。こんな母親は嫌です。
 
こんなことを考える私は最低な人間でしょうか?
 

ご質問にお答えします

momoさん
ありがとうございます。

母親から結婚や一人暮らしを
反対されているのですね。
 
今はそんな母親に
感謝を感じられなくなったけど、
 
でも自分自身が最低な人間なのではないか
と思ってしまうのですね。
 
わかりました。
 
あなたの母親が
今どのような心理状態にあるのか
について解説していきますよ。
 
そして、あなた自身が
すっきりとした気持ちで前に進んでいくためには
どうしたらいいのかについてアドバイスいたしますね。
 

母の心理状態を解説 −自分の力で生きていかないと決めている

momoさんは、いつも当相談所の
コラムを読んでいいただけている
ということなので、
 
もうすでに母親が抱えている
心の問題について気づいている
かもしれませんが、改めて詳しく解説していきますよ。
 

まず結論からお伝えすると、
あなたの母親は依存心が
とても強くなっていると思われます。
 
依存心が強い人というのは、
自分の力で生きていかないと
無意識のうちに決めていて、
だからいつも誰かに頼ろうとします。
 
自分の力で頑張って生きていくという
発想が乏しいので、
誰かに支えてもらわないと
生きていけないと決めています。
 

依存の方法にもいろいろとあります。
 
自分には力がないと思いこんでいて、
子どもに代わりにやってもらおうと
依存する親もいます。
 
難しそうな作業は
面倒がって子どもに
押し付けたりします。
 
心の世話を子どもにしてもらいたくて依存する親もいますよ。
 
嫌なことがあったら
延々と愚痴や悪口を聞かせている親もいれば、
とにかくさみしいと言っては
親のそばに子どもを縛り付けて
おこうとする親もいますね。
 
なかには経済面で依存する親もいます。
 
子どもに金の無心をする親もいれば、
子どもが自立して離れていかないように
たくさんのお金を渡して
依存し続けようとする親もいます。
 
依存と言っても、
絵に書いたような弱々しい
親ばかりではありません。
 
支配的な依存親もたくさん存在しています。
 

さらに、自己中心的な考え方をします。
 
子どもの身になって考えるよりも、
いかに自分が苦労しないかどうか、
さみしく感じないかどうかばかりを優先して考えます。
 
被害者意識が強くて、
うまくいかないことがあれば誰かのせいにします。
 
母がさみしく感じれば、
「さみしい思いをさせたあなたが悪い」
「親を大切にしないあなたが悪い」
と言うでしょう。
 

子どもを所有物にして手放そうとしない依存親

momoさんは、
母親から所有物のように
思われていたのかもしれません。
 
依存する親は、
子どものことを所有物として扱うことが多いです。
 
子どもの気持ちや
考えを尊重することなく、
親の価値観を押し付けていたりします。
 
でも親自身はそんなことをして、
子どもを傷つけているとは思っていません。
 
むしろ、子どものためになっていて、
自分は良い親だと思い込んでいることも多いです。
 
だから、子どもが恋愛をしていると、
自分の所有物が他人に
奪われたような気持ちになって、
強く反対をします。
 
でも、「私の所有物のままでいろ!」
とは言えませんから、
だいたいが話をすり替えて、
交際相手の批判をしたり、
 
「あなたにはまだ早い」と言って
子どもを否定したりしますね。
 
交際相手の学歴が気に入らないとか、
職業が悪いとか、
「そんな人とつきあっていたらあなたが不幸になる」

という言葉は依存親がよく言う言葉です。
 

子どもを常にそばに置いておきたくて自立を阻む依存親

子どもの一人暮らしも
依存親にとっては
絶対に避けたいと思うことの一つです。
 
常に子どもをそばに置いて、
身も心も支えてもらいたい親にとっては、
子どもがいなくなれば大きな不安に感じるはずです。
 
そんなとき、依存親は悲劇のヒロインを演じます。
 
momoさんが言われた
「相談もせずに決めて、
私を捨てるのか!
まだ早い!薄情や。
あんたは産んでない、
いなかったものとしてこれから生きていく。
出て行くのなら縁を切る、と言われました。」

という言葉は、
まさに依存心が強い親から
よく聞かれる代表的なものばかりでしたよ。
 

あなたが自立して母も自立していく

あなたの母親は、
momoさんから傷つけられていると
思い込んでいるのでしょう。
 
それは、momoさんが
やるべきことをいてくれないからとか、
やってはいけないことをしているから
などと考えているのかもしれません。
 
あなたの人生はあなたのもの
であって母のものではないのに、
被害者意識の強い依存親は
こういう考え方を良くするものです。
 

じつはそんな親も苦しんでいます。
どういうことかというと、
依存ってとても苦しいからなんです。
 
他人に頼っているということは、
自分ではコントロールできない人に期待をして、
その期待がかなうかどうかと
毎日不安を感じながら生きなければなりません。
 
その不安を解消したくて、
毎日のように傷ついている親を演じますが、
子どもが依存させてくれるかどうかはわかりません。
 
だから、やっぱり真の安心を感じることはできません。
 

そしてじつは、
そんな母親を救ってあげられるのは
momoさんだけなんですよ。
 
あなたが母から離れることは、
母の苦しみを取り除いてあげることにも
つながるということなんです。
 
そもそも、
あなたに依存できる状況があるから、
母は期待してしまいます。
 
ということは、
あなたが離れることによって、
母は自分の期待はかなわないと
学習したら、不安も減るでしょう。
 
逆に、中途半端な距離感でいることが
いちばん残酷だったりします。
 
あなたが本当は離れたいのに、
母の近くにいれば期待を感じて当然です。
 

あなたが離れれば、
母も自分でやらなければ
ならないことが増えるでしょう。
 
今まではできないと
思いこんできたからチャレンジも
してこなかったかもしれないけど、
 
今度は依存できる相手は
いないのだから自分でやるしかありません。
 
そうやって少しずつ
やれることを増やしていってもいいんです。
 
自分ができることとできないことを知り、
できる部分は自分でやって、
できない部分はあきらめてもいいんです。
 
そういう生き方をしていたら、
母も自分の人生を切り開いて
いけるようになるのかもしれません。
 

幸福感の多い人生にしようと思うなら、
自分で考えて決めていくことが重要です。
 
そして、好きで得意なことを増やし、
嫌いで苦手なことを減らしていくことが重要です。
 
そうやって生きるから、
嬉しく楽しく感じられることが増えていきます。
 
母親だってそれは同じです。
あなたに依存して頼っているから
人生の楽しみを見い出せないのかもしれません。
 

あなたが離れた直後は
母もきっと落ち込むことでしょう。
 
でもそこからが母の試練です。
 
落ち込んでいても仕方がないと思って、
今まで上げてこなかった重い腰を上げて、
自分の足で人生を立つことができたときから、
母の人生が始まります。
 
あなたに頼りかかるのではなく、
母の足で歩み進んでいく人生です。
 
momoさんにわかっておいてもらいたいのは、
あなたも母も、自立することこそ
お互いの幸せにつながっていくということなんです。
 

感謝と嫌悪、2つの感情を分けてみる

あなたがシングルマザーとして
3人の子どもを育て、大学まで
行かせてくれた母親に感謝できずに
罪悪感を感じるのは、

過去の母と現在の母を
混ぜこぜにして考えているからかもしれません。
 
母親の老後についても
「勝手にしてくれ」とまで
思ってしまうほど嫌になってしまうのは、
 
現在の母親に対してであり、
過去にしてもらったことに対しては
素直に感謝を感じてもいいのかもしれません。
 
私はあなたのお言葉を見て、
感謝と嫌悪という2つの感情の間で
板挟みになっているような
心理状態なのではないかと
感じましたがいかがでしょうか。
 

そういうときは、
2つの感情を分けて感じてみることです。
 
混ぜこぜにしていると、
感謝しなければいけないのに
できない自分がおかしいのではないかと
思って自己批判が始まってしまうので
注意したいですね。
 

だから、自分のことを
最低な人間だなんて
思わなくてもいいのですよ。
 
母に感謝できる気持ちがあるなら、
この先も大切に持っておいてください。
 
母を嫌だと思う気持ちがあるなら、
あなたが母から依存されないために
持ち続けておきたい大切な感覚ですね。
 
問題を抱える現在の母親を
嫌いになれているということは、
あなたが正しい感覚を持てているからです。
 
自分の考えに自信を持っていいですよ。
 
あなたが今思っていることも、
これからしようとすることも、
とても正しいことですからね。
 

親子関係カウンセラー
川島崇照
 

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