COLUMN
コラム 親がヒステリックで困る
ヒステリックな母親との関係を変える3つの準備
ヒステリックな母親がいます。
思いどおりにいかないことがあると態度が豹変し、言葉が乱暴になったり、物にあたったり、暴力をふるったりする母親です。
まるで瞬間湯沸かし器のように怒りが爆発して、あなたの心を傷つけます。
これは誰にでも共通することですが、ヒステリックな人は感情をコントロールすることができません。
だから、後先を考えない行動をすることもあるし、体力と時間が許す限り誰かを心無い言葉で傷つけ続けるものです。
あなたもこんな経験があるでしょうか?
ヒステリックな母親を目の前にすると、恐怖と不安で心が緊張状態となり、ただただ頭の中が真っ白になって冷静に判断できなくなってしまいます。
だから、あなたも本当は嫌なのに我慢して従ってしまっていたかもしれません。
もしかしたら、いつでも母親の表情を伺って、怒らせないように、不機嫌にさせないように、先回りして行動してきたかもしれません。
そのうち、母が怒りそうだと思えば、どんなにやりたいことでもあきらめるようになっていたかもしれません。
今日は、そんなヒステリックな母親との関係をどのようにしたら変えられるのかについて学んでいきましょう。
ただし、これからお伝えすることは対処療法的なものではありません。
ヒステリックな母親をどうやってなだめるかとか、おとなしくさせるかということではなくて、根本的な解決を目指すための新しい方法だと思ってください。
そして方法と言ってもテクニックばかりではありません。
テクニックを使うためには、それを使うあなたがしっかりとした考え方を持っていることが重要だからです。
今回は、もうこれ以上ヒステリックな母親から傷つけられないための、正しい考え方をお伝えしていきます。
今まで、何をやっても母親のヒステリックを止められなくて困り果てていた人たちの役に立てたら嬉しいです。
ヒステリックな母親とは?
前回のコラムでもお伝えしましたが、改めてヒステリックな母親についておさらいをしておきましょう。
ヒステリックな母親の特徴は下の5つです。
[タイプ1]子どもを生き甲斐にしていた母親
子どもを生き甲斐にしてきた親は子どもに執着する。
子どもを思いどおりにコントロールできないと、まるで自分の存在意義を否定されたように感じてヒステリックになって怒り出す。
[タイプ2]いつでも誰かに頼ろうとする母親
いつでも誰かに頼ろうとする母親は自分には生きる力がないと無意識で決めている。
子どもが思ったとおりに世話してくれなかったり、優しくしてくれなかったりすると、まるで見捨てられたかのような気持ちになって不安を抱き、強い被害者意識を感じてヒステリックになって怒り出す。
[タイプ3]自分は価値の高い人間だと思いこんでいる母親
自分は価値の高い人間だと思いこんでいる母親は、子どもにも高い価値を持つことを強要する。
そうしなければ自分の高い価値を維持できないのではないか、価値が下がって周囲から見下されて惨めな思いをしながら生きていかなければならないのではないかと強い不安を感じる。
子どもに社会的評価の高い学歴を持たせようとしたり、職業に就かせようとしたりして執着するが、思いどおりにならないとヒステリックになって怒り出す。
[タイプ4]自分に自信がない母親
自分に自信が持てない母親は、失敗することへの不安が非常に強い。
だから、子どもに無難な生き方や安全な生き方を選ばせていないと安心できない。
周囲からバカにされて見下されているかのように感じ、他者とのコミュニケーションを取りたがらない。
否定的な考え方が多く、少しでも失敗するリスクがありそうだと感じるとヒステリックになって怒り出す。
[タイプ5]子どもっぽくてワガママで自己中心的な母親
子どもっぽくてワガママで自己中心的な母親は、面倒ごとを嫌い、楽をして生きたいと考えている。
働かないで子どもの金を当てにしている母親もいる。
病気や高齢を理由にして子どもに金の無心をする親もいる。
とにかく思いどおりにならないことがあると、子どもから不自由な思いをさせられている、自由を邪魔されていると考え、ヒステリックになって怒り出す。
どのタイプの母親も感情をコントロールすることができず、いったん火がつくと止められません。
思いつく限りのひどい言葉でとことんまで責められていた人たちはたくさんいます。
それが何時間にも渡って、母親の気の済むまで続きます。
なかには弱々しい自分をアピールして罪悪感を煽り、泣いて責めてくるタイプもいます。
悲劇のヒロインを演じて他人を巻き込み、味方につけて一緒になって攻撃してくるタイプもいます。
親に期待を持たせずにあきらめさせることが大事
先ほど見ていただいた5つのタイプにあなたの母親はいたでしょうか?
ヒステリックな母親の多くが2つ以上のタイプを複合的に持っていることが多いです。
実際にはタイプ1とタイプ2、タイプ2とタイプ3のように、数字が近い組み合わせをよく見ます。
どのタイプにも共通していることですが、ほとんどの親が自分の考えが正しいと思いこんでいて、思ったとおりに出来事が運ばないと強い不安を感じて子どもに干渉し、それでも従わないと強い被害者意識で怒りが爆発してヒステリックになります。
言い換えれば、ヒステリックな親というのは、子どもが親に従うのが当たり前で、子どもがそうしないことがおかしいと思っているということです。
親は今までヒステリックになれば子どもを従わせられる、子どもの考えを変えさせられると思ってきました。
昨日できたのだから今日もできるはず、今日もできたのだから明日もできると考えて、徐々にヒステリックを強化しながら、コントロールできるはずという期待も増やしてきたわけです。
簡単に言えば、あなたをコントロールできるという期待があるから、ヒステリックになるということです。
そんな親との関係性を変えていくためには、もうこれ以上の期待を持たせずにあきらめさせることが重要です。
それをするためには、母親がどう思うかという基準であなたが自分の生き方を決めていくのではなくて、あなたがどうしたいかで決めることが大切です。
この先も母親の顔色をうかがって行動していては、親の期待はいつまでも減っていきません。
期待が減らないからいつでもヒステリックな態度をあなたに見せて、恐怖心を煽ってコントロールしようとしてきます。
母親のヒステリックな言葉や態度で傷つけられないためには、ヒステリックな母親に従わないことが一番重要だと思ってください。
とにかくこの大原則を忘れないようにしましょう。
親に期待を持たせずあきらめさせるための準備行動
親に期待を持たせずあきらめさせると言っても、いきなり何かをやったからといってすぐに結果が出るわけではありません。
多くの方たちが対処療法を知りたがりますが、それは適切な考え方を身につけ、今まで何が問題だったのかを知り、そのうえで入念な準備を整えて、もう二度と期待を増やさないための環境を作ってからの話になります。
それがないのに対処療法だけを手に入れてもうまくいかないことがほとんどです。
途中で「本当にこれでいいのだろうか?」と思って自分の行動に疑問を感じて最後までやり切れません。
それに、どんな方法であっても親の態度が一気に変わるということはほとんどないのに、一度やってみて親に変化がないと効果がないと決めてしまってやめてしまいます。
これからお見せするのは、親の期待を増やさないための環境を作っていく上での考え方です。
【準備その1】母親がヒステリックになると自分にはどんな影響があるのかを考えてみる
ヒステリックな親から育てられていると、子どもは強い恐怖心を刷り込まれてしまいます。
とくに、幼少期のうちから大きな声で怒鳴られたり、暴力を振るわれたりしていると、大人になっても恐怖心は強いままということがよくあります。
小さい子どもだったあなたにとっては、ヒステリックな親と一緒では安心して暮らしていけなかったでしょう。
そして、なんとか安心を増やそうとして、どうやったら母親を不機嫌にさせないかと考えて、毎日をサバイバルのような心理状態で過ごしていたかもしれません。
ただし、大人になったあなただったらどうでしょうか。
すでに経済的にも自立していて、親とは物理的な距離を取って暮らしていたりするなら、じつは親がヒステリックになったとしてもあなたの人生には何の影響もないかもしれません。
影響がないとわかっているなら、もうこれ以上、親の顔色を気にして従う必要はないはずです。
子どものときのように親と一緒に住んでいるわけではないのであれば、親がヒステリックになっていようといまいと、親が何を言っていても気にせず生きていってもいいはずです。
しかし、影響はなにもないのに、子どもの頃からの心の癖で「親を怒らせてはいけない」「親を不機嫌にさせてはいけない」と考えて、我慢して従順になっている人はたくさんいます。
そうやって親の顔色を伺って、いつでも従っていたり、自分の気持ちや考えを伝えず断っていなかったりすると、親の期待はどんどん増え続けていきます。
もし、あなたがそういった状態になっているなら、まずは自分の心の癖を見つめ直したいですね。
「親を怒らせたら私は傷つけられる」とか「親の機嫌を取らなければならない」と考える癖を変えて、「親が怒ったら自分にどんな影響があるのか?」と考えることからはじめていきましょう。
自分自身に問いかける質問
- 1.親がヒステリックになったら私は今までの生活を続けていけなくなるのか?
- 2.親がヒステリックになったら私は大切な人とのつながりを失うのか?
- 3.親がヒステリックになったら私は大切な物を失うのか?
このように自問自答してみてください。
そして、1〜3に該当することがあるなら、次の準備に着手しましょう。
逆に該当することは何もなかったということが分かったら、親がヒステリックになってもこの先あなたの人生に何の影響もないということになるので、あなたの思ったとおりに生きていくようにしていきましょう。
【準備その2】事前に弱みを解消しておく
すでに、親がヒステリックなったとしても自分にとって影響はないとわかった人は、もうこれ以上何かをする必要はないかもしれません。
ただし、親に従わなかったら大事なものを奪われる可能性の高い人はなんとかしておかなければなりませんね。
準備その1で親がヒステリックになるとこの先の生活や人間関係に影響があるということがわかったら、今度はあなたの人生が壊されないように事前に弱みを解消しておくようにしましょう。
親に期待を持たせないためには、断れないような状況を作らないことと、親が上位で子どもが下位であるかのような関係性を作らないことが重要です。
基本的な考え方は、お金や物の貸し借りをしないことと、すでに借りているなら素早く返すことです。
そうやって、親にあなたをコントロールできると思わせる期待を減らすことです。
サポートの現場でよく見られるケースは下の4つです。
1.親からお金を借りている
親からお金を借りているというのは、借用書などを作成して借金をしている状態のことを言います。
たとえばマイホームやマイカーを購入するのに親からお金を借りていたというケースが多いですね。
借用書などはなくて口約束でした借金も返済を求められたら返さなければいけないこともあります。
ヒステリックな親は子どもが従わないとわかると、貸したお金や買い与えた物を使えなくして困らせようとすることがあります。
そもそもお金を借りないことも大事ですが、返済を急に迫られても対応できるように準備はしておきたいですね。
借りているお金が多額であるほど、返済期間や毎月の返済額については事前に書面にて取り決めておくことが大切です。
注)親があなたにかけた教育費用は養育費用は借金ではありませから、要求されても返済をする必要性は少ないでしょう。ただし、これも借用書などを書いていないことが条件となります。
詳しいことは法の専門家である弁護士さんなどに相談することをおすすめします。
2.乗っている車の所有者が親になっている
親から車を買い与えられていて、親が車両の所有者となっていて、あなたが使用者になっているケースです。
これは車検証を見ればすぐにわかります。
いくら親があなたに買い与えたものであっても所有者は親ですから、あなたが親から車を借りている状態です。
返還を要求されれば断れない可能性が高いです。
難しいかもしれませんが、なんとか親と合意して事前に所有者をあなたに変更しておくか、親から買い与えられた車には乗らないと覚悟して返還してしまうのもいいでしょう。
3.住んでいる家の所有者が親になっている
たとえば、親が大家になっている物件に子どもが入居をしているケースです。
賃貸契約を結んで毎月賃貸料を支払っているようなケースではなく、無料で借りているケースが問題になりやすいです。
親が子どもに善意で貸しているだけで、出て行けと言われて立ち退きをしなければいけなくなったというケースが実際にあります。
新しい部屋を借りるにもまとまった時間とお金が必要です。
できることなら、住む家は親を頼らず自分の力で見つけるようにしたいですね。
急に出ていけと言われても困らない状況を作っておきましょう。
4.親が相続させないと言っている
厳密に言うと、相続ができなくても何も奪われないし、何も失いません。
もし、あなたが親が残した資産なんてもらいたくないと思うなら、親がヒステリックになっても気にする必要はないですね。
ただし、お金は大事です。
親と関わるつもりはないけど相続の権利はしっかりと行使したいと思うなら、事前に知識は身につけておきたいです。
相続に関する法律は、被相続人(相続を受ける人)の権利を守るためのものでもありますから、親がいくら相続をさせたくないと言っても容易にできることではないでしょう。
弁護士さんなどに依頼して、どのようにしたら自分の権利を守れるのかと事前に相談しておくことが重要です。
【準備その3】母親がどんなパターンを持っているのかを知って行動を予測する
弱みを解消した次に考えることは、ヒステリックな親が何をしてくるのかということです。
親の行動パターンが事前にわかっていれば、恐怖心を強くしないで、心を乱されずに冷静に対応できることも増えるでしょう。
いちばんよくないのは「何をされるかわからない」という不安な心理状態で親と関わることです。
不安いっぱいの表情でおどおどびくびくしている態度を見せていたら、親に「怒れば子どもをコントロールできる」と感じさせて、また期待を強く持たせてしまいます。
だから、あなたの親がいつもしていること、いつも言っていることを思い出してみてください。
過去にくり返していたことは、この先もくり返す可能性が高いです。
親が何をしてくるのかが想定できるようになるだけで、「何をされるかわからない」という不安は減っていきます。
それでは、ヒステリックな親が見せる行動パターンでよく見られるものを紹介します。
<パターン1>
[タイプ1]子どもを生き甲斐にしていた母親
[タイプ2]いつでも誰かに頼ろうとする母親
タイプ1とタイプ2を合わせ持つ母親は、今までにいかに愛情を注いできたのか、そしていかに自分は裏切られたのかを怒ったり泣いたりをくり返しながら、ヒステリックになって自分が被害者だと訴える。
悲劇のヒロインを演じて周囲にアピールし、味方を増やしてあなたを責める。
「親子の縁を切る」「あなたのせいで家族がバラバラになる」「親不孝者」「死ぬ」などと言っては罪悪感を煽ろうとする。
<パターン2>
[タイプ2]いつでも誰かに頼ろうとする母親
[タイプ3]自分は価値の高い人間だと思いこんでいる
タイプ2とタイプ3を合わせ持つ母親は、今までにいかに自己犠牲をして子どもに人生を捧げてきたのか、そして今までの努力がいかに無駄にされたのかを怒ったり泣いたりしながら、ヒステリックになって自分が被害者だと訴える。
「今までにかけたお金を返せ」「あなたのせいで親は苦しんでいる」「あなたのせいで家族が我慢してる」などと言っては罪悪感を煽ろうとする。
<パターン3>
[タイプ3]自分は価値の高い人間だと思いこんでいる
[タイプ4]自分に自信がない母親
タイプ3とタイプ4を合わせ持つ母親は、子どもがどれだけ社会の常識から逸脱した生き方を選ぼうとしているのかについて理詰めで責めてくる。
あなたが社会で成功しない生き方を選んでいること、不幸になる生き方をしようとしているということをわからせようとして、怒ったり泣いたりしながらヒステリックになって責めてくる。
「あなたのせいで親が恥をかく」「あなたのせいでい家族が不幸になる」「あなたのせいで家族や親戚も迷惑している」などと言っては罪悪感を煽ろうとする。
<パターン4>
[タイプ4]自分に自信がない母親
[タイプ5]子どもっぽくてワガママで自己中心的な母親
タイプ4とタイプ5を合わせ持つ母親は、子どもが思ったとおりに従わないと、今まで親がどれだけ苦労をさせられてきたのかと訴えて責めてくる。
今までに親が我慢してきたこと、苦労して働き子育てしてきたことなどを引き合いに出して、怒ったり泣いたりしながらヒステリックになって責めてくる
「あなたのせいでやりたいことも我慢させられてきた」「あなたがいたからつらいのを我慢して働き続けてきた」「あなたは自分勝手だワガママだ」などと言っては罪悪感を煽ろうとする。
準備を済ませたら
ヒステリックな親の心のなかには強い期待があります。
その期待とは「子どもを見て感じる不安を減らしたい=安心できる子どもにしておきたい」という意識です。
「親が子どもを心配している」ということではありません。
親自身が生み出した不安をあなたに押し付けて、あなたをコントロールすることで、代理で解消しようとしているということです。
だからこそ、あなたが親の顔色をうかがって我慢して従うのではなく、やりたくないことはきっぱりと断ってやらないという毅然とした態度を見せることが重要です。
それによって母親がヒステリックになったとしても、あなたには何の影響もないことがわかっていたり、すでに弱みを解消できていていたり、母親が何を言い、何をするのかを事前にわかっておけたら、心乱されずに冷静さを保ち、より一層毅然とした態度を見せやすくなるでしょう。
そして、母親が「どうせ怒鳴っても従わないだろう」「昨日もうまくいかなかったから今日もうまくいかないのではないか」と考えるようになれば、ヒステリックな態度を見せることも少なくなるはずです。
きっぱりと断るときの言葉や見せる態度についてはまた別のコラムでお伝えしていきます。
恐怖心が強くて面と向かって断れないと思う人でもやりやすい方法も紹介していきますから安心してくださいね。
とにかく、根本的な解決を目指すために大切なことは、あなたがこの親に主導権を与えず、期待をどれだけ減らせるかという観点で行動していくことです。
ヒステリックな母親との関係を変えて、自由な人生を手に入れていくために、まずは親に感じる恐怖心をコントロールすることからはじめていきます。
ただただ怖がって従うのではなく、恐怖心をコントロールして親を冷静に観察することができれば、あなたと親の関係性を変えていくことはそんなに難しいことではないかもしれないのです。
じつは、親に悩まされずに自由に生きる人生は、あなたの考え方を変えるだけですぐに手に入るかもしれないということです。
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