COLUMN
コラム 親が否定する
親に否定されても迷わないたった1つの方法
親はあなたのことを否定してきますか?
あなたに考えを押しつけてくるでしょうか?
毎日のように親子関係に苦しさを感じている方たちのカウンセリングをしていると、親の発言や行動に「お決まりのパターン」というものが見えてきます。
そして、特に多く聞かれるお悩みは「否定と押しつけをしてくる親との関係」です。
あなたもこんなことを言われたことがあったでしょうか。
- ○○をしてはならない
- ○○するのはおかしい
- ○○なんてできるわけがない
- ○○を選ぶのが当たり前
- ○○するのが普通
- ○○しないのは間違っている
今日は、否定と押し付けをしてくる親の心理を解説していきます。
もし、あなたの親がこれから紹介するような発言や行動をしていたら、親は「あの感情」を抱えている可能性が高いです。
そして、あなたも「あの感情」に傷つけられて、思った通りの人生を生きられなくなるかもしれません。
今まで親からたくさん否定されてやりたいことをずっと我慢してきたとか、いままさに自分の選んだ生き方を否定されて苦しくなっている人の手助けになれたら嬉しいです。
押し付けと否定をくり返す親
子どもに否定と押しつけをする親が抱える「あの感情」とは、不安のことです。
「親の考えが正しいのだから従え」とか「親は長く生きてきて何でもわかっているんだから言うことを聞け」のように考えを押しつけている親というのは、子どもが自分の考えで生きているのを見ると不安になります。
なぜなら、考えを押しつける親は自分が安心できる生き方をあなたに選ばせたいからです。
考えというのは人それぞれ違います。
誰かにとって正しいことだったとしても、違う誰かにとっては間違っているということだってあります。
だから、すべての人に共通している正しさというのは存在しません。
それなのに、親は自分の考えが常に正しいと信じているから、子どものあなたが独自の生き方をしていると、間違った生き方を選んでいるように錯覚して不安になってしまいます。
そして、その不安を打ち消して安心したいから、あなたに親が求めている正しさを押し付けます。
「これが正しい答えだ」と言って、あなたに無理やり選ばせて安心しようとします。
でも、あなただって自分が選んだ生き方を変えたくないときもあるでしょう。
進学、就職、恋愛や結婚…
誰にも譲れないことが人生の節目にはあるものです。
しかし、考えを押しつけてくる親というのは、子どものことを「自分のもの」のように感じています。
親は考えを譲らないあなたを見ていると、「こんなにも心配して言っているのに親に反抗するなんておかしい」と思うでしょう。
そして、あなたの考えがいかに間違っているのかを証明しようとして否定してくるようになります。
あなたもこれまで、「そんなのはうまくいくはずがない」「あなたは間違っている」と親から言われて、つらい思いをしてきたかもしれません。
その否定は、あなたが考えを変えるまで続いていたかもしれません。
親の考えたとおりの生き方をあなたにさせるまで続いていたかもしれません。
とにかく、自分が正しいと信じている親は、あなたの気持ちや考えに耳を傾けることなく、押しつけと否定をくり返します。
たくさんある押しつけと否定のパターン
これまでに押しつけと否定をされてきた人たちが、どんな場面で親の言葉や態度で傷ついていたのかを紹介しましょう。
「良い学校に行って良い会社に入れば幸せ」と言っている親
「良い学校に行って良い会社に入れば幸せ」と言って、子どもの人生にレールをしいている親というのは、ある意味子どもの幸せを願っているのかもしれません。
- 誰もが知っている名門校に入学させようとする親
- 誰もが羨む大企業に入ることを望む親
- 医師や弁護士など、社会的ステータスの高い仕事に就かせようとする親
親は子どもの幸せを願って、子どもの価値を高め、将来子どもが苦労しない生き方を選ばせようとします。
しかし、その幸せは子ども自身が考えたものではなく、親の価値観によって親が考えた親の正解でしかありません。
親にとっては幸せなのかもしれないけど、親とは違う考えを持つ子どもにとっては、もはや不幸かもしれないということです。
実際に、受験に失敗したことをひどく否定され、自信を失い、どうせ自分なんて努力しても無駄なんだと思ってしまっていたという方たちはたくさんいます。
また、親を満足させなかったことをいつまでも引き合いに出されて、何かあるたびに否定されている人たちもたくさんいます。
少しでも親に逆らうと、親が望まない生き方をしたことを否定されて、心無い言葉で傷つけられて苦しんでいる人たちがたくさんいます。
良い学校に行くこと、良い会社に入ることを押し付ける親は、「お金や社会的地位が持てなかったら不幸になるに違いない」という不安を押し付けて、子どもの人生を思い通りにコントロールすることで安心を得ようとします。
「親が認める人と結婚するのが幸せ」と言っている親
親から結婚のことで押し付けと否定を受けられているというのは、親子関係のカウンセリングでよく寄せられる代表的なお悩みです。
あなたが結婚しようとしている人が親の考えに合わない人だったりすると、「もっといい人が他にいるだろ」とか「親から認められた結婚が幸せなんだ」などと言われて考え直すように言われていたかもしれません。
また、「あんな人と結婚したらあなたが不幸になる」とか「あなたはあの人から洗脳されて利用されているだけだ」「親が認めない結婚をするなら縁を切る」なんてふうに言われて否定されていたかもしれません。
あなたが決めた結婚相手を否定し、親が思う正しい結婚観を押しつけてくるのは、子どもが親の価値観に合わない相手と結婚しようとしていると、親自身が不幸になりそうで不安になるからです。
たとえば、今まであなたに高い社会的ステータスを身に着けさせようとしてきた親なのであれば、「そんな人と結婚されたら、子どもの価値が下がってしまうのではないか」と不安になり、さらに「今までにかけてきたお金や時間を損してしまうのではないか」と感じてまた不安を強くします。
- 高い学歴の人と結婚させようとする親
- 有名企業で働いている人と結婚させようとする親
- 医師や弁護士など、社会的ステータスの高い人と結婚させようとする親
- 結婚相手の実家と格式が合わないことを理由に結婚を否定する親
- 結婚相手の収入が不安定(フリーランスや自営業)を理由に結婚を否定する親
- 結婚相手の出身地(地方出身・部落出身)を理由に結婚を否定する親
でも親は自分が生み出している不安だなんて思いません。
自分は子どものことを愛していて、とにかく将来を心配しているから、不幸になるとわかっている結婚を反対している、親だったら誰だってそうするであろうことをしているだけなんだと考えます。
だから、あなたがどんなに傷つけていても、親は自分の問題だとは気付かないことがほとんどです。
「結婚させたらこの子が不幸になるはずだ」と決めつけて考えを押し付けたり、否定したりしているときの親の心理には、じつは親自身が不幸になりたくないという意識が隠れています。
自分のものだったはずなのに、知らない誰かのものになるのは嫌だ。
自分を満足させてくれていた価値の高い子どもだったのに、あんな人と結婚されて価値を下げられたら嫌だ。
大切に思っている、幸せを願っていると言いながら、子どもの心を傷つけている親というのは、心のなかで強い不安を生み出しています。
「親に感謝しろ」と言っている親
感謝を求めてくるのも考えを押しつけや否定が多い親のよくやることです。
感謝を求めてくる親というのは、自己肯定感が低くて自分自身の価値は低いという意識を持っています。
だけど、それは無意識の話で、頭では「私は絶対に正しいはず」と考えています。
そんな親が自分が正しくて間違っていないという確証を得たいから、子どもに対して「感謝しろ」とか「謝れ」と言います。
感謝されていないと自分のやってきたことが間違っていたみたいで不安で仕方がないからです。
謝罪されていないと子どもが間違った生き方を選んでいることを証明できなくて不安になるからです。
- 生んでやったことを感謝しろ
- ここまで育ててやったことを感謝しろ
- 親が苦労して働いてお金を出してやったんだから感謝しろ
- 親を否定するなんておかしい!謝れ
- 親の苦労をわかっていない!謝れ
- 親に感謝が足りない!謝れ
感謝も謝罪も、日本ではどちらも頭を下げさせる行為です。
何が何でも勝ちで終わらせたいから、あなたに頭を下げさせようとするような、特に支配欲求が強い親がよくこれをします。
あなたに考えを押し付けたり、否定したりしても一向に従わないと見るや、話をすり替えて「とにかく親は偉いのだから感謝しろ」と考えを押しつけ、「偉い親に従わなかったのだから謝れ」と否定して、いつまでもあなたをコントロールするために主導権を握り続けようとします。
考えの押しつけと否定に惑わされないために
子どもをいつまでの自分のものにしておきたいと思う親は、よく「心配」と「愛情」という言葉を使います。
私は心理の解説をするときに「心配」という言葉は使いません。
なぜなら、心配という心理状態はないからです。
そして本当の名称は「不安」です。
親が「心配している」と言って考えの押しつけや否定をしてくるときというのは、あなたに力があることを信じていなくて、任せていたら失敗するのではないかと不安になっているときです。
たとえば「あなたのことを心配しているのよ」なんていう親の言葉を聞いていると、「親に心配させて申し訳ないな」と思ってしまったり、「何で私は親の気持ちをわかってあげられないのだろう」と考えてしまったりして罪悪感を感じてしまうかもしれません。
しかし、心配ではなくて親が生み出して不安だと考えたら罪悪感はすくなくなりませんか。
あなたが心配をかけているのではなくて、あなたに力がないと思いこんでいた親が勝手に生み出した不安だと考えると、腹が立ってきたりもしませんか。
じつはあなたの問題ではなくて、親の問題なんです。
親が子離れできなくて、あなたの人生があなたのものだと思えず、いつまでもコントロール下に置いておきたいから、あなたが言うとおりに従わないと不安になるということです。
「愛情」という言葉も子どもに罪悪感を感じさせてしまいます。
「親は子どものことを愛しているから否定するんだ」なんて言われてしまうとまたつらくなりますよね。
しかし、これもまったくの間違いです。
なぜなら、愛情とは「子ども自身が自らの人生を生きやすいようにするための心の支え」だからです。
より簡単な言葉でお伝えすると、適切な関わりをしようとする親は、子どもに考えさせて決めさせようとします。
そして、子どもが決めたことを尊重しようとします。
でも、子どもだけではうまくいかないときもあるから親は力になろうとします。
でも、考えを押しつけることもしないし、否定もしません。
子どもが助けを求めてくるまで待つだけです。
なぜなら、どう生きるかはその人生を生きる子どもが決めることだとわかっているからです。
そして、そんな親から育てられてきた子どもは、親がいつでも自分の味方をしてくれて、良き理解者であり、常に応援してくれる存在だと感じます。
そのときに子どもが感じているのが、まさに「愛情」です。
ようするに、愛情とは注ぐものではなくて、自然と子どもが感じ取るものだということです。
親がいくら愛情を注いできたと思っていても、子どもがそれを感じ取れていないのであれば、それは愛情という名のただの押し付けでしかありません。
「心配」も「愛情」も、心が健全な親は使いたがりません。
だって、それこそが押しつけや否定につながると感覚的にわかっているからです。
「心配」や「愛情」という言葉を親が使っていたら、押しつけと否定をされているかもしれないと疑ってみてください。
罪悪感に飲み込まれないように注意しておきたいですね。
自分の感覚で選んでみる
親から否定や考えの押しつけをたくさん受けてきたあなたは、今まで自分で生き方を選べなかったかもしれません。
もしかしたら、生き方とは自分で選ぶものだという概念すら学べず、いつでも親に許可を取っていたり、親が認めそうなことばかりを選んでいたりしたのかもしれません。
そういう生き方を選んでいると、大人になってからも苦しい思いを抱えてしまうものです。
職場でも自分で考えて決めることができず、いつも上司や同僚の顔色をうかがいながら不安を感じているなんてこともあったことでしょう。
とくに人生の大きな岐路に立ったとき、自分でどうすることが正しいのかわからなくて、他人から責められないほう、否定されない生き方を選んでしまいがちです。
親が言っていたように成功こそが幸せ、高いステータスを手に入れて、お金に困らないことが幸せだと信じ続けた人もいるでしょう。
でも、誰かの考えはあなたの考えではありません。
だから、これからはあなたが自分自身で幸せを感じられるほうを選んでもらいたいのです。
誰からも責められないとか、誰にとっても正しいとかではなく、あなたが嬉しく楽しくなる生き方を選んでもらいたいのです。
なかには「何を選べばいいのかわからない」「どうしても誰かから責められそうで怖い」なんて思う人もいるかもしれません。
あなたもそんなふうに思うことがあるなら、最初は簡単なことから始めてもいいです。
休日をどのように過ごすのか、今日は何を食べようかと、自己完結できることからはじめてみましょう。
とくに直感を大事にしてみてください。
普段は入らないようなお店でも、興味を感じたらチャレンジしてみます。
もしそれで、自分の心が嬉しさや楽しさを感じたら新しい世界が開かれた瞬間です。
もし、嬉しく楽しく感じられなかったとしても問題ありません。
あなたが次はそれを選ばなくてもいいということがわかっただけでも大収穫です。
選ばなくてもいいことがわかったということは、ますます自分にふさわしい選択ができるようになったということでもありますからね。
そんなときも喜んでくださいね。
さあ、否定と押し付けをされていた世界を抜け出て、自分を楽しませ喜ばせる世界に入っていきましょう。
他人の顔色を気にしながら生きるよりも、自分の心がときめく生き方を選びたいですね。
あなたの人生はあなたのものです。
自分の人生を生きましょう。
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