TOP > コラム > 毒親との関係に苦しんでいる > なぜ私だけ愛されなかったのか?親がきょうだいで差をつける理由と抜け出すヒント

コラム 毒親との関係に苦しんでいる

なぜ私だけ愛されなかったのか?親がきょうだいで差をつける理由と抜け出すヒント

なぜ私だけ愛されなかったのか?親がきょうだいで差をつける理由と抜け出すヒント

こんにちは、
親子関係カウンセラーの川島崇照です。
 

小さい頃から、家族の中で
「私だけなぜか扱いが違う」
と感じ続けてきませんか?

きょうだいがいる家庭で育った方の中には、
親からの愛情や関心、態度に明らかな差を
感じてきた方が少なくありません。

「なぜ兄だけが特別扱いされるの?」
「どうして妹ばかりが褒められるの?」
「私が何をしても認めてもらえない…」

そんな思いを抱えながら大人になり、
今でもその痛みや寂しさを引きずって
いる方も多いでしょう。
 

親からの不公平な扱いは、
子どもの心に深い傷を残します。

自己肯定感の低下や対人関係の難しさなど、
大人になってもその影響は
続くことがあります。
 

このコラムでは、
兄弟間差別の背景にある親の心理と、
その苦しみから抜け出す方法を
お伝えしていきます。
 

親から愛されなかったのは、あなたのせいじゃない

「私に何か欠点があるから」
「私が悪い子だったから」
「努力が足りなかったから」

子どもの頃、多くの方がこのように考えて
自分を責め続けてきたのではないでしょうか。

しかし、親子関係の問題の多くは、
実は親側の心の問題に起因しています。
 

健全な心理状態の親であれば、
子どもを公平に扱おうと努力し、
それぞれの個性を尊重しようとします。

子どもを不公平に扱う親の多くは、
自分自身の満たされない感情や
心の傷を子どもに投影していることが
多いです。
 

例えば、親自身が愛情不足で育ち、
自己肯定感が低く、自信の無さから
子どもに依存的に関わってしまう
ケースがあります。

または、親は自己愛が強く、
自分の社会的な価値ばかりを気にしていて、
子どもを自分の所有物としか見られない
場合もあります。
 

このような親は、自分の気分を良くして
くれる子どもを無意識のうちに優遇し、
そうでない子どもを冷遇します。

あなたが不公平に扱われたことは、
あなたに問題があったからではなく、
親の心に問題があった可能性が非常に
高いということです。
 

親がきょうだい間で差別をする5つの心理

親が子どもに対して差別的な態度を取る背景には、
様々な心理メカニズムが働いています。

これらを理解することで、
「なぜ私だけが」という疑問の答えが
見えてくるかもしれません。

1.頼られると「可愛い子」に見えて、頼られないと「自分勝手な子」に見える

孤独感や寂しさが強く、
それによって承認欲求が高まった親にとって、
自分自身で考えずに決断できない子どもが
可愛く見えることがあります。

そして、そんな子どもから
頼られることが嬉しく感じて
無条件の愛情を注ぎがちです。
 

一方で、自分で考え行動する自立心の
強い子どものことを「自分勝手な子」だと
感じることがあります。

これは、親自身の不安を
子どもに投影することで起こる
心理現象です。

自分を必要としてくれる子に愛情が偏るのは、
親自身の満たされない感情を
子どもに補ってもらいたいという
無意識の欲求の表れです。
 

2.思い通りに動いてくれると「素直な子」に見えて、思い通りに動いてくれないと「ワガママな子」に見える

「言うことを聞く子は良い子であり、
反抗する子はワガママであり問題児」

このような価値観を持つ親は、
自分のコントロール下に
収まる子どもを評価し、
自分の意向に沿わない子どもを
批判したり排除したりします。
 

このタイプの親は、
子どもの個性や意思よりも、
自分の支配欲が満たされるかどうかで
子どもの価値を判断します。

子どもの気持ちや考えは二の次で、
親の思い通りになることが「良い子」の
条件となってしまう家庭環境では、
自己主張の強い子は不当に評価されず、
結果として兄弟間差別が
生じるようになります。
 

3.満足させてくれると「価値の高い子」に見えて、不満を感じると「価値の低い子」に見える

劣等感や自己愛の強い親に多い心理です。

親としての自分の価値を
高めてくれる子どもを優遇します。

例えば、成績や容姿、
進学先や就職先など、
親が満足する“実績”を持つ子どもを
特別扱いする傾向があります。
 

逆に、親の期待に応えられない子どもは
「価値がない」と判断され、冷遇されたり
時には存在自体を否定されたりすることも
あります。

このような親は、
子どもを自分の所有物や業績として見ており、
子ども自身の幸せより
「親としての私が周囲からどう見られるか」
という評価を優先しています。
 

4.親のそばにいてくれると「優しい子」に見えて、離れていこうとすると「冷たい子」に見える

依存心が強い親が
この心理を抱えがちです。

依存心が強い親は、
自分自身に問題を解決する力がないと感じて
いつでも頼れる人を探し回ってしまいます。

そのターゲットにされやすいのが
身近にいる「子ども」です。
 

そんな親は、「家族が一番大事」
「血のつながりはとても重要」
という言葉をよく口にします。

親は子どもに頼りたいので、
自分のそばから離れていかないように
いつでも家族は一緒にいるべきだと
子どもの心に擦り込もうとします。

そんな親からすると、
いつでもそばにいてくれる子どもは
優しい子に見えて、

独立心があって
心が自立している子どものことを
冷たい子であるように感じます。

さらに、親のそばにいて、
常に家族を優先する子どもは
「親孝行な子」と褒められる一方、
自分の人生を歩もうとする子どもは
「冷たい」「非情」と責められます。
 

このような親は、子どもが親元から
自立しようとするだけで裏切られたと感じ、
罪悪感を植え付けることで
子どもを縛ろうとします。

親から離れた場所で生活したり、
親の価値観と異なる道を選んだりすると、
差別的な扱いを受けることになります。
 

5.依存させてくれると「親思いな子」に見えて、自立していると「親不孝な子」に見える

これも依存心が強い親がよくすることです。

「親の面倒を見るのは当然」
「親に尽くさない子は恩知らず」

こうした考えを持つ親は、自己犠牲的に
親に尽くす子どもを「良い子」と評価し、
自分の人生を優先する子どもを否定します。
 

依存心の強い親というのは、
子育てや教育にかけた労力やお金の分だけ
子どもに恩返ししてもらいたいと
過大な期待を押し付けて求めたりもします。

ただし、
子どもが期待をかなえてくれないと
強く期待していた分だけ、
裏切られたという思いから
被害者意識が強くなり、
「私はこんなに苦労してきたのに」という
言葉で子どもを攻撃することがあります。
 

子どもは親を支えるために
生まれてきたわけではなく、
自分の人生を生きる権利があるのに、
それを認めない親は子どもの自立を妨げ、
不健全な依存関係を作ります。

自立心旺盛な子ほど
「親不孝」「非情」などのレッテルを貼られ、
家族間、兄弟間で差別的な扱いを
受けることになります。
 

あなたがどれだけ頑張っても差別は起こっていた

「私がもっと頑張れば認められたかも…」
「もっと素直であれば愛されたかも…」

このような後悔の念を抱いている方も
少なくないでしょう。

しかし、前述した
親の心理を知ってわかったとおり、
差別的扱いを受けたことも、
他の家族やきょうだいと比べて
冷遇されたこともあなたの責任では
ありません。

あなたがどれだけ頑張っても、
心に問題を抱えていた親は、
自分の基準で子どもを評価し
続けていたでしょう。
 

あなたが「悪い子」だったわけでも、
「足りない子」だったわけでもありません。

ただ、親の抱える問題に
巻き込まれていただけなのです。
 

この事実を受け入れることは
辛いことかもしれませんが、
同時に親から支配された心が解放される
ことでもあります。

親の問題に巻き込まれている間は、
何をしても十分に報われることは
なかったでしょう。
 

あなたの人生の主人公はあなた自身です。

親の評価や愛情に依存せず、
自分自身を大切にする生き方へと
歩みを進める時が来ているのかも
しれません。
 

心に問題を抱える親との関わりを変えるためにできること

もう二度と親の不公平な扱いで
心を振り回されないようにするためには
まず親との心理的距離を見直すことが重要です。

以下の3つの考え方が、
あなたの心の傷を癒し、
新たな人生を歩み始めるきっかけに
なるかもしれません。

1.「親に期待する」から「自分に期待する」に変える

心に問題を抱える親からの
承認や愛情を求め続けることを手放してみましょう。

代わりに、
自分自身が自分を認め、大切にするような
「自分自身との関係」を育てるようにします。

自分の価値を自分自身で認め、
「私は価値のある人間だ」という意識を持ち、
自己肯定感を高めていくことが大切です。

自分で自分を認められるようになると
親から認めてもらいたいという欲求が薄れ、
自分が達成してきたことや成果に
目を向けやすくなるでしょう。
 

2.「親にわかってもらいたい」から「わかってくれる人と一緒にいる」に変える

問題を抱える親に
理解してもらおうとする努力は、
あなた自身の心を傷つけることに
つながりやすくなります。

なぜなら、心に問題を抱える親は
わかろうと努力をしないからです。

わかってもらいたい欲求と
わかってもらえない挫折感で
あなたは失望してしまい
心が傷だらけになってしまうかもしれません。
 

代わりに、
あなたをあるがままに受け入れ、
理解してくれる人々との関係を
大切にしてほしいのです。

愛情というのは、
何も親からしか得られないわけでは
ありません。

心が通い合う人たちとの関係の中で
満たされる感覚が増えていくことによって、
親に対して「わかってもらいたい」という
欲求が薄れていくということはよくあることです。

友人、パートナーなど、
あなたの気持ちに共感してくれる人との
つながりが心の支えになることがあります。
 

3.「親から嫌われないように生きる」から「自分自身が喜びを感じる生き方を選ぶ」に変える

親の顔色をうかがい、批判を恐れて
自分らしさを抑え込んでいませんか?

これからは、「自分は何をしたいのか」
「何に幸せを感じるのか」を基準に
決断していくことが大切です。

自分自身の価値観に従って生きることで、
徐々に親の評価から
自由になっていくことができるでしょう。
 

適切な距離感と自分の人生を生きる勇気

親との関係を完全に断つ必要はありません。

ただ、心理的な距離を取り、
相手に過度な期待をせず、
自分の心を守るための境界線を
設けることが重要です。
 

親から受けた不公平な扱いの痛みは、
すぐに消えるものではありません。

しかし、
その経験を理解し、受け入れ、
そして乗り越えていくことで、
あなたはより自分らしく、
幸せな人生を歩み始めることが
できるでしょう。
 

あなたの人生は、親の評価ではなく、
あなた自身の手の中にあります。

どうか自分の人生を生きてください。

誰かの評価に振り回されるのではなく、
自分自身が心地よく安心して生きられる人生を
手に入れてください。

おとなの親子関係相談所

お問い合わせ

48時間以内に、返答させていただきます。