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親から離れたいのに離れられないときの5つの不安
親との関係で悩むのは10代や20代の若いときばかりではありません。
むしろ、大人になってからのほうが付き合いは長いくらいで、結婚した後も子どもを生んでからも親の言葉や態度で傷つけられて悩んでいるという人たちはたくさんいます。
でも、いざ親から離れようとすると罪悪感が襲ってきます。
親から離れたいのに、それをすると裏切っているみたいで申し訳ない気持ちでいっぱいになってあきらめていた人。
親から離れたら、今度は大切な人たちが傷つけられるのではないかと思って怖くて我慢していた人。
親がいなくなったら自分の力だけで生きていけるのかと思って不安になって人。
理由はさまざまですが、どれも強い不安を感じて、思い通りに行動できなくなってしまいます。
今日は、そんな人たちがこの先どのように考えたら親と離れやすくなるのかを解説していきたいと思います。
今まで、親から離れたいのに不安を感じて離れられなかった人、自分の気持ちや考えに自信が持てずに悩み続けてきた人たちの手助けになれたら嬉しいです。
親から離れられないときに感じている不安
罪悪感を感じて親と離れられない人たちが感じている、特徴的な不安というものがあります。
このなかにあなたが感じている不安はあるでしょうか?
今までの自分の気持ちと照らし合わせながら確認してみてください。
1.「否定されたらどうしよう」という不安
誰でも自分の考えを否定されて良い気分はしないものです。
特に親から否定されると、悲しくなったり、さみしくなったりして、「またわかってもらえなかった」と思って落ち込んでしまう人も多いはず。
また、親から否定されると強い怒りを感じるという人たちもいます。
負けたくないから親を言い負かそうとして口論していたり、なんとかわからせたいから説明を続けたりすることに時間を費やしている人もいます。
どちらのタイプも、親の顔色をうかがい気分が上がったり下がったりを繰り返して、自分が思ったとおりに行動することができません。
そして「否定されたらどうしよう」と不安を感じて、正直な気持ちを従って行動することができなくなっていきます。
関わっていることが苦しいの、親と距離を取るということを否定されるのではないかと考えて、不安を強くしてしまいます。
- 「親から距離を取りたいなんて言っても、わかってくれるはずがないから我慢しておこう」
- 「どうせわかってくれないし、また喧嘩になるだろうからやめておこう」
こんなふうに思って、問題回避的な思考が強くなっていき、ますます親から離れられなくなっていきます。
2.「パートナーを悪く言われたらどうしよう」という不安
あなたが親と関わるたびにストレスを感じて苦しくて、なるべく接触頻度を減らそうと距離を取っていると、あなたの配偶者や婚約者、恋人が攻撃の的になることがあります。
「娘(息子)が親を大切にしてくれなくなったのはあいつのせいだ」と一方的に決めつける親が、あなたのパートナーを強く批判します。
- 「あの子はあなたと結婚してから冷たくなった」
- 「あなたがあの子を変えてしまった」
- 「なんで、親と子どものあいだを引き裂こうとするんだ」
- 「あなたはあの人からいいように騙されて利用されている」
- 「あなたはあの人から洗脳されている」
- 「なんで、親から距離を取らせるようなひどい奴の言うことを聞いているんだ」
自分が今まで正しい子育てをしてきて、適切な愛情を注いできたと信じて疑わない親は、子どもが自分たちから距離を取るはずがないと考えます。
そして、子どもが変わってしまった原因を他者に押しつけるようになります。
そのターゲットになる可能性が非常に高いのが、あなたのパートナーということです。
こんなふうにパートナーを批判されていると恐怖心が強くなっていきます。
大切に思っている人が傷つけられる恐ろしさと、幸せな関係が壊される恐ろしさで、心は強く緊張してしまいます。
そして、なんとかして親から批判されないようにしなければならないと考えて、また我慢して親に従ってしまったり、親とパートナーの機嫌を取ろうとするあまり両者の間で板挟みになってしまうこともあります。
そうやって、また問題回避的な行動を取ってしまい、親から距離をとることができなくなっていきます。
3.「親に頼れず苦労するかもしれない」という不安
結婚してこの先に出産を控えていたり、近いうちに子どもを生みたいと考えている女性が抱えやす不安です。
妊娠・出産という一大イベントがこの先に待っているときに、親から距離を取れば協力を求められないことになるからです。
この日本でよくあるケースでは、夫は仕事をしていて、妻が一人で出産を待つというようなことになりやすく、通院や入院まで何でも一人でこなさなければならない状況を想定して不安は大きなりやすいです。
また、親への罪悪感も強く感じるようになります。
親と関わっていることが苦しいことだとわかっていても、この先に親孝行ができなかったことを後悔しそうで、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまうことがあります。
- 「本当に私は親の力を借りずに子どもを生んで育てられるのだろうか」
- 「子育てで困ったときに頼れる人がいなかったらどうしよう」
- 「友人たちみたいに親に協力してもらいながら子育てできないのはさみしい」
- 「親に子どもの顔を見せてあげられなくて申し訳ない」
- 「ここで距離を取ったら、もう二度と親の喜ぶ顔が見られなくなるかもしれない」
- 「ここで距離を取ったら、祖父母と孫が仲良さそうに遊ぶ姿を見られなくなるかもしれない」
4.「子どもにさみしい思いをさせたらどうしよう」という不安
もし、あなたにお子さんがいて、その子があなたの両親になついていたりするなら、「私が親と離れることで、この子がさみしい思いをする」と思って、罪悪感を感じて申し訳ない気持ちになっているかもしれません。
- 「私が親と離れたら、この子から祖父母を奪ってしまうことになるのではないか」
- 「この子の友だちはみんな祖父母がいるのに、この子だけいなくてさみしい思いをするのではないか」
- 「祖父母がいないことで、この子の性格形成に何かしらの影響があったらどうしよう」
今まで親との関係で苦しんできた人は、親になったときに自分の子どもには同じような思いをさせたくないと強く思うときがあります。
そういう人たちは責任感が強くて誠実に生きたいと思っているものなのですが、逆にその誠実さが自分を苦しめます。
親から離れれば子どもから祖父母を奪うことになり、自分こそ子どもの心を傷つけようとしているのではないかと考えて、自己批判をしてまた悩みます。
そして、私さえ我慢していたらこの子は傷つかないで済むんだと考えて、また問題回避的な行動を取ってしまいます。
5.「お母(父)さんがかわいそう」という不安
たとえば、いつも横柄な態度を取っている支配的な父親と、それに我慢して従い続ける母親という組み合わせがあります。
反対に、いつもイライラしていてふとしたきっかけで怒りを爆発させているヒステリックな母親と、そんな母親からどんなに批判されても反論もしない温厚な父親という組み合わせもあったりします。
小さいころから弱い立場の親を見続けてきた人は、距離を取ろうとするときに罪悪感が強くなりやすいです。
- 「私が実家から離れたらお母さんを守ってあげる人がいなくなってしまう」
- 「かわいそうなお母さんだけを置いて私だけが距離を取るなんてわがままなんじゃないか」
- 「私がいなくなったら、お父さん一人だけでお母さんの相手をしなければいけなくて申し訳ない」
- 「私がいなくなったら、ますますお父さんが攻撃されて傷つけられるんじゃないか」
今まで両親のあいだに入って争いを防いできたり、なんとかトラブルが起こらないように親の気をそらしてきたりしてきた人は、自分が親の元から離れることでまた問題が発生してしまうのではないかと不安になります。
そして、また自分さえ我慢していたらいいのではないか、自分が弱い親を守ってあげなければいけないのではないかと考えて、問題回避的な行動を取ってしまいます。
「否定されたくない、悪く言われたくない」は罪悪感が見せている錯覚
あなたが親から否定されることに不安を感じてしまうのであれば、ここでよく考えてもらいたいのです。
親から否定されたらあなたの何かが変わるのでしょうか?
親が否定すると、現実が変化してあなたのやりたいことができなくなるのでしょうか?
…答えはNOです。
すでに経済的にも自立していて、自分の力で生きていける大人のあなただったら、親からどんなに否定されてもあなたの人生には何の影響もないはずです。
パートナーを悪く言われるときも同じです。
悪く言われたからと言って、パートナーの何かが変わるわけではありません。
あなたがパートナーのことを信頼できているなら、あなたとパートナーの関係に影響は何もないはずです。
でも、やっぱり影響がありそうに感じてしまうこともありますよね。
それはなぜかと言うと、あなたが小さい子どもでまだ親に養ってもらっていた時代は、否定されたらやりたいことを制限され、やりたくないのに親に従わなければいけなかったのかもしれないからです。
否定や批判、押しつけが激しい支配的な親に育てられると、否定されることそのものがとても怖いことのように刷り込まれることがあります。
だから、すでに大人になったあなたにはほとんどと言っていいほど影響がないのに、子ども時代の印象が邪魔をして、ことさらに否定されることを不安に感じてしまうのです。
もうすでに大人になり、この先どのように生きていくのかをすべて自分で決められるなら、「否定されたらどうしよう、悪く言われたらどうしよう」という不安は、すべて錯覚だったということです。
生まれてきた子どもを守れるのはあなただけ
結論からお伝えすると、生まれてきたあなたのお子さんが心に問題を抱える祖父母と関わっていると、性格形成に影響がある可能性があります。
どういうことかと言うと、
小さい子どもにとっては親であるあなたとの関係性が非常に重要で、安心感や安全感を感じながら成長するためにはあなたが心がリラックスしていることがとても大切だからです。
お子さんとあなたの両親が関わっていれば、おのずとあなも関わりを持たなければいけないはずです。
そうすると、やっぱり今までのように心を傷つけられることがあって、ストレスを感じ続けるということになるでしょう。
そして、親と会うたびに恐怖心や罪悪感を感じて、心の余裕がなくなって笑顔も少なくなるかもしれないし、イライラして怒ってしまうことも増えるかもしれません。
そのときに、小さい子どもにも影響が出てしまいます。
お子さんはあなたの顔色をうかがうようになり、笑顔になってもらえるように努力をして、イライラさせないように気を使うようになるかもしれません。
そのほかには、支配的なあなたの親が孫を愛玩動物のように扱ったて際限なく物を買い与えたり、依存的な親だったらさみしさの穴埋めに孫にベッタリとくっついて過干渉を繰り返して離れなかったりすることもあります。
それも小さい子どもにとっては悪影響になる可能性が高いです。
あなたが問題のある親たちから離れることは、あなたのもとに生まれてきた小さい命を守ることにもなります。
誰の問題なのかをはっきりさせることが大切
今までは不安を抱えて親から離れられなかったかもしれませんが、これからはその不安はどんな問題から生じているものなのか、さらにその問題の持ち主は誰なのかと考えてみるようにしてほしいのです。
問題が起こるなら、必ず誰かが原因をつくっているはずです。
そして、その原因をつくっている人が変わらなければ、この先もずっと問題は起こり続けるということになります。
たとえば、母親が父親から毎日のように批判されいじめられている状況にあなたが不安を感じているなら、それは誰が原因をつくっているのでしょうか。
もちろん原因を作り出しているのは父親です。
しかし、母親は原因を作り出していないのでしょうか。
これは、いじめられる側にも問題があるという話ではありません。
父親が危険な人なのであれば、そんな人から離れないで従順に従っている母親は父の原因をさらに強くしている可能性があるということなんです。
そんなとき、母親をかわいそうに思う子どもが、かばったり助けていたりすると、母は心の限界を迎えるタイミングが遠のいて、「子どもが支えてくれるからまだ頑張れる」と感じて、悪循環から抜け出せないということが現実によくあります。
そしてまた危険な父親との関係を続けてしまいます。
父親自身が原因をつくっていることに気付けずに変わろうとしないなら、母親は距離を取らなければならないはずです。
そうなるには、母自身が問題に向き合って考え、この先夫とやっていけるのだろうかと真剣に悩まければいけないはずです。
問題は原因を作り出している人が解決しなければなりません。
あなたが助けていると、より問題は大きくなってしまうので気をつけましょう。
親から離れることは、親と自然な関係に戻ること
最後にいちばん重要なことをお伝えしますね。
いくら親子と言っても、価値観も考え方も違う他人どうしです。
対等な関係で、上も下もありません。
一人ひとりには自分の力で生きる責任があります。
親が自分の人生をどう生きるかは親自身が決めることです。
それと同じように、あなたがどう生きるかはあなたが決めることです。
親が子どもを支配するなんてことはおかしなことだし、子どもが自己犠牲をして親を支えるということもしなくていいことです。
心が健康的で自立心が備わっている親は、子どもの人生は子どものもので親が指図するなんておかしいとわかっています。
だからこそ、健康的な親のもとに生まれ育った人たちは、当たり前のように自分で生き方を決めています。
あなたもそれと同じことをするだけです。
どのように生きるかを自分で決めて、誰と一緒に生きるのか、何をしながら生きるのかもあなた自身で決めます。
何も特別なことではありません。
心が健康的な親がいる家庭で、ごく自然に当たり前のように行われていたことをあなたもするだけです。
心に問題を抱える親から離れることは何も悪いことではありません。
あなたが親から自立し、親もあなたから自立するという、親子としての自然な関係になるだけです。
あなたの人生はあなたのものです。
自分の本心に従って生きたいですね。
もうこれ以上、危険な人たちと関わることも、罪悪感や恐怖心で従うようなこともしなくてもいいですね。
それが自然な生き方というものですから。
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