COLUMN
コラム
「親から離れたい!」でも、すんなり行動に移せない5つの罪悪感とは?
親子関係カウンセラー川島崇照(かわしまたかあき)
このコラムを見ていて、親と離れたい!と思っている方はたくさんいらっしゃると思います。
でももしそう思っているのに、あなたがいつまでも行動できていないとしたら?
あなたは、これまでの相談者がそうであったように、
自分の気持ちに抵抗する「罪悪感」を持っている可能性がとても高いかもしれません。
多くの方は、親から離れようとするときに罪悪感で悩みます。
離れたいと思う素直な感情と子どもであるがゆえに感じる義務感との間で揺れ動きます。
なかには、自分よりも苦労している人の話を見聞きして、「私は周りに比べたら恵まれているのかもしれない。」と自分に言い聞かせながら我慢している人もいます。
罪悪感を持っていると自分の正直な気持ちに従うことができず、親から離れることができなくなってしまいます。
今日はあなたに対して親と離れることに躊躇させている罪悪感についてを解説します。
そして、今後どのように考えていけばよいのかをお伝えしていきます。
親と離れることに感じる5つ罪悪感
1.「私のせいで円満な親子関係がつくれなかった」という罪悪感
これは、そもそも離れたいと思う前から感じていた罪悪感でしょう。
しかし、こう考えてしまうと離れることを先延ばしにしてしまうようになります。
「もしかすると今度こそ仲良くできるかもしれない」と考えて親に近づきますが、やはりいつも同じ結果になってしまい心傷つきます。
そして、円満そうな家族を見つけ出しては「私には円満な親子関係がつくれなかった」と落胆する人もいるでしょう。
どこかで無理だと感じているのに、一生懸命に円満な親子関係をつくろうとして離れられなくなってしまいます。
本当はとてもつらいのに、罪悪感から気持ちとは裏腹の行動をしてしまいます。
2.「私のせいで親はみじめな生活をしていく」という罪悪感
あなたが離れることによって、親の今後の生活を予測した結果の罪悪感です。
あなたがひとりっ子だったり、すでに他のきょうだいが独立していたりして、親と一緒に住む人がいない場合などによくあるケースです。
親がまだ元気なのに、年老いていったときの姿や生活を想像しては罪悪感がこみ上げてきます。
そのとき、あなたは見たこともない『最悪な将来』を予測しているのかもしれません。
「私が離れたせいで貧しい暮らしをするのではないか?」
「私が離れたせいで両親二人さみしく生きていくのではないか?」
「私が離れたせいで子どもに捨てられたと世間から言われるのではないか?」
そんな将来を予測しては罪悪感で胸をいっぱいにして、身動きできない状態に自らがしてしまいます。
3.「私のせいで親は死ぬかもしれない」という罪悪感
親の依存度が高いことが考えられます。
親からいつも頼られていると、「頼られている自分」や「世話をしている自分」という状態にあなた自身が依存してしまうことがあります。
「親は弱いから私が世話をしてやらないと」と考えて関わっていると、親自身の依存度も強まっていきます。
気づいた頃には精神的な結びつきが強くなりすぎて、お互いがのめり込んでいたということが起こるのです。
そうなれば「私がいないとあの人は死んでしまう」と極論的な考え方になってしまいます。
「生きるか?死ぬか?」の二者択一なので、「離れる=親の死」と罪悪感を感じてしまいます。
4.「私のせいで子どもたちにさみしい思いをさせる」という罪悪感
あなたにお子さんがいる場合に感じられる罪悪感です。
親は、あなたのお子さんにとって見れば祖父祖母にあたります。
あなたが親と離れるということは、子どもと祖父祖母の関係を切ることになるので躊躇してしまうことが多いでしょう。
「おじいちゃんおばあちゃんと会えなくなるのは可哀想だ」と考えれば、「私さえ我慢すればいいんだから」となってしまうかもしれません。
こうやって、子どものことを考えて罪悪感を感じてしまいます。
5.「私のせいで◯◯はつぶれる」という罪悪感
あなたが男性で親と同居していたり、親が経営する会社で働いていたりする場合に多いでしょう。
親から離れるということは、住んでいる家から出るということです。
親の会社であれば退職するということです。
そうすれば家や会社を継ぐ人間がいなくなり、歴史は途切れるかもしれません。
大きな決断でもあるので、なかなかすんなりと行動に移せません。
「私がつぶした」「私のせいで親の代で終わった」と罪悪感を持ってしまい、離れることを躊躇してしまいます。
罪悪感の減らし方
さて、解説した5つの罪悪感は、いったいどこからくるのでしょうか?
あなたが感じている罪悪感は、、、
それは、あなたが親の責任を肩代わりしているからこそ湧き起こってくる感情です。
よく考えてみましょう。
解説した5つの状態はすべてあなたがどうやってもコントロールできないことばかりです。
実は、親が選択してそういう状態になっていることだって十分考えられます。
もしかしたら、その責任、あなたのものではないかもしれませんよ!
「私のせいで円満な親子関係がつくれなかった」という罪悪感を減らす考え方
あなたは円満な関係をつくりたかったのに、そうできなかったのは親にも責任がありませんか?
もしかしたら、親はあなたをコントロールしようとするばかりで良い関係をつくるよりも、支配関係をつくろとうしていたのかもしれません。
良い関係とはお互いが違いを認め合って、その違いを尊重しあっていくことで作られます。
「私のせいで親はみじめな生活をしていく」という罪悪感を減らす考え方
親の人生はあなたのものではありません。親の人生は親のものです。
誰しも自分のものは自分で管理してくという責任があります。
老後のことを見据えて蓄えていたなら、あなたが巣立ったとしても安定した生活をおくることができるはずです。
過去に親自身が健全に愛情を注げていたなら、あなたも「一緒にいてあげたい」と思えたのかもしれません。
過去に親自身が健全に愛情を注げていたなら、あなたも「離れたい」とは思わなかったかもしれません。
人生の責任はいつも自分にあります。それは親もあなたも変わりません。
「私のせいで親は死ぬかもしれない」という罪悪感を減らす考え方
人間はいつしか死を迎えます。あなたの親もいつしか死にます。
あなたが親の死期をコントロールしているのではありません。
もし、あなたが離れることで心理的負担が大きくなって親の死期が早まると考えているのならそれは間違いです。
心理的負担を感じるも感じないも、それは親の感じ方次第で、そこにもあなたの責任はありません。
そもそも子どもが親元から巣立つことはとても喜ばしいことです。
子どもが自分の力だけで生きていくことを喜べれば親自身も幸せに感じることができるのです。
「私のせいで子どもたちにさみしい思いをさせる」という罪悪感を減らす考え方
確かに、あなたと親とのことは子どもには何も関係のない話です。
ですが、あなたには親から受けた影響を下の世代に渡さないという役目があります。
もし、あなたが親との関係でフラストレーションを溜め込んでしまっていれば、
いつもイライラしていたり、怒りっぽくなっているかもしれません。
親であるあなたのそんな姿を見ていれば傷つくのは必ずと言っていいほど「子ども」です。
祖父祖母の存在が必ず必要というわけではありません。
核家族でもお子さんを立派に育て上げた例は星の数ほどあります。
お子さんにとって何よりも嬉しいのは〈あなたの笑顔〉です。
親であるあなたがいつもリラックスした精神状態で子どもたちに接することで、お子さんたちに愛情をいっぱい感じてもらえるのが最高です。
「私のせいで◯◯はつぶれる」という罪悪感を減らす考え方
日本では「家系」がまだまだ重んじられています。
とくに地方部に多く、その家の長男が跡継ぎとなる場合が多いでしょう。
会社も同様でやはり長男が後継者となっている場合が多く見られます。
しかし、そういった価値観は広い世界から見れば一般的ではありません。
主に儒教的価値観に影響を受けた国である、中国、韓国、日本などでの話です。
「家系を守られなかった罪悪感」「跡を継げなかった罪悪感」は文化的背景によるところが大きいのです。
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