COLUMN
コラム 親が結婚や恋愛を反対する
親が結婚を反対するときの心理Q&A
こんにちは
親子関係カウンセラーの
川島崇照です。
日々ご相談をお受けしていますが、
寄せられるお悩みのなかで多いのは、
親から結婚を反対されているという相談内容です。
数字にするとだいたい全体の50%くらいでしょうか。
群を抜いてこのお悩みが多いです。
今日はね、日々寄せられる
結婚を反対されているというお悩みについて、
親の心理に限定してお伝えしていこうかと思っています。
結婚を反対すると一口に言っても、
親によって反対のしかたはさまざまです。
それぞれどのような心理があるのかを知ってください。
そして、あなたが今苦しい状況になるなら
解決のきっかけにしてもらえたらうれしいです。
婚約者の職業や学歴を理由に結婚を反対する心理はなんですか?
婚約者の職業や学歴を理由に
結婚を反対する親の心理は
『自分を高く見せたい/自分の価値を下げたくない』
です。
あなたは虚栄心という言葉を聞いたことがありますか?
虚栄心とは簡単に言うと見栄っ張りのこと。虚栄心の強い親は、プライドが高くて、他人に弱みを見せたくない人たちです。自分に自信がない人も多く、周囲に自信があるように見せています。そしてここで紹介するのは虚栄心の強い親です。
このタイプの親は他人を信じません。自分のことも信じていません。じつは自分が価値の低い人間だという意識を持っている人も多く、他人からもそう思われているかのように感じています。
だから周囲と仲良くしようとしないし、他人に横柄な態度を見せたり、自分よりも弱い人を見下します。そうやって自分自身の心を保っています。
こういった人たちが自分を高く見せようとして、高いステータス(社会的地位や職業地位)をほしがります。でも自分で頑張らない人も多いから、子どものあなたを頑張らせたかもしれません。
虚栄心によって高いステータスを手に入れた親、子どもにも無理な努力を強いてステータスを高くさせた親は、子どもの婚約者の職業を知ってステータスが低いと感じると、猛烈に結婚を反対するということが頻繁に起こります。
親の心の中では婚約者が高いステータスを持っていることが結婚を認める基準になっているので、もはやあなたの話を聞く必要ないと決断している可能性が強いです。だから親はあなたの話に一切耳を傾けてくれないということもあったかもしれません。
私がこれまでに虚栄心の強い親との関係で苦しんでいる人たちをサポートしてきたなかで、いちばんに多かった親の職業は『医師』でした。そして苦しんできた相談者たちも医師でした。そしてほとんどの方たちが医師家系の生まれでした。
祖父も医師、父も医師、きょうだいも医師、なんていう家庭環境のなかで育ってきた人たちがとても多かったです。そしてそんな人たちが小さい頃から医師になることを義務付けられ、大人になっても医師と結婚することを期待され、それに従わないと結婚を反対されているというケースはとても多いです。
虚栄心の強い親が子を育て、その子も虚栄心が強くなってしまうということはよく起こることです。代々、心に問題を抱えている人たちが作り上げてきた虚栄心が下の世代に連鎖をしていく可能性は非常に大きいですね。
高いステータスを持つように押し付けられて自由な生き方を尊重されなかった人が、それが当たり前の生き方だと思い込み、そんな人が今度は親になって子どものあなたに価値感を押し付けていたのかもしれません。
婚約者との年齢差や相手の家族構成を理由に結婚を反対する心理はなんですか?
婚約者との年齢差や相手の家族構成を理由に
結婚を反対する親の心理は
『恥をかきたくない/変に思われたくない』
です。
このタイプの親はとにかく恥の意識が強いです。恥の意識が強い親は、世間体を気にして周囲にきれいに見せようとします。他人から下に見られることをとても嫌がり、体裁をつくろおうとします。
世間一般的と同じであることを好み、それよりも上であっても嫌がるし下であっても嫌がります。とにかく周囲から自分を変な目で見られたくないという意識が強いです。
恥の意識は劣等感というコンプレックスが生み出されるもので、恥をかきたくないと考えている親は、無意識で自分が恥をかくと決めていたりします。
心の中では自分が周囲よりも価値が低くて、下の存在だと決めていて、他人からも同じように見られていると思い込んでいるので恥の意識が強くなってしまいました。
もしかしたら、子どものころに多くの人たちの前で恥ずかしい思いをしたとか、そのまた親からいつも比較差別をされていたとか、いろいろとコンプレックスを抱えてしまった原因があるかもしれません。劣等感を強く抱えて恥の意識を持っている親は、そのほとんどが生育歴に問題があった人たちばかりです。
年齢差が離れているからダメだとか、婚約者の親が離婚歴があるから反対だとか、婚約者のきょうだいに持病を持っている人がいるから遺伝するはずだとか、いろいろと理由をつけては結婚を反対してきますね。
結婚後の住む場所を理由に反対してくる心理はなんですか?
結婚後に住む場所を理由に
反対してくる親の心理は
『いつでもそばにいて支えてもらいたい/孤独になりたくない』
です。
このタイプの親は依存心が強いですね。依存心とは、自分のことなのに責任感が持てなくて、代わりに誰かに支えてもらいたいという意識が強いひとのことを言います。言葉で書くと何だそのくらいと感じるかもしれませんが、自分の人生すべてに責任が持てず、子どもに心の世話からお金の世話まで全部押し付けているなんて親は多いんですよ。
依存心の強い親は心のなかで「自分は孤独になるはず、見捨てられるはず」と考えていて、不安だから常に子どもをそばに置いて監視状態をつくります。
自分のそばから子どもが逃げていかないように、そして自分を裏切らないように、罪悪感を煽って心を支配しようとします。
苦労話が多くて、他人の愚痴や悪口ばかり言っています。そして親は自分がかわいそうで弱いことをアピールしてばかりです。
依存心の強い親があなたが結婚後に住む場所にこだわるのは、依存ができるかできないかという基準を持っているからです。
呼べばすぐに駆けつけてくれるだろうか?かわいそうな私は孤独にならないだろうか?なんてことをいつも考えていて、不安だから自分と子どもの物理的距離を気にしますね。
できることなら結婚後は同居をしてもらいたいなんて言っている親もいますし、あなたが女性であれば結婚相手の男性は「長男はダメ」と条件をつけられているかもしれません。
婚約者の性格や態度を理由に結婚を反対する親の心理はなんですか?
婚約者の性格や態度を理由に
結婚を反対する親の心理は
『誰が相手でも結婚を許す気はない』
です。
誰が相手でも結婚を許す気がない親は、婚約者のアレが嫌い、コレが嫌だった、否定のオンパレードです。
そして後から次々と、「そういえば、あのとき言っていた●●の言葉は気に入らなかった」「あの表情はきっと●●だと思っていたはずだ」のように勝手な決めつけや思い込みの言葉が増えていきます。
さらに「親は経験豊富だから人を見る目がある」とか「あの人はあなたを騙して利用しようとしている」とか「あなたは洗脳されているから本当のことがわからない」なんて言ったりしますね。
そうやって、ありもしないこともきっとそうなるはずだと決めつけて、起こってもいないことをまるで起こったかのように思い込んでいます。
こういうタイプの親も依存心が強いです。あなたの人生はあなたのものだと思えず、子どもは親の所有物であるかのように考えます。
だから婚約者が誰であっても結婚を認めようとしません。だからあなたが婚約者を紹介する前から親の結論は出ていた可能性が高いです。
結婚の条件を出してきては約束を守らない親の心理はなんですか?
結婚の条件を出してきては
約束を守らない親の心理も
『誰が相手でも結婚を許す気はない』
です。
ひとつ前の項目の親と心理背景と同じですね。
でも条件を出してくる親は少し厄介です。なぜなら、結婚を認めるためという理由で条件を出してくるからです。
たとえば高校卒業という学歴の婚約者だったら、親は「大学に入って卒業したら認めてやる」のように言うかもしれません。自分の子どもが結婚して実家から離れることを不安に感じている親なら、「うちの娘と結婚をするために今の仕事をやめてこちらに引越しをしてきたら考えてやる」なんて言いますよ。
でもその約束は守られません。なぜなら、このタイプの親も依存心が強くて子どものあなたを手放したくないから、最初からどうせ無理だろうと思えるような条件を出しているだけだからです。ようするに、最初から無理難題をふっかけて婚約者の心が折れるのを待っているということです。
そして婚約者があきらめたら、親は鬼の首を取ったかのような勢いで「あいつはその程度のヤツだったんだ」「あの人はあなたのことをそれくらいしか思っていないんだよ」なんて言いますよ。
しかし今までサポートしてきた相談者のなかには、頑張って4年制大学を卒業したなんて人もいらっしゃいました。親が出してきた条件を満たしたら結婚を認めてもらえるんだと信じて、1年間受験勉強をして入学し、4年間を卒業するために努力したのです。
そして大学の卒業式の日に学位記を持って結婚の挨拶に行ったら、親から言われた言葉は「顔が嫌いだからダメ」でした。
そもそも結婚は結婚をする当事者が決めることです。だから親が条件を出してくることがそもそも問題であるはずなのに、期待を持たされて頑張った5年間は報われなかったのです。
親の病気や老後を理由に反対してくる心理はなんですか?
親の病気や老後を理由に反対してくる親の心理も
『いつでもそばにいて支えてもらいたい/孤独になりたくない』
です。
これもすでに紹介したように依存心が原因ですね。
ほんと、さっきから依存心ばっかりですね。
このタイプの親はとてもわかりやすいです。親自身が「孤独になるのはさみしい」「私は一人で生きていけない」「あなたがいなくなったら病気になりそう」「私は一人でさみしい老後を過ごすのね」なんて言っていますからね。
でも依存心の強さは今まで紹介してきたどの親よりも強いです。自分の力で生きていこうという発想がそもそもありませんし、あなたのことよりも自分の不安を解消することしか考えていません。
このように依存心の強い親は、病気のときや老後を迎えた時の経済的な面倒までも依存しますから危険です。もしかするとあなたの人生まるごと依存される可能性があります。
実際にこの日本では結婚もさせてもらえず40代50代になっても独身で、親のために仕事をして生活費を捻出し、自分のために時間もお金も使えずに親の依存を受け入れて自己犠牲をしている人はたくさんいます。
そういう人たちは「親を一人にできない、親を傷つけてはならない」と考えて、心の中は罪悪感でいっぱいにして自分の心を押し殺して生きています。
でもその反面、「こんな人生になったのは親のせいじゃないか、親のせいで結婚もできなかった」と後悔している人も少なくはありません。
親の依存心が強いぶんだけ、子どもの罪悪感も強くなります。だから客観的見たらわかりやすくても、小さい頃からずっと親から依存されてきた人にとっては、親のことがどんなに嫌でも離れられないほど心が支配されてしまうのです。
問題を抱える親から認めてもらうことは支配を受け入れること
劣等感や恥の意識、依存心のような問題を心が健康的で自立している親は持っていません。
あなたも経験があるのではないでしょうか。親に何を言っても通じなくて、説明すればするほど否定されたりしますよね。常識がないとか普通じゃないなどと言われて批判されていたかもしれません。
そしてあなたが正しいことを言えば言うほど、親は「うちはうち、他人は他人」などと言っていて、まったくあなたの気持ちに寄り添おうとしてくれなかったなんてこともあったかもしれません。
そんな親を見て、あなたは「私の説明が足りてないのか」とか「もっと真剣に伝えて納得させなければいけない」というふうに考えたかもしれません。
でもそれがあなたの苦しみを生む考え方になっています。「結婚をするためには親を納得させなければいけない」という考えが、結婚を反対されるという状況を生み出してしまいます。
結婚をするふたりが決めていい
誰と結婚するかはあなたが決めて良いことです。どこで、どのような結婚生活を送るかは婚約者とふたりで決めて良いことです。
結婚とはそれをする当事者どうしが幸せになるための作業です。少なくとも親を安心させるためのものではありませんし、親に恥をかかせないためのものでもありません。
幸せが何であるかは結婚をする本人であるあなたにしかわからないことです。親があなたに「結婚をすると不幸になる」と言っていたとしても、親と価値感の違うあなたが本当に不幸になるかどうかはわかりません。
特に劣等感や恥の意識が強い人はお金を持っていることや地位が高いことが幸せだと感じますから、そんな親の言葉を鵜呑みにすると危険です。親に従ってステータスの高い人と結婚をしたとしても、あなたがその人を好きになる確率は非常に小さいです。なぜなら結婚は信頼し合えるかどうかで決めていくことだからです。
それに依存心の強い親を支え続けていると、本当にあなたの人生はまるごと親に支配されるかもしれません。気づいた頃には適齢期も過ぎていて結婚したくてもできないなんて悔やむ日がくるかもしれません。
どちらにせよ、あなたにとっての不幸になるはずです。
あなたが結婚をして幸せになれるときは、あなた自身の価値観で決めたときです。「この人と一緒にいたい」「この人とだったら乗り越えていける」「この人と一緒に幸せになりたい」と思えている相手との結婚があなたの幸せをつくります。
自分の感覚を信じてください。幸せは人生はあなたが生み出しますから。
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