COLUMN
ご相談事例
[相談事例]母だけでなく父からも絶縁されてしまいそうで怖いです。
コラムのリクエストをいただきました
お名前 : Aさん
こんにちは。
以前個別相談を一度させていただいたAと申します。
川島先生とお話ししたおかげで、心が救われたり、大切なことに気づかされたりすることがたくさんありました。その後もコラムを毎日のように拝読しております。
支えとなってくださり、本当にありがとうございます。
今回は少し目線の異なるテーマをお願いしたく、リクエストを送らせていただきました。
毒親本人との付き合い方ではなく、もう一方の親との付き合い方についてです。
以下に具体化なエピソードを書かせていただきますので、どうかご回答をよろしくお願い致します。
私は母に結婚を反対されています。
説得開始からもう4年になりますが、母は彼に会うどころか、彼の話をすることすら許してくれません。
彼のことを話そうとすると、それだけで『そんな話をするなんて、お前は親不孝だ!絶縁だ!』と感情的に私を罵倒します。
川島先生の個別相談のおかげで、自分の母が依存的・支配的な毒親であることが分かりました。
その後、コラムを毎日のように読んで多くの気づきを得て、私はもう母に結婚を認めてもらう努力をしなくていいと感じています。
母が毒親であり続ける限り、一切関係を持たなくていいと思えるまでになりました。
ただ、父とまで関係を絶つ覚悟ができません。
父は完全に母の味方をしているという状況ではなく、むしろ『自分の選んだ人と結婚するべきだ』と私には話してくれています。
ただ、父も父で母の毒性に昔から手を焼いているような状況で、母に逆らうことができず、母の前では私の味方をしてくれません。
私としては母の依存と支配をはっきり断りたいところなのですが、父は『そこまで言うのはさすがにひどいんじゃないか、お母さんがかわいそうだ』『もう少しいい方法があるんじゃないか』と言い、ストップをかけられています。
父の反対を押しきり、母に自分の意見を伝えた場合、母だけでなく父からも絶縁されてしまうのではないかと心配しています。
母には絶縁されても何とも思わなくなりましたが、父とまで絶縁したいとは思っていないこともあり、悩んでいます。
また、私だけが母から逃げるような状況になっていいのだろうか?残された父にばかり迷惑をかけてしまうのではないか?という罪悪感も残ります。
この状況を私はどう理解し、どのように行動するべきなのでしょうか?
どうかアドバイスをいただけると幸いです。
よろしくお願い致します。
ご質問にお答えします
こんにちは
親子関係カウンセラーの川島崇照です。
コラムテーマのリクエストをいただき
ありがとうございます。
結婚を母親から反対されているのですね。
しかし、父親は「自分の選んだ人と結婚するべきだ」と言っていて、だけど、母の依存と支配をはっきり断ろうとすると、父からストップをかけられてしまうのですね。
そして、母に自分の意見を伝えたとき、母だけでなく父からも絶縁されてしまうのではないかと不安を感じて悩んでいるということでしたね。
わかりました。
それではあなたの疑問にお答えします。
結婚を反対する母親、結婚を反対しないまでもそんな母親を擁護する父親。
そんな両親にあなたがどう関わっていけば、あなた自身が幸せを感じられる状態になっていくのかについて解説します。
父親が母親を擁護する理由
普段はとても優しくて子ども思いな人なのに、母親が感情的になると途端に態度を変えて、今までとは正反対のことを言ってみたり態度を見せたりということをする父親がいます。
言っていることも、していることも、父親によって様々なのですが、共通して言えることは恐怖心が強いということです。
恐怖心にもいくつかのパターンがあります。
これからお見せするのは、Aさんのように人生の決断を母親から反対されていて、そんな母親を擁護している父親の心理です。
1.父親自身が母から傷つけられそうで怖いから
男性というのは総じてヒステリックな女性を好まない傾向があります。
理由は諸説ありますが、小さいころによく怒る母親から育てられていて昔を思い出して嫌な気分になるからとか、女性が感情的になったときの声の周波数帯を脳が受け付けないとか。
とにかく、妻(母親)を恐れる夫(父親)というのは、いつの世も存在はするものです。
さて、そんなふうに恐怖心を感じている父親は、自分に火の粉が降りかかることをとても恐れます。
「お母さんを怒らせたら厄介だから従っておけ」と言って否定する父親もいれば、「お父さんを巻き込まないでくれ」なんて言って自室に閉じこもって家族の問題解決から逃げる父親もいますね。
自分の身を守ることに必死で、家族を思いやれないとか、子どもの生き方を尊重できないとか。
これ全部、恐怖心が強くて自分を守ることに必死な父親の特徴的な言葉や態度なんです。
母に手を焼いて、逆らうことができなくて、母を目の前にすると本心とは違う態度を取ってしまうのは恐怖心の強い親が良くすることです。
2.家族が壊れてしまいそうで怖いから
このタイプの父親は、真の問題がなんであるかを理解していません。
真の問題とは子どもが決めた生き方を尊重できない母親にあるのですが、それを理解できない父親が「このままでは家族がバラバラになってしまいそう」と思って不安になって、一緒になって子どもを批判しますよ。
言葉では結婚を認めているように言いますが、でも母親が不安に思う気持ちも理解しろと、正反対のことを言ったりもします。
そのほかには、問題隠しをしようとするのもこの父親のタイプに多いです。
とにかく円満に問題を解決して、みんな仲の良い状態をつくろうとして、トラブルなんて最初からなかったようにしたいからです。
「お父さんは結婚に反対しないんだけど、お母さんがかわいそうだから今回だけはあきらめてくれ」とか、「このままじゃお母さんが気の狂ってしまいそうだから、お父さんを助けると思って違う人を選んでくれ」のようなことを言って身を引かせようとしますね。
もしくは「お母さんを説得できないのであれば、君の覚悟がそこまでだったということだ」のように、子どものせいにしてみたりすることもあります。
また、「お母さんも我慢しているんだから、あなたも我慢しなさい」などのように、お互い様にしようとします。
3.親が子どもを傷つけていたとわかるのが怖いから
こういうタイプの父親の口癖は「親なんだから子どもを心配するのは当たり前」という言葉です。
心配っていう言葉。
「こころをくばる」と書いてとてもきれいに見えますよね。
でも、心理的に言えば「私は子どもを信用していない」になります。
じつは、子どもを信じる力が乏しくて、それゆえに不安症な親がよく使う言葉なんです。
最初から子どもには力が無いと決めています。
だから力が無い子どもが失敗すると思い込んでいます。
そして、力が無くて失敗する子どもを守らなければいけないと考えて、一生懸命に干渉します。
これが「心配」という言葉の裏側に隠された本当の心理は「不安」です。
「親なんだから子どもを心配するのは当たり前」という気持ちが少なからずあって、そう思うことによって母だって悪気があってしているんじゃないんだと思いたくて、心が抵抗しているのではないかとも考えます。
親が絶縁を選ぶとき
絶縁を選ぶ親というのは、子どものことを所有物のように思っていて、今までが思い通りにコントロールできていて満足していたけど、それができなくなったときに「もういらない」と思うような人です。
その他のパターンでは、依存心が強い親で自分の力で生きていけないと決めていて、だからすべて子どもに頼りたいけど、戻ってきてくれない子どものことを考えているだけでも苦しくなるから、顔も見たくないし声も聞きたくないと考えて距離を取ります。
お話を伺っていると、Aさんの父親は上の2つの要素を持っていないように感じるのですがいかがでしょうか?
どちらかというと、母をいたわりながらも、あなたとの関わりを保っておきたいと考える可能性も高そうで、母親にだまって交流を続けようとするのかもしれないという推測もでるのです。
お父さんに関する情報をもっとたくさんいただければ分析しやすくなるのですが、今のとこは絶縁をしそうな可能性は低いような気もします。
しかし、相変わらず母親の顔色をうかがって、父親はあなたと距離をとろうとするのかもしれません。
しかし、そうなったとしてもそれは父親が抱える問題であって、あなたの問題ではないはずです。
父親が自分の妻である母親に恐怖を感じて、夫婦で向き合えなくて、それによって娘であるあなたをスケープゴート(生贄)にして傷つけている状況は、母という問題ありの人を父というやっぱり問題を抱えている人が支えているから起こる問題なんです。
父親は健康的な心理状態の人なのか?
でも、これおかしな話ですよね。
あなたが誰とどこで結婚生活を送っていくかは、人生の当事者であるあなたが決めることであって、母が不満を感じることでも父が恐れを感じることでもないはずです。
心が健康的で心理的に自立している親というのは、子どもにも力があると信じようとします。
うまくいかないこともあるけど、そこで子どもが自分で考えて一生懸命に生きるから、幸せになるための力が備わっていくと考えます。
「この子だったら自分の力で乗り越えていけるだろう」と信じるから、初めてのことでもやらせてみようと思うでしょう。
「最初からうまくいくなんてことはなくて、でも後悔しないためにはこの子自身が自分で考えて決めることが大切だ」と信じるから、親の考えを押し付けるようなことはしません。
Aさんの父親はそれをしているでしょうか?
でも、それをしてもらえないからあなたは傷ついているのですよね。
これも父親が抱える問題ですね。
目的はあきらめさせること
今この時点でAさんがしなければいけないのは、母親に対しても父親に対しても気持ちを伝えていくことかもしれません。
問題のある行動をしている人には、あなたがそのことで傷つけられていることをはっきりと伝える必要があります。
伝えなければ親だって自分たちが娘を傷つけていることに気付けないからです。
でも、あなたの気持ちをわからせる必要はありません。
わからせようと思うと、いつまでもわかってくれない親に説明を続けなければならず、あなたはいつまでたっても結婚できないからです。
これが4年のあいだ、Aさんが苦しんできた原因なんだと思うのですがいかがでしょうか。
でも、あなたはわかってほしかったのですよね。
しかし残念ながら、あなたの両親はあなたの身になって考えて、あなたの人生の決断を尊重してくれる人たちではありませんでした。
だから、ここまで時間をかけても説得できなかったわけです。
目的はあきらめさせることです。
娘に執着しようとする母をあきらめさせなければなりません。
あきらめてもらって、娘に執着せず、母自身の人生を母の力でつくってもらうようにしなければ、母の依存心は少なくならず、いつまでもあなたなしでは生きられないからです。
もし母があきらめて依存心が今までより少なくなったら、母も自分の幸せを自分の力でつくれるようになるかもしれません。
本当にそんなことができるのかと不安になるかもしれませんが、それはAさんが悩むことではなく、母自身が決めることです。
父にもあきらめてもらいましょう。
父の抱える問題は、強い恐怖心によって感情的になる母と向き合ってこなかったことです。
そして、父自身が母から傷つけられないように、あなたを中間に置いたり、あなたの態度や発言をコントロールすることで、身を守るなどしてきたのでしょう。
でも、それをあきらめてもらわなければ、父も生きる力が身につかないばかりか、父はますます母親に向き合えなくなって、いつまでもあなたに期待をかけてスケープゴートにしていくかもしれません。
あなたが母や父を傷つけるのではなく、母も父も本来の生き方に戻るだけです。
あなたは自分の人生の舵取りを握り、母は自分の力で自分の人生を立て直す努力をして、父は母と本当の意味で夫婦となって協力体制を築いていくという、普通の家庭で普通に行われていることをするだけです。
親子関係カウンセラー
川島崇照
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