COLUMN
ご相談事例
[相談事例]親がきょうだいを差別する4つの心の問題
コラムのリクエストをいただきました
お名前 : A.Oさん
私には姉1人と妹2人がいます。姉は専門学校に進学しました。わたしの家は金銭的余裕がなく、入学金を用意するのが大変でした。それでも母親は、親が子供の夢応援しなくてどうするのと言ってなんとかしていました。
しかし、私が大学に行きたいと言ったときには反対し、大学になんて行かせないと言いました。奨学金などの制度がしっかりしているところを選んでもです。そして私は、大学よりも学費がかからない専門学校にしました。奨学金制度が使えるところで、学費免除の試験も受けました。
しかしそれでも文句を言います。そして、その学校は県外なので一人暮らししなければなりません。そのときも、アパート代どうするんだお金がと言って応援する反応ではありませんでした。私が進学する専門学校は福祉系なのですが、母親に、そこらへんの介護施設ででも働けと笑われました。
普段から私と他の姉妹たちとの対応が違います。私には高校3年間でお弁当を作ってくれたことは数回で朝起きてくることもありません。週1や月1で帰ってくる姉には早く起きておにぎりを渡したり見送りをしたりしています。
親のきょうだい間での差別をする心理を教えていただきたいです。単に私のことが気に食わないだけなのでしょうか。
ご質問にお答えします
こんにちは
親子関係カウンセラーの川島崇照です。
コラムテーマのリクエストをいただき
ありがとうございます。
姉妹に見せる母親の対応が違うのですね。
姉には朝早く起きてお弁当をつくるのに、
あなたにはそんなことも数回限りで
朝起きてくることもない。
あきらかに態度が違いますね。
わかりました。
それではあなたの疑問にお答えします。
きょうだい間で差別をする母親の心理を解説していきますね。
きょうだいを公平に扱えない親はコンプレックスを抱えている
きょうだいを公平に扱えない親は
そのほとんどがコンプレックスを抱えています。
コンプレックスとは
過去に経験してきた心傷つくような
出来事から学んでしまった
強い恐怖や不安などの意識のことです。
コンプレックスが強いと
モノやヒトに執着するようになり、
自分が願っているのとは反対の状況を
作り出しやすくなります。
たとえば母親が過去に
学歴に関する強い挫折感を味わっていたら、
その母親は子どもに学歴をつけさせないと
将来その子が悲惨な人生を送るのではないかと
強い不安を感じてしまう傾向があり、
子どもの意思を無視して
勉強することを押し付けるように
なることがあります。
そして傷ついた子どもは大人になり、
親と関わることへの恐怖心や不安で
距離を取るようになります。
子ども時代のような親の価値観を
強要される人生から脱出したいと考えて
交流頻度を少なくしようとするケースもありますし、
親と会っていたとしても詮索されたくなくて
本心を明かさず言葉少なくしていた
なんていうケースもあります。
すべての親がそうなるわけではないのですが、
特に過去の挫折感を解消していないと
こういったことが起こる可能性が高くなります。
そして身近にいる人に執着して、
過去に味わった未解消の恐怖心や不安を
子どもを代理にして解消しようとする親は多いです。
差別をする親が抱えるコンプレックスのパターン
コンプレックスにはいくつかのパターンがあります。
これから紹介するのはその中でも特に代表的なものです。
あなたと親の関係がどのパターンに当てはまっているのかを確認してみてください。
一つだけではなく、
同時に複数該当している場合もありますから
よく注意して見てみましょう。
1.コントロールできない子を優遇してコントロールできる子を冷遇するのは依存的な親
このタイプの親の差別基準は、
さみしさを埋めてくれるかどうか、
離れていかないかどうかです。
この親のタイプは、
自分の力で生きるという発想がありません。
いつでも誰かに頼っていないと
心細くて孤独感で心のなかがいっぱいになってしまいます。
「私は一人で生きていけるはずがない」
というようなコンプレックスを抱えています。
だから、子どもが自分のもとから
離れていこうとすることをとても怖がります。
そして進学や就職などで実家から
離れることを否定しようとしますし、
恋愛や結婚をして親よりも
他人を大事にすることを嫌います。
じゃあなんでコントロールできない子を優遇するの?
と思った方もいるでしょう。
依存的な親がそれをするのは、
コントロールできない子が
もう二度と戻って来ないような気がして怖いとか、
遠くに行ってもらいたくないけど
それを言えば怒られそうだから
怖くていつでも顔色をうかがっている
などの理由があるからです。
その逆に、
もうすでにコントロールできている子には冷たく当たります。
子どもが親の世話をするのは当たり前だとか、
親を実家に一人でいさせる子どもは悪い子だ、
などのように言って批判をくり返すのは、
ずっと親の元にいるように釘を刺しておくためです。
こうやってコントロールされてきた子が
生贄のような役割を負わされて
親のもとを離れられないケースはとても多いのです。
2.成績や容姿の良い子を優遇して悪い子を冷遇するのは劣等感が強く自分に価値を感じていない親
このタイプの親の差別基準は、
満足させてくれるかどうか、
恥をかかされそうかどうかです。
この親のタイプは
世間体や評判をよく気にします。
それと同時に他人から悪く思われることを強く恐れます。
劣等感と被害者意識が強くて自分に自信が持てません。
こういった親には2つのタイプがあります。
他人と自分を比べては
「自分は何でこんなこともできないんだ」
と言って自己否定をするタイプ。
そしてやっぱり自分と他人を比べるのですが、
「あの人ばっかりズルい!私ばかり損をしている!」
と言って他者批判をするタイプです。
どちらのタイプも劣等感が強くて
自分に自信が持てません。
親がなぜこういったことをするかと言うと、
それは「自分が社会から認められるはずがない」
というコンプレックスを抱えているからなんです。
子どものころにあなたと同じように
きょうだい間差別を受けたのかもしれませんし、
たくさんの人たちの前で見下されたとかバカにされたのかもしれません。
もしくはそのまた上の親から
常に出来が悪いと言われて
否定されていたなんてことがあったかもしれません。
それによって、
私は自分に価値がなくて
誰からも認められるはずがない、
というような自分にとって
良くないネガティブな印象を
抱いてしまった可能性があります。
こういったコンプレックスを抱えていると、
親の劣等感を覆してくれるような
成績や容姿の子が素晴らしく見えてしまい、
逆にそうではない子が
自分の嫌いな部分をまざまざと
見せつけられているかのように感じてしまいます。
どんな子にも個性があります。
すべての子どもが違っていて当たり前だし、
だからこそかけがえのない存在なのに、
コンプレックスが強い親は
「私の評判を上げてくれるのが良い子だ」
と感じてしまい、きょうだい間で
差別して公平平等に関われなくなってしまいます。
3.従順な子を優遇して反抗的な子を冷遇するのは支配的な親
このタイプの親の差別基準は、
不安を感じるかどうか、
安心を感じるかどうかです。
この親のタイプはとにかく子どものことを信用できません。
だからすべてコントロールしていないと安心できません。
こういったタイプの親も子どもの頃に
親から信じてもらえなかった人たちが多く、
失敗することを強く恐れます。
「私は失敗して批判されるに違いない」
というようなコンプレックスを抱えていて、
とにかく先のわからないことに不安を強く感じて、
少しでもわからないことがあるとすべて排除しようとします。
子どもが何をしているのか、何を考えているのか、
どんな人と付き合っているのか、
この先どうやって生きていくのか、など、
すべてを把握していないと不安で仕方なくなり、
安心したくて束縛が強くなっていきます。
そして親に従う子が親を安心させてくれる良い子に見えます。
しかし自分の意見を持っていたり、
親とは違う行動を取ってみたりと、
自立している子ほど否定と批判にさらされるでしょう。
親を大切にしていないとか、
親の気持ちがわかっていないなどと言われて
つらい思いをしている人も多いですね。
4.ある子には過保護に優遇してまたある子に親の役割を押し付けて冷遇するのは精神的未成熟な親
このタイプの親の差別基準は、
自分の夢をかなえてくれるかどうか、
親の役割を押し付けられるかどうかです。
この親のタイプは、
実年齢と精神年齢が乖離していて、
見た目は大人でも精神年齢はおよそ10歳以下であることが多いです。
幼少期に満たされなかった過去があり、
愛情不足に陥っていることがほとんどです。
心の中がまだ幼児のような状態ですから、
責任感という感覚はあまりありません。
それよりもどうやって楽をしようかと考えて、
言い訳が多く責任転嫁ばかりしています。
精神的未成熟な親は自分が子どもの頃に
できなかったことを代わりにしてくれる子どもを優遇します。
それをしていると過去の後悔が少なくなっていくようで嬉しいからです。
その反面、自分が親として
今しなければならないことを
もう一方の子どもに押し付けて冷遇します。
心が大人になっていないので
努力をすることが面倒くさく感じてしまうからです。
こうやって、きょうだいに
それぞれ正反対の態度を見せて差別します。
従順にすればするほど大切にされない事実
あなたの母親が見せる行動は、
1〜4までのパターンでどれに近かったでしょうか?
どのパターンであっても
今までのあなたはたくさん苦しんできたのでしょう。
今までのあなたは他の姉妹は良いのに
自分だけがダメな理由がわからなかったと思います。
そのことを疑問に感じいても、
自分の意見を言えば
母親からますます否定されるばかりだったかもしれないし、
だからと言って
従順に従っていても
認めてもらえるわけではなかったのかもしれません。
ここでわかっておいてもらいたいことがあります。
それは『親に従順にすればするほど大切にされない』ということなんです。
コンプレックスを強く抱えた親は、
自分の心と子どもの心の境目がほとんどありません。
なんなら全部一緒だと思っています。
こういう状態を「癒着」(ゆちゃく)と言います。
癒着していると支配や依存の状態が作られやすく、
親は子どもの自立を妨げるようになります。
そしていつでもそばに置いておこうとしますし、
いつまでも支配したがるからです。
ようするに、コンプレックスの強い親は
従順な子どもはすでに支配できているから安心なんです。
安心できているから
これ以上何もしてあげなくても
いいと考えています。
だから、努力しても褒めてもらえないし、
頑張っても労ってもらえません。
落ち込んでいても励ましてもらえないし、
傷ついていても助けてもらえません。
人生は親のものではなく、自分のもの
学生である今のあなたは
まだ親から経済的な援助を
もらわなければいけないのかもしれませんが、
でもいつかは成人して
親元から巣立つときがあるはずです。
そのときにあなたの親が
また不安を感じてあなたに支配や依存を
しようとしてコントロールしようとしてくる
可能性はとても高いでしょう。
あなたの親が「生んでやったのに」
「育ててやったのに」と言って
自立しようとするあなたを批判してくるかもしれませんが、
でも気にしなくて良いんですよ。
その言葉は心に問題を抱える親が
よく言う典型的な言葉なんです。
そう言って子どもの罪悪感を煽って
行動させないように踏みとどまらせます。
でもそんなおことが起こったときには
「人生は親のものではなく、自分のものだ」
と思ってもらいたいのです。
大切なことはあなたが
自由に生きると決めること。
そして親に従わない態度を見せることです。
もう無理に従順になって従って
親を甘えさせなくても良いんですよ。
あなたが親のかわりに何かをする必要はないし、
親の顔色を気にしてやりたいことを
我慢する必要もないんです。
だからいつかあなたが
自分の人生を生きられる
準備が整ったときには、
親の人生から離れて自立を
目指してもらいたいのです。
どうか幸せになってください。
親の人生を生きず、
自分の人生を生きて良いんです。
親子関係カウンセラー
川島崇照
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